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第95話 防疫

シュバルツ「どうしたんだ?随分と弱気じゃないか?」

一樹「こんな世界だしな。万が一ってこともあるだろう」


俺達が居るのはいつものシュバルツのフラワーガーデンだ。

俺に何かあったときには、なるみを任せたいと頼みに来た。

俺が死んでも2時間はなるみの意思は存続できるはずだ。

その間にシュバルツがダンジョンコアに触れてくれればいい。


メイド「どうぞ」

一樹「ありがとうございます」


笑顔の素敵ないつものメイドさんがお茶を淹れてくれる。

なぜかビキニ姿なので胸の谷間と白い太もももまぶしい。


シュバルツ「それはそうなんだがな。何か不安があるなら相談に乗るぞ?」

一樹「不安・・・そうだな。みどりの所のガーディアンたちの豹変振りを見たらちょっと怖くなってな」


メインダンジョンのボス部屋にはシュバルツのアーチャーがいる。

俺が死んだときは、その2人に伝えるようなるみに言っておく予定だ。

そうすればシュバルツはエレベーターでボス部屋にすぐ来れる筈だ。


シュバルツ「人形だからな。持ち主が変われば挙動も変わるさ」

一樹「そうだな。あと、自我が消えるってどんな感じなんだろうと思ってさ。なるみももこもこも身体が破壊されることは怖いみたいだけど、自分の意思が消えることを怖がっている様子はないんだ」

シュバルツ「同じことさ。『人型インターフェイス』なんだろ?」

一樹「ああ、そうだったな」


確かになるみは自分のことを『人型インターフェイス』と言っていた。

本体は飽くまでダンジョンコアであって、なるみはAIのようなものなのだろう。

あの容姿も言動も、俺に「守らなきゃ」と思わせる為に計算された作り物。

だが、それは『遺伝子の乗り物』とも言われる俺達人間の自我とどう違うのか?


一樹「うおっ?」

シュバルツ「ああ、蜘蛛か。悪いな。でかいが毒は無いから安心してくれ」


シュバルツがペーパーナプキンで突くと、蜘蛛は花壇の方に逃げて行った。


一樹「飼ってるのか?」

シュバルツ「いや、そういうわけじゃないが、ハエやら草食昆虫やらを食べてくれるだろ。益虫ってやつさ」

一樹「なるほど」

シュバルツ「確か、兎人族の間では蜘蛛は神の眷属みたいな扱いじゃなかったか?トカゲもそうだな」

一樹「そうなのか?俺は抜根作業はけっこう頑張ったけど、その後の作業はまかせっきりでな」

シュバルツ「まあ、農作業する領主の方が稀かもな。とりあえず、あいつらの前では蜘蛛は下手に潰さない方がいい」

一樹「覚えておくよ」

シュバルツ「人間族だと蛇だな。ネズミとか食べてくれるから、益獣として有り難がってる」

一樹「なるほど」


そういえば日本でも蛇や蜘蛛を神の使いだという地域もあるんだっけ?

某有名教祖様は猫にやさしくしなさいと説いたとかってきくな。

時代も場所も違うけど、ねこ耳の豊穣の神様も居たか。

どれも益獣・益虫として人間にとって有り難い存在ってことだろう。


シュバルツ「なるみの件は引き受けた。街の方はうまくやれるか自信はないがな」

一樹「ありがとう。街の方は俺もほぼ公爵家に任せっ切りだよ。無許可での伐採禁止ってとこだけ堅持しとけばとりあえずは問題ないだろう」

シュバルツ「わかった。じゃあ、俺に何かあった時はスズネを頼むよ」

一樹「え?それはいいが、シュバルツを倒すような奴を俺がどうにか出来るとは思えないぞ?」

シュバルツ「別に俺自身が強いって訳じゃない。俺の『領域』を引き継げば、今ある『領域』と併せて俺以上に強くなるだろう?」

一樹「そういう事になるのかな?この世界に関する知識や経験はまだまだだけどな」

シュバルツ「そうでもない。俺以上にうまくやってるさ」

一樹「そうか?とりあえず、少し気が楽になったよ。ありがとな」

シュバルツ「気にするな。それより、新作のクッキーが出来ている。今の時期は果物がたくさん取れるからジャム系が多いな」


先ほどのメイドさんが綺麗にクッキーの並んだ皿を持ってきた。

新作のサンプルという事だろう。


一樹「ありがとう。どれも好評だよ。悪いな、結局『美味い』しか言わない冒険者と大差無いようだ」

シュバルツ「それでも街があるおかげで売り上げの差は比較できる。参考になるよ」

一樹「それならよかった」


どこまで役に立ててるのか不安だけどな。

既に王都の高級店を凌ぐ味らしく、領の売りが1つ増えてありがたい。

百貨店のテナント1つ分とはいえ、雇用もいくらか確保できたしね。

だが王国の通貨は要らないと言うし、何で返せばいいのやら。


一樹「話は変わるが、明日こっちに『聖騎士』が来る予定だ。狙いは俺のサブダンジョンらしいが、一応気をつけといてくれ」

シュバルツ「分かった。そっちは大丈夫そうなのか?」

一樹「たぶんな。途中までで帰ってもらう予定になってる。仮に向こうが約束を破ったとしても、簡単にやられるつもりはないよ」

シュバルツ「そうか。『聖騎士』の装備なら良い素材が取れそうだ。仕留められるなら仕留めた方がいい」

一樹「いや、出来れば穏便に帰って欲しいと思ってる。今の奴を倒してもすぐ次が沸いて出るからな」

シュバルツ「そうか。気をつけろよ」

一樹「わかった。そろそろ戻らないとな。ごちそうさま」

シュバルツ「いつでも来いよ。歓迎する」

一樹「話して楽になったよ。ありがとう」

シュバルツ「気にするな」


俺はシュバルツのダンジョンを後にする。

まさか向こうからもダンジョンコアを頼むと言われるとはね。

あれ?シュバルツは「スズネを頼む」と言ったか?

人形と言ってはいるが、やはり俺と似たような感覚はあるのだろう。


みどりの約15万ヘクスの『領域』を取り込むことで俺のレベルは78になった。

『領域』は1.5倍程に増えたが、日算収支は+4億弱が+5億強になった程度。

普通に全部取り込めば1日+6億弱になるはずだった。

そのうち1億をみどりに渡し、防衛設備とガーディアンの費用に当ててもらう。

具体的にどう使うかはみどりの裁量に任せることにする。


強さを求めるなら、もこもこの言う通り一元管理の方がよかったのかもしれない。

だが、できればそんな事はしたくない。

なるみやもこもこが生命なのかただのAIみたいな物なのかはよく分からない。

でも、消すとか消されるとかって話になるとやはり抵抗がある。

少なくともその背後には、俺を利用して生き延びたいと欲する意思がある。

みどりだって、こんな世界に力を失った状態で放り出されるなんて悪夢だよね。


ついでに打算も無いわけじゃない。

みずきともえかは、うちの睦月と如月と比べて桁違いに強かった。

同じガーディアンを召喚して他所にも配置できるなら心強い。

必要な素材とかいろいろ召喚条件があるらしいから今度詳しくきこう。


あのスチーム・スプラッシュとかいう技も面白い。

高温の蒸気を出すだけなら俺にも出来たが、手元に留めて置けない。

普通に放出しても盾で防がれればそれまでだ。

周囲の空気を押し流して敵の肺を煮る所までは至らない。

再現するには強力な魔道師系ガーディアンのサポートが必要だ。


ボス部屋の前を守っていたゴーレムも、うちよりかなり大きかった。

みどりともこもこは少数精鋭志向なのかもしれない。

『勇者』にゴブリン1000匹切りをさせようという俺とは対極的だな。

けど、『聖騎士』以上を力で止めようと思ったら俺が出るしかないよな?

となると、ガーディアンの役目はやっぱり疲弊させる事にならないか?


『聖騎士』の襲撃に備えて『ゴブリンダンジョン』を少し強化していきたい。

だが、このタイミングで大きく変えると俺の関与がばれてしまうだろう。

それに、俺のガーディアンで『聖騎士』と対等以上に渡り合うのは難しい。

目立たず地味に侵入者の精神と体力を磨り減らす、スライムにしよう。


スライムといえば、地球で見たゲームでは序盤の定番モンスターだった。

だが、この世界のスライムは非常に大人しく、積極的に人を襲うことはない。

動きも鈍く、地面を這って動物の死骸や枯葉なんかを食べて暮らしている。


ゆえにほとんどの人間にとって、特に脅威ということはない。

その一方で、冒険者にとっては厄介な、というか面倒くさい相手であるらしい。

野営の最中に荷物や装備品を食われると、穴が開いたり痛んだりする。

そして、ごく稀に寝呆すけが食いつかれて肌を赤く腫らしたりもする。


更に言えば、麻痺や重症で動けないときに遭遇すると悪夢だ。

生きたままじわじわと食われていくなど想像したくもない。

もっとも、そのケースでは相手がスライムでなくとも大差はないだろう。

それに大抵の場合、スライムより先に狼辺りが止めを刺してくれる。


さて、話を戻そう。

スライムの脅威は、主に「野営をのんびりできない」という点にある。

あるいは野営の際にスライム対策でひと手間増やす必要が出てくるともいえる。

冒険者の疲労を蓄積させる、または余計な手間や備品を増やす効果が期待できる。


俺が序盤にスライムを誘い込もうとしたのは、今思えば全く意味がなかった。

わずか全3層の小規模ダンジョンの中でわざわざ野営をする者はいないだろう。

スライムが防衛力として意味をなすのは、ある程度以上の規模があってこそだ。


今は地上1層と地下5層で計6層になっている。

それでも狭いから野営までは必要ないだろうが、休憩くらいはするだろう。

侵入者が休憩しそうなポイントの物陰にスライムを潜ませよう。

壁際に荷物を置いて休んでいると、鞄の底に穴が開いているという寸法だ。


なるみ「かずきおにぃちゃん、アーニャちゃんが話がしたいって向こうで待ってるよ?」

一樹「わかった。あれ?もう戻ってきたのか?」

なるみ「どうしたんだろね?なんか怒ってるみたいだけど」


アーニャたちが王都に向かったのは一昨日だったはずだ。

とんぼ返りで戻ってきたと言うことか。

怒ってる?何か怒らせるようなことしたかな?

マリーを危険に晒した件はいいと言ってくれたはずだが・・・。


ともかく行ってみるしかないか。

俺は地下鉄の消毒ブースに入り、飛行魔法を発動させる。

ドローンをイメージして魔力を注ぎ、回転翼を傾ける。


ドラ○ンボールみたいな飛行方法も試したがうまく行かなかった。

この世界の魔法は『想像』に魔力を注ぐことで発動する。

だが、『想像』がある程度以上具体的で鮮明で無ければ魔法は発動しない。

あの飛行法は俺の想像の域を超えているらしい。

出来ればあの高速飛行と空中での鋭角の方向転換を再現したかった。


だが、他の方法で方向転換は何とかなりそうだ。

魔道防壁の応用で中空に足場を作ることは出来た。

飛行中にそれを蹴れば急角度の方向転換ができる。

2アクション必要だから、素早く出来るように練習は必要だな。


数分も飛んでいると、すぐに開拓村の駅が見えてきた。

地下鉄の稼動が始まったら、ここを飛ぶことは出来なくなるな。

あとで消毒スプレーをそれぞれの拠点にも準備しておくか。


アーニャ「一樹!温泉宿周辺の毒虫・毒草調査の依頼、まだ有効かしら?依頼料も要らないし、地下鉄道も温泉宿も要らないわ。野宿してでも終わらせるから!」

一樹「そりゃ有り難いが、いったいどうしたんだ?」

アーニャ「あたしたちのパーティー、2連続で依頼未達成の扱いになってるのよ」

一樹「そうなのか?すまん。冒険者ギルドには話は通したはずだが、もう一度話しておくよ」

アーニャ「いいわ。開拓村出張所では確かに警備依頼は『やむを得ぬ事情により申告の上で離脱』、温泉宿の方は『不慮の事態と依頼人都合で中断』と報告してくれてるみたいなのよ」

一樹「それなら問題ないだろう」

アーニャ「通信機を持つギルドで確認したら両方とも遂行失敗の扱いになってたの。警備の方は仕方ないにしても、温泉宿の方は意地でも終わらせてやるわ」


一部の大きな冒険者ギルド支部では通信機で情報共有をしているらしい。

ここの出張所は羊皮紙でやり取りしているようだから、高価な魔道具なのかな?


一樹「やってくれるなら有り難いが、評価の件は公爵家の方にちょっと話してみるよ」


ローゼンヴァルト公爵家にこれ以上借りを作りたくはないが仕方ない。

元はと言えば俺の防衛体制の甘さが招いた事態だ。


アーニャ「結構よ。権力者に取り入って優遇されるパーティーとは思われたくないの。女ばかりだとそういう噂も立ちやすいのよ」

一樹「そうか、迷惑をかけるな。依頼料は改めて払うよ。地下鉄道と温泉宿も使ってくれ。そっちの体験評価も仕事のうち、というかそっちがメインだからな?」

アーニャ「そうだったわね。ところで、今回はマリーのパンツが必要な事態にはならないでしょうね?」


マリーの捜索が必要が事態、という意味か。

前回は残されたマリーのパンツの匂いを辿った。


一樹「そのはずだ。宿の雰囲気を壊さない為に目立たないようにしてはいるが、防衛体制はかなり強化している」

アーニャ「ならいいわ。マリーが魔界の動植物をいろいろ観察したいらしいの。依頼内容とも合致するし、あちこち案内してあげてくれないかしら?」

一樹「わかった。案内人を手配しておこう」

アーニャ「領主様はお忙しいかしら?マリーは前回とっても怖い思いをしたから、強い人が一緒の方が安心だと思うの」

一樹「そうだな、わかった。時間のある時に俺が案内しよう」

アーニャ「ええ、よろしくね」


アーニャは俺とマリーをくっ付けようとしてるのか?

くっ付く気はないが、前回の事を引き合いに出されると断れないな。

それはともかく、アーニャたちを送り届けるのはすぐにでも出来る。

だが、『聖騎士』達には明日まで待ってもらうことになっている。

先にアーニャたちを送り届けた事が知られると面倒なことになるか?


一樹「じゃあ、明日まで待ってもらえるか?『聖騎士』一行を送る予定になっているから、その便に乗ってくれ」

アーニャ「『聖騎士』ね。ちょっと面倒くさい相手だけど仕方ないわね」


『魔族』殺しの急先鋒とダンジョンへの『侵入者』である冒険者か。

こっちからすると似たような者に見えるが、仲がいいわけでもないのか。

ダンジョンを破壊したい者と維持活用したい者の違いという事かな?


そういえば、最近のアーニャ達はダンジョンに潜っている様子は無いな。

一言に冒険者と言っても、俺と彼女らの最近の関係は良好だと思う。

ひょっとして、アーニャ達は俺と交流がある事で教会から睨まれてる?


一樹「悪いな。席は離すようにしとくよ」

アーニャ「いいわ。別に敵対してる訳じゃないし、移動時間も短いものね。じゃあ、今日は準備に専念することにするわ」

一樹「そうしてくれ。じゃあ、ちょっと早いけどおやすみ」

アーニャ「おやすみなさい。またね」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


『ゴブリンダンジョン』には500匹のスライムを召喚しておいた。

大体どこの壁際に荷物を置いてもスライムに穴を開けられる事になる。

壁にもたれて休んでいるとお尻の所に穴が開いたりするかもしれない。


あそこのダンジョンには3500匹以上のゴブリンを配置している。

『聖騎士』率いるパーティーにとっては全く問題にならない相手だろう。

しかし、満足に休憩も取れない状況での連戦はさすがに辛いはずだ。


あそこは狭い小部屋がいくつも連なる構造になっている。

休憩するとしたら、背中をくっつけて中央に縮こまる事になるかな?

或いは休憩のたびに周囲一帯に火炎系魔法を撃ちまくるとか?

早々に諦めて撤退してくれるとうれしいけどね。


なるみ「かずきおにぃちゃん、なんか『聖騎士』一行が消毒手続きにごねてるみたいだよ」

一樹「どういうことだ?話はついてるはずだが?」

なるみ「若い騎士の方は『聖騎士』の人が抑えてるけど、女の人2人の方は抑える人が居ないんだよ。西側の生物の流入で『魔界』の生物が変容するならルシファー様の思し召しだとかなんとか」

一樹「狂信者ってのは面倒だな。素直に消毒を受けるか引き返すか選ばせろ。引き返すなら良し。無理に通ろうとするなら取り押さえて徹底消毒だ」

なるみ「おっけー」

一樹「反抗するならちょっとお仕置きが必要だな。敏感な所を入念に消毒してくすぐってやるか」


状況を確認しようとモニターを見ると、なぜか『白百合』の3人組が映っている。

後から来たはずだが、既に3人とも全裸になって消毒を受けている最中だ。

先に来た2人がごねているので、協力してくれる3人を先に通したのだろう。

ごねている2人の様子を確認するはずが、マリーたちを覗く事になってしまった。

あれ?マリー、少し痩せたか?


なるみ「それちょっと面白そう。腹筋痛くなるくらい笑わせちゃおうか」

一樹「そうだな。だが、後で揉めると面倒だ。一応『聖騎士』にも話を通しておこう」


このままでは協力してくれているマリーたちまで待たせてしまうことになる。

俺は駅舎を出てホームで待機している車両に向かう。


一樹「『聖騎士』殿、消毒については協力するとお約束頂いた筈だが、部下には伝えて頂いたかな?」

トールヴート「無論だ。何か問題でもあったか?」

一樹「女性2人がごねているようで部下が手を焼いているらしい。そこの若いのも随分とごねたそうじゃないか」

トールヴート「迷惑をかける。こいつは俺が抑えたが、必要なら女の方も俺が行こう」

一樹「いや、場所が場所だけに男は入れない。だが、出発をこれ以上伸ばすわけにも行かない。あの2人がこれ以上ごねるようなら、うちの女性スタッフで取り押さえて消毒するか、男2人だけで行って貰う事になるな」

トールヴート「ふむ、それは申し訳ない。手間をかけるが無理矢理にでも消毒を終わらせてくれ。女とはいえ戦場に立つ者だ。多少手荒になっても構わない」

一樹「承知した」


『聖騎士』の言質が取れたので俺は駅舎に戻る。


一樹「奴らの上司の同意は得た。取り押さえて徹底消毒だ」

なるみ「あいさー」


紺の全身タイツに身を包んだシャルロットとジュリエッタが2人を取り押さえる。

後ろ手に関節を極めると、素早く衣服を剥ぎ取って行った。

そして全裸になった二人の全身に入念に消毒液を噴霧していく。

スプレーが往復する度に敏感な場所を掠め、二人をくすぐっていった。


その間に2人の鞄を開け、中身を検めていく。

裏に持ち込んで詳しく調べようかとも思ったがやめておいた。

持ち物検査の件は事前に伝えてあるから機密文書の類は無いだろう。

貴重品が無くなったとか、後で難癖を付けられても面倒だしね。


女「ちょっと!勝手に触らなひゃうっ!どこに当ててるのよ!」

シャルロット322「急に動くからですよ。そちらから当てて来たんじゃないですか」

女「そんなわけ・・ひゃんっ」

シャルロット322「大人しくしてないと終わりませんよー」


もうちょっと懲らしめてやりたい気もするが、マリー達を待たせるのも悪い。

だが、衣類と手荷物の消毒が終わるまでの間はたっぷりくすぐってやろう。

くすぐり地獄でクタクタになった2人が髪を整える間もなくホームに向かう。

これでもう『魔界』行きはこりごりだと思ってくれるとうれしいけどね。


何度でも来て欲しい『白百合』一行と、これっきりにして欲しい『聖騎士』一行。

両者を乗せた観光列車風のちょっと豪華な地下鉄は、『魔界』へ動き出した。

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