猟師はせっかちなんですか?
改めて、次のお題です。
「”猟師はせっかちだとお友達から聞いたのですが、どういう事でしょうか?”
”猟師らしい知り合いが、何か思い立つとすぐに車に人を詰め込んで移動したり、いつもせわしなく何か作業をしていて、まわりの人も急かすのですが、これは何か理由があるのでしょうか?”ということだそうです。」
彼女は、彼の説明を聞いて何か思い当たったようにほんのわずかに姿勢を正すと、
「ある程度広い視野を持って考えてほしいのだけれど、”人を急かす社会”はどういう特性を持っている社会かしら?」
「”人間というリソース”を最大限働かせることが利潤や満足に直結する社会でしょうか」
「そうね。珍しく私の執事として及第点をあげられる回答だわ。その視点を持った状態で、猟師の活動環境や猟師の個人的背景を考えてほしいの。」
「エモノの分布や移動状況の把握に不確実性が存在していて、かつ遭遇しやすい時間帯が限られている中で試行錯誤する環境、人力か機械かを問わず人間のインプットが大量に求められた昭和期に活動していた人々、とくに農村部では手際の良さが時間的余裕や疲労の蓄積と密接に関わっているという現実感の中で育った人たち、という事でしょうか。」
「やや粗い組み立てだけど、悪くないわ。つまり、彼らに限らず、昭和期に活動した人々やその薫陶を受け・・・これは学校教育もそうね。そういった”人間というリソース”の酷使が重要だという考え方が体に染みついていると”せっかち”になって他人を急かすという、ある程度合理的な背景に基づく行動パターンだと考えるのは、妥当ね。」
そう言い終えると、彼女はティーカップを手に取り、一口含む。
「でも、21世紀の日本ではどうでしょうか。都市生活民の中で多動なことが素直に歓迎されるかというと難しいように見えます。」
「とはいえ、家事や直接人にかかわるところではあくせく動き回ることも求められる」
「どうも学校教育で椅子に縛り付けられ、一定の速度に合わせることを強制される世界観と大きく乖離しているような」
「それは、狩猟の話ではないね」
「狩猟の話に戻りましょう」
こういう、猟師や現地の人の傾向と対策は、分かっている人には当たり前ですが、
猟師は結構極端な存在なので、猟友会に入ってみる新人に対しては初見殺しなところがあると思います。




