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悪役令嬢の父親(冷徹非道)に転生した俺、前世の知識で娘の処刑フラグをへし折りに!  作者: シャロ


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いざ舞踏会に!④

皇帝夫妻への挨拶を終え、主人公とオリヴィアはダンスフロアの広がる会場の中央へと戻ってきた。

依然としてオーケストラの優雅な演奏が会場内に響き渡っている。先ほど皇后に一歩も引かず意見した冷酷公爵の威圧感に毒気を抜かれ、周囲の貴族たちは遠巻きに二人を見つめるばかりだった。

主人公は隣を歩くオリヴィアを見下ろし、低い声で静かに語りかけた。

「……さっきのことは気にするな。お前に許嫁など、まだ早すぎる」

「お父様……」

オリヴィアは胸の前で小さな手をギュッと握りしめ、パッと翡翠色の瞳を輝かせた。

「はいっ……! 私、お父様が守ってくださって……すごく嬉しかったです!」

その健気で眩しすぎる笑顔に、主人公の心内では(可愛いがすぎるだろ……っ!!)と大爆発が起きていたが、絶大なポーカーフェイスでそっと右手を取り、オリヴィアの前で洗練された動作で腰を落とした。

「……では、一曲付き合ってもらえるか? 我が姫君」

「ふふっ、はい! お父様!」

オリヴィアが満面の笑みでその手を重ねる。

二人がダンスフロアの中央へと足を踏み出すと、周囲の貴族たちから一斉に息を呑む音が漏れた。あの「氷の公爵」が娘と踊るなど、誰も想像すらしていなかったのだ。

最初は誰もが恐る恐るその光景を注視していた。しかし、完璧なステップを踏む主人公と、カーマインの仕立てた深緑のドレスを翻して妖精のように舞うオリヴィアの姿は、あまりにも幻想的で美しかった。

次第に恐怖は消え去り、会場全体の視線が二人に引き寄せられていく。曲がクライマックスを迎え、二人が完璧なフィニッシュを決めると——会場のあちこちから、溢れ出すような称賛の拍手が巻き起こった。貴族たちも思わず見惚れ、手を叩かずにはいられなかったのだ。

「お見事でした、オリヴィア様……! まるで本物の妖精のようでお美しかったですわ!」

ダンスを終えて会場の壁際に戻ると、待機していたメイドが駆け寄り、目を輝かせてベタ褒めした。

「あ、ありがとう……マリア。えへへ……」

オリヴィアが照れくさそうに頬を染め、主人公を見上げる。

「お父様、素敵なダンスをありがとうございました」

「……ふん、当然だ」

(ぐはっ、破壊力抜群の笑顔……!! 踊れてよかったぁぁぁ!!)と内心ガッツポーズを決めていたその時——突然、主人公の視界が後ろから両手で遮られた。

「だーれだ?」

「……脱力するような声を出すな、カーマイン」

背後から聞こえた聞き覚えのあるオネエ言葉に、主人公が呆れて手を開けさせると、そこには華やかな正装に身を包んだカーマインが立っていた。

「あら、相変わらずノリが悪いわねぇ。でも、私のところで仕立てた最高の一着を着てくれて嬉しいわ!」

カーマインは優雅に扇子をあおぎ、オリヴィアへと視線を向けてうっとりと頬を緩めた。

「オリヴィアちゃん、本当に素敵よ! 私の目に狂いはなかったわ。世界一かわいらしいお姫様ね!」

「カーマイン様! ありがとうございます!」

オリヴィアが嬉しそうに微笑む中、オリヴィアは首をかしげた。

(……なんでカーマインさんが、皇帝主催の舞踏会なんかにいるんだろう?)

オリヴィアの疑問を察したのか、カーマインは「ふふん」と鼻を鳴らし、しなやかな手つきで主人公の頬をツンツンと小突いた。

「あら? オリヴィアちゃん、『なんで私がここにいるのかしら』って顔してるわね?」

「……おい、つつくな」

主人公が冷ややかな目線でその手をペシッと払いのけると、カーマインは「あら嫌だ、冷たい男ねぇ」と扇子で口元を隠して見せた。

一方、思考を見抜かれたオリヴィアは驚きに翡翠色の目を丸くさせ、小さく首を傾げた。

「えっ……!? す、すごいです、カーマイン様……! どうして私が考えていたことが分かったのですか……!?」

素直に感動して目を輝かせるオリヴィアの反応に、カーマインは「ふふん」と大満足そうに鼻を鳴らし、自慢気に胸を張った。

「伊達に王都で大勢の女の子たちを見てきてないわよ〜。私の勘はとっても鋭いんだから、可愛らしいお嬢様の考えていることくらい、お見通しよ!」

(……オカマの勘、凄まじすぎだろ)

主人公が内心で舌を巻いていると、カーマインは自慢気に胸を張った。

「こう見えても、私は『シザリオ家』っていうれっきとした貴族の当主でもあるのよ? まあ、この男みたいに身分が高くはないけれど、家柄よりはほぼ『仕立屋カーマイン』のオーナーとして呼ばれているようなものかしらねぇ」

舞踏会の仕組みをまだよく知らないオリヴィアのために、主人公はフォローを入れる。

「……ここは貴族だけでなくても、国に大きな影響力を持つ者が招かれる場だ。大商人や……こいつのように王都一番の影響力を持つ店のオーナーもな」

「そうなのですね……! カーマイン様、すごいです!」

オリヴィアが尊敬の目を向けると、カーマインは「まあねぇ!」と嬉しそうに扇子を鳴らした。

「さて……と。オリヴィアちゃん、少しだけお父さんをお借りしてもいいかしら? 男同士(?)の積もる話があるのよ」

「はい! いってらっしゃいませ、お父様!」


(;゜∇゜)明日少し短くなります!

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