雀の泪
数日ぶりに 帰宅が夜の十時頃になる仕事を終え
会社へと辿り着いた 事務所にて次の日の予定表を確認すると
どうやら 本日も昨夜と同じ様な帰宅時間に
なりそうな気がして
毎日の様に 描いていた執筆も
疎かになっている事を思い出しながら
労働での疲れの為に仮眠を取ろうと想うが
陽射しからの気温上昇の為に
仮眠する事も出来ずに居た
昨夜の疲れをそのままに
二日前から出だした 左脳の痛みに耐えながら
早朝の出勤前に 鳥のさえずりを聴いた
どうやらその鳥は 三階にある私の部屋の
屋根の上に留まり
私に 朝が来るのを知らせに来たのである
星も観えない 曇り空の下
自家用車に乗り 朝方の会社へと向かった
特に変わりのない風景を真面に観る事もなく
会社の駐車場へ辿り着き
出勤の点呼の為に事務所へと歩いた
すると事務所がある建物の窓に
雀が留まっていた様で
捕まえて見ようかと 心の中で想った途端に
雀と眼が合い
私の心を読んだかの様に
遠くの空へと 飛び去ってしまった
点呼も終わり 仕事の車に乗り換え
暫く道なりの直線を走っていると
左側のポールの様なガードレールの上に
二匹の 首の長い 鶴にも似た白い鳥が
留まっていたのである
いつもと変わることの無い風景を観ながら
時間と共に増えだした 交通量に
うんざりしながらも 指定された速度で
ゆっくりと ゆっくりと 坂を登り
大通りへと向かった
何時もの納品先へ向かい
毎朝 散歩に連れ出されている犬と眼が合った
犬や猫 鳥などの小動物とも良く眼が合うのだが
動物には 人の心の感情が詠まれているのだろうか
納品先へ向かう最中
すれ違うトラック運転手の視線
対向の信号待ちをしている人達の視線を感じ
敵対する視線では無い事だけは
声に出さずとも伝わって来るのだが
平和になった今だからこそ
こうして他人と眼が合っても
互いに衝突し合う事も無く
平和な一日を過ごせるのである
濃いめのソース顔をしている為か
他人には よく観られ
話し掛けられやすいオーラを
出している訳では無いが
結構な割合で 話掛けられ
知らぬ他人でも笑顔で話す事が出来る
人は話す事なくとも
オーラと言えばいいのか
人の雰囲気を読む事が出来るので
敵対しそうな雰囲気を醸し出す相手には
口を開かずとも 近からず遠からず
適当に対応し 出来れば近寄らず
その方が身の為であり
折角の一日を 脳内に嫌な気持ちを
溜め込むこと無く 過ごせるのである
曇り空の下
嫌な輩と過ごす無駄な一日に
せめて心だけは 晴れていないと
いつ降るか分からない 梅雨の空
朝方の納品を終えた
私の近くに 生温くも
少し涼し気な風が吹いたのである




