36. 話の歴史は大体主人公で決まる。
今回は初っ端から視点をセバスチャンさんにしてお送り致します。ですので、口調等違いますが、ご了承下さい。
セバスチャンさんの過去編突入です!それでは、どうぞ!
私桜田 透は、15歳の時にこの世界に《勇者》として召喚されました。それまで、何不自由なく平穏に暮らしてきたのに、いきなり知らない土地に飛ばされて、しかも髪や目の色が異なる人々から、いきなり「勇者として魔王を倒すのだ!」と命令されれば、パニックになるのも当たり前でした。私には拒否権なんて端から存在していませんでしたから、仕方なく、そこら辺に落ちていたヒノキの棒と、近くにボケーっと立っていた騎士団長を手に、旅に出ることになりました。
「...ちょ、ちょい待ち!騎士団長を簡単に連れ出して大丈夫なわけ!?」
「はい?時の王からは、『まぁ、いきなりで情けの一つも無しでは無慈悲すぎるからな...。そこらへんにある奴適当に持ってって構わんことにしよう』とお達しを頂いていたので...。」
「王様そんなんで大丈夫なのかよ!?」
まぁ、そんなこんなで王都を離れ、無事、聖剣も引っこ抜くこと叶い、ようやく魔王討伐へ向かったのでございます。途中で騎士団長が「鬼畜勇者だーー!」と、意味不明なことを叫びながら逃走する、という不可解なことがありましたが、それ以外は特にこれといって何かあるわけもなく、のんびりと旅をしておりました。
そして、とある領地に着いた時、事件が起きたのです。
『魔王軍による領土壊滅』
その領は、この国一の力を持つと言われているランドバーグ公爵の治める土地でありました。私達が駆け付けるも、時すでに遅く、建物は全て倒壊、人が生きているとは到底思えないような悲惨な有様でした。私は、そのおぞましい光景になす術もなく茫然としながら、此処へ来ることを激しく渋っていた騎士団長の鎧に火を付けて炙っておりました。
騎士団長の鎧も丁度良い焼き加減になってきたところで、鎧の持ち主に土下座されたので、仕方なく炙るのを止め、生存者を探しに行かせました。そして、数時間後、ようやく帰って来た騎士団長に、遅いと言って聖剣の柄で肩をグリグリと痛めつけながら状況を聞くと、一名だけではありましたが、生存者を確認した、とのことで、その方にお会いしに行かせたのです。
その方は、ランドバーグ家の一人娘にして、魔王討伐後に『(鬼の)姫騎士』と呼ばれるようになってしまわれた、リリー・バルサン・ランドバーグ嬢でした。彼女は、それはそれは清楚で美しい女性でした...性格を除いては、ですが。中身は、この世界の誰よりも勇ましく、男らしかったのでございます。
そして私は、当時とても気弱でありましたから、彼女に様々な難癖を付けられ、あれよあれよと言う間にランドバーグ家に養子入りさせられ、「まだ勇者として魔王を倒していないため、結婚は認めん!」という、交際もしていない上、女性として全く意識していなかったはずなのに、何時の間にそんな展開になったのかさっぱり分からないままランドバーグ公爵に言われたセリフに、勝手にキレたリリー嬢が、「じゃあ改名して勇者でなく、一貴族として私と結婚なされば良いでしょう!」と、意味不明な命令をしだし、現在の名となったのでございます。
「一つ、言っても良いですか?
騎士団長さん、滅茶苦茶扱い酷いですよね、思わず同情しましたもん俺。それから、
御愁傷様です。」
セバスチャンさん、騎士団長に対してだけは、かなり塩対応でしたね(笑)。作者も書いてて楽しかったです。セバスチャンさんの過去編はまだもう少しだけ続ける予定ですので、お楽しみに!




