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悪役令嬢の父親(冷徹非道)に転生した俺、前世の知識で娘の処刑フラグをへし折りに!  作者: シャロ


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変わる世界①

 翌朝――王都に届けられた朝刊は、帝国全土を激震させるのに十分すぎるほどの大スクープを踊らせていた。

『氷の公爵、舞踏会で第二皇子を一蹴!――愛娘のために帝国すら敵に回す圧倒的威厳』

『帝国の混迷を鎮めた【第三の権力者】カーマイン』

『皇室の失態と恥――自ら破った約束と、問われる品格』

 一面を飾る衝撃的な見出しの数々に、街は早朝から騒然となった。

 平民から貴族に至るまで、街の至る所でこの話題が一持ちきりとなる。

「聞いたか!? あの『氷の公爵』様が、舞踏会で第二皇子を文字通り一蹴したらしいぞ!」

「それだけじゃない! 皇室が約束を破って公爵様のお嬢様に無理やり妃にしょうとしたのを、公爵様が体を張って、命懸けで守り抜いたんだ!」

「なんて格好いいんだ……! 冷酷無比と言われていたが、本当は娘思いの最高の父親じゃないか!」

 皇室を敵に回してでも愛娘を守ろうとしたレインの破天荒かつ圧倒的な姿勢は、民衆の間で大絶賛され、彼の評価は天井知らずに跳ね上がっていった。逆に、無様を晒した第二皇子と、約束を破った皇室の評価は地へと落ちる。

 そして同時に、もう一人時の人となったのがカーマインだった。

 皇帝とレインという、帝国最強の二頭の龍が衝突しかけた決裂の瞬間を、見事に緩和して場を収めてみせた彼女は『帝国第三の権力者』として大注目を浴びていたのだ。

 当然、新聞記者たちがこの未曾有の大スクープを放置するはずがない。

 しかし、渦中の皇帝レディオンにインタビューなどできるはずもなく、かといって「氷の公爵」レイン・ヴァルハルトの屋敷に押し掛けようものなら、その場で命がいくつあっても足りない。

 結果――記者たちが一斉に殺到したのは、カーマインの経営する高級ドレスショップだった。

「カーマイン様! 昨夜の舞踏会で一体何があったのですか!?」

「公爵様と皇帝陛下の間に入られたお気持ちは!?」

 店の前には長蛇の列ができ、記者だけでなく、彼の「権力」と「美貌」に与かろうとする貴族や富豪たちが殺到。カーマインは「もう、朝から大繁盛で手が回らないわねぇ!」と悲鳴をあげつつも、ちゃっかりとビジネスの好機に変えて笑みを深めていた。

 ◇

 一方、ヴァルハルト公爵邸の厨房やメイド部屋も、朝刊の到着と共に大パニックに陥っていた。

「見なさいよこれ……! 公爵様、昨夜の舞踏会でそこまでお嬢様のために……!」

「あんなに大暴れされて、第二皇子を一蹴なさったなんて……!」

新聞を取り囲むメイドたちの中心で、昨夜の舞踏会に同行していたマリアが、興奮冷めやらぬ様子で拳を握りしめて力説していた。

「本当なのよ! 公爵様は『お前もヴァルハルト家の人間だ』って私にも仰ってくださって……! 第二皇子が不躾にお嬢様に手を伸ばそうとした瞬間、冷気が溢れ出して、あの場にいた全員が息もできないくらいすごかったの! お嬢様を傷つける奴は皇族だろうと絶対に許さないって、全身で語っていらっしゃったわ!」

 使用人たちはゴクリと生唾を飲み込み、胸を熱くさせていた。

 かつては「冷酷で恐ろしい当主様」「何を考えているか分からなくて近づけない」と怯えていた使用人たちだったが、その認識は一変した。

「公爵様は……本当はすごくお優しい方だったんだ……」

「言葉数が少なくて、ちょっと不器用で、顔が怖すぎるから勘違いしていただけで……!」

「お命がけでお嬢様をお守りするお姿、なんてお立派なの……!」

「よし! 私たちも公爵様を見習って、ヴァルハルト公爵邸をあげて、全力でお嬢様をお守りするぞーーっ!」

「「「オーーーッ!!!」」」

 館の使用人たちが一丸となり、あたたかい絆で一致団結した瞬間であった。


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