35. 話の寛容性は大体主人公で決まる。
本日二度目の投稿になります!やったね!
三食しっかり食べようぜ!byグラン
それでは、どうぞ!
さて、セバスチャンさんが淹れてくれた食後の熱々の紅茶を飲み干し、俺達は一先ず自由行動という名の一時解散とした。グランは早々に就寝するらしく、セバスチャンさんが用意した部屋へと進んでいった。ジュリアさんは、バイトのクーラン・ナワンド少年(15)と共に食器の跡片付けをしている。俺はというと、来た時から気になっていた資料館へと足を動かしていた。
此処には、かつてこの地にその名を轟かせた勇者達の、苦しくも壮絶な生き様が資料という形で残されている。最奥から順番に歴史は流れ、ドア付近になると、最近の、とは言っても俺にとってはかなり昔になるが、最後の勇者の生涯が展示されていた。俺は真っ先に最奥へと進み、初代勇者の肖像がデカデカと飾られている前に立った。
日本人特有の黒髪黒目。女だろ?と言いたい位の肌の白さ。この世界の人にしてはひょろっこい体付き。だが、意志の強そうな瞳は天に向かい、その先に高々と聖剣オラシオンを掲げている。傷つき、ボロボロの体からは、その死闘の凄まじさがよく表現されている。背景が土埃の立つ戦場だから余計にそう感じるのだ。
この人が、俺の高祖父である結城 清隆。俺の行方不明になった先祖であり、またグランの祖先、初代勇者。俺は、家系図でこの名を目にし、没後年を見た時、不詳と書いてあったこともあって、覚えが良かったのだ。そして、その人の肖像を俺大好きな祖父に頼みまくって見せてもらったら、俺そっくり(いや、俺がこの人そっくりだった、が正しいだろう)だったのだから、そりゃあ忘れないよな。
「初代勇者 セイコウ・ユーキ様の肖像ですね。...よく似ておられます。」
背後に気配は感じていたが、俺は気にせず見ていたため、あちらから声を掛けてきたのだろう。燕尾服の元勇者は俺の右隣に立つと、俺と同じように肖像を眺め始めた。
「グランのご先祖っていう前に、俺の高祖父だったんですよ、本名は結城 清隆って言って...。」
そして、俺は黙り込んだ。こんな形で高祖父の行方が分かったのだ、今でもチョット驚いている。
「そうだったのですね...。これは、何かの縁なのかも知れませんね。初代勇者の血を引くあなたが、この地にやって来たこと、必ず、意味がありますよ。」
そう言って穏やかに笑うセバスチャンさんに、俺の心は少しずつ温かくなった。知らず、緊張していた、というのもあったのかも知れない。俺と同じ境遇の人間は、もうこの世にはいないと勝手に思っていたから。だから、俺以外知らない、全く関わりない人間ばっかりなのは仕方ないって、何処かで諦めていたのだ。ある意味今までの元気はカラ元気だった、って言っても過言ではないな。だからだろう、セバスチャンさんの存在は、俺の心の支えになったような、そんな気がした。
俺もセバスチャンさんに向けて、自然に笑うことができた。緩やかに流れる静寂の中で、俺はふと、ある疑問を投げかけていた。
「そういえば、何でセバスチャンさんは苗字まで変わってるんですか?まんま外国人みたいな名前になってますよね?」
「セルバートでございます。実は...少し、長くなりますが...。」
そう言って苦い顔をするセバスチャンさんに、「俺は、あ、地雷踏んだかな」と思わずにはいられなかった。
セバスチャンさんが何故改名するに至ったのか、また、セバスチャンさんが苦い顔をしたわけとは一体何なのか!?次回、明らかにしますね!そして、聖剣探索は、もう少し先になりそうです(苦笑)。お楽しみに!




