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第70話 色付け


領民と『経済特区』住人の魔力波長の登録と身分証明書の発行が始まった。

開拓村では俺の拠点の南、デパートの東隣に役所を作り、そこで受け付ける。

角に穴の開いた銅板に名前と性別、生年月日、IDナンバーが彫られている。

色は無いが、けっこう精巧な肖像画も掘り込まれている。


ぱっと見はローテクなアナログIDだが、密かに細工がある。

内部に銀の魔導回路で暗号化された識別コードが仕込まれているのだ。

ID発券ゴーレムが高いのはその辺の偽造防止対策の為らしい。


旅行者など短期滞在向けにはナンバーのみの簡易IDが貸し出される。

発行料は銅貨2枚だが、これは返却時に返金される。

他に商会向け、出稼ぎ労働者向けなども作っておく。

商会向けは商隊の代表者用が1つと帯同者用数個がセットだ。


労働者向けのIDのデポジット料金をどうしようか迷った。

金が欲しくて働きに来るのにまず金がいると言うのは辛いだろう。

かと言って無料で乱発して使い捨てにされても困る。

こちらは期限付きでツケもOKとし、ID返却時の返金は6割にした。

出来ればIDは保持してまた来て欲しいからね。


一樹「この肖像ってカラーには出来ないかな?」

なるみ「できるけど、まずインクが要るね」

一樹「じゃあアーネストさんに頼んで取り寄せてみるか。写真用なら高品質なのがいいよな?」

なるみ「安いのでいいよ。どのみち王国で流通してるインクじゃ粒子が粗かったり不純物が多かったりでそのままじゃ使えないだろうからね」

一樹「どうするんだ?」

なるみ「コバルトちゃんたちに頼んで精製してもらうよ。残った分も子供用の絵の具やクレヨンには使えるんじゃない?」

一樹「なるほど、それはいいな」


マリーによれば絵を描くのは魔法の基礎訓練になる。

そうで無くとも、デザイナーや絵師が育成出来るかも知れない。

画材については基本的に公費で買って共用にするのがいいかな?

使用量などで不公平感は出るかもしれないがそこは仕方が無い。


日本の様に絵の具や色鉛筆を各自で用意って訳にもいかないだろう。

読み書き程度の教育すら全員には行き渡っていない世界だ。

学校でちょっと使うだけの画材代の出費を納得させるのは難しい。

画材だけでなく楽器とか、場合によっては筆記具も提供が必要かな?


なるみ「そこまで肖像を鮮明にするなら、IDカードは定期的に更新するの?」

一樹「そうしよう。復号キーもたまに変えた方がいいんだろう?」

なるみ「そうだね。今の人間族にこの暗号が解けるとも思えないけど、用心はした方がいいかな」

一樹「あと、警察とか一部の職業については分かりやすく色分けしとくか。警察は青で医者は赤とか」

なるみ「色を塗るだけだと偽装とかしやすいから、ちょっと複雑な模様とかシンボルを入れたほうがいいかもね」

一樹「確かにもそうだな」

なるみ「裏面に資格・免許一覧も書いとく?」

一樹「ああ、そうしよう。あと現住所もだな」


警察手帳に医師免許に学生証、オールインワンのIDカードだな。


一樹「いっそのことキャッシュカードにもしちゃうか。あと、電子マネーみたいなシステムって作れたりする?」

なるみ「できるよ。各店舗にも口座と端末を用意する必要はあるけどね」

一樹「あー、1台300万だったか。領内の全店舗分を揃えるのは難しいな」

なるみ「魔力波長で本人確認するなら300万必要だけど、カード情報を読み取って照会するだけなら50万くらいでいけるよ?」

一樹「それなら端末はなんとかなるかな。しかし、セキュリティは大丈夫なのか?」

なるみ「紛失・盗難時の報告はしてもらう必要があるね。あとは、メインの口座とは別に小額をチャージする形にすればいいんじゃない?」

一樹「なるほど」


日本で俺が使ってた電子マネーも、チャージは最大2万円だったか。

紛失・盗難時はチャージ分は失われる可能性が高いと説明もしとかないとな。

チャージ端末は本人確認のできる300万ポイントの奴にしておこう。


一樹「自国通貨をどうしようか迷っていたんだが、最初から全部仮想通貨にするか」

なるみ「いいねー。現金の管理コストってけっこうかかるっていうもんね」

一樹「そうらしいな」


住民たちにこの概念をうまく伝えられるかは自信がないけどな。

王国通貨をベースにするつもりだが、そのうち為替の問題も出てくるだろう。

ちなみに王国の通貨単位は『ゴルド』で金貨1枚が10万ゴルドらしい。

硬貨の種類と枚数でやり取りすることが多いから、あまり聞かないけどね。

そういえば鬼族の通貨ってなんなんだろう?やっぱ円なのか?それとも両?


一樹「そうだ、写真の話に戻るんだけど、紙に印刷とかもできるかな?」

なるみ「できるよ。ただ、紙作りから始めないといけないね。王国に流通してる紙だと写真を印刷するには荒いと思うから」

一樹「それもコバルトたちに頼めばいいのか?」

なるみ「それは製紙用ゴーレムだね。召喚コストは紙の質とサイズ、あとは製造ペース次第かな」

一樹「ゴーレム万能過ぎるな」


ゴーレムってのは機械とかロボットの総称と考えればいいのか?


なるみ「まあね!何の写真が欲しいの?やっぱりマリーちゃん?」

一樹「いや、アイドルグッズビジネスかな?人気の踊り子たちの写真を作れば金になるんじゃないかと思ってね」


マリーの姿なら写真が無くても鮮明に思い出せる。

鮮明な写真ができるなら、祝い事や記念日での記念撮影とかで稼げそうだ。


なるみ「なるほどー。お金は集めて何に使うの?」

一樹「え?あー、、まあ、いろいろだよ」

なるみ「ふーん?まあ、どんな素材でもとりあえず集めておけば後で役に立ったりするもんね」

一樹「まあ、そうだな」


お金って「素材」の扱いなのか?


なるみ「写真はどれくらい作るの?なるみが直接造ってもいいんだけど、たくさん造るなら印刷用のゴーレムを召喚したほうがいいかも」

一樹「ならゴーレムを召喚することにしよう」

なるみ「おっけー!じゃあ、デザイン考えとくね」

一樹「普通に箱型のプリンターでいいぞ?」

なるみ「えー?むー、けど確かにプリンターをかわいくするのって難しいかもしんない」

一樹「別に表に出すもんでも無いしな。それに、機能美って言葉もあるよ?」

なるみ「なるほどー。機能や効率を突き詰めた姿なら、森の生き物たちの美しさと通じるものがありそうだね」

一樹「ああ、そうだな」


俺はアーネスト商会に様々なインクをサンプルとして注文することにした。

最終的にどれが最適かはコバルトたちに判断してもらうことにしよう。


将来的には劇場でショービジネスも展開していく予定で居る。

『経済特区』の東には遊園地を作り、キャラクタービジネスも始めたい。

当然キャラクターグッズ、アイドルグッズの販売もやっていくつもりだ。

踊り子たちの写真の販売は、その下地作りというわけだ。

写真の売り上げの一部はモデルさんに還元し、彼女らの生活の安定にも繋げよう。


また、百貨店ではスカーフスライムを使った美容サービスも始めた。

メインターゲットは女性だし、スタッフも若い娘たちを中心に雇っていく。

貧困が理由で色街に流れるというケースを少しでも減らす為でもある。


スカーフスライムでは響きが悪いので『ドクタースライム』と銘打っておこう。

スカーフスライムは垢や抜け毛、角栓などを食べてくれる。

王国では飼育がうまくいって無いらしいのでここの名物の一つになるだろう。


ただ、服も食べてしまうのでフルコースでは全裸での施術になる。

それだけだとハードルが高いのでお手軽コースも用意しよう。

主に十代をターゲットにした銅貨5枚の鼻の角栓除去サービスだ。

若い層を取り込む事で将来の顧客を開拓する意図もある。


こちらも色街の女たちに好評のようだ。

肌の色艶はやはり売り上げに大きく影響する要素ということだろう。

加えて、王都からの客もちらほらと見かけるようになってきたらしい。

やはり『魔界』ならではのコンテンツは集客力が大きいのだろう。


一仕事終えて風呂に入っていると、いつものように女性型ガーディアンが入ってきた。

今日はハーバリストのマーガレットが相手をしてくれるようだ。

互いの体を一通り洗い終えると、同じくいつものように全裸報告会が始まった。


マーガレット「避妊ジェルの試作1号が完成しました」

一樹「もうできたのか?速いな」


マーガレットは円形の容器に入ったジェルを見せる。


マーガレット「はい。基本的なレシピは普通に出回ってますので、今回はまだ私なりに若干の改良を加えた程度ですから」

一樹「なるほど・・・」


アルミは材料の特定に時間がかかると言っていたな。

それに出回っていると言っても、俺はその手の資料を手配した覚えはない。

ガーディアンは設定された職業ごとに基本的な知識も入っているということか。


マーガレット「というわけで、さっそく使用感をテストしてみましょう。お手数ですがこれを塗って頂けますか?」

一樹「ああ、わかった」


マーガレットが俺に円形の容器を握らせる。


マーガレット「奥の方までようく塗り込んで下さいね」


足を開いてこちらにお尻を突き出したマーガレットが言う。

ただ、誘うような仕草と裏腹に口調と表情は実に朗らかだ。


俺は指にたっぷりとジェルを乗せて割れ目に差し込んだ。

女性型ガーディアンのここに指を入れるのは初めてだな。

こんな所までしっかり作り込まれているのか。


マーガレット「まずは側面によく塗り広げてください。はい、そんな感じです。最後に子宮口の所に乗せる感じでたっぷり置いて下さい。もうちょっと奥です。はい、ありがとうございます」


デリケートな所をいじられている筈なのに全く動じる気配を見せないマーガレット。

俺ばっかりドキドキしてるのがなんか悔しい。


マーガレット「では実際に精液との反応を確認しましょう。中で出してください」

一樹「えっと・・・入れるの?」

マーガレット「はい、おねがいします」


屈託の無い笑顔でマーガレットは俺のほうにお尻を突き出す。


一樹「えっと、反応を見るなら、外のほうが観察しやすくないかな?」

マーガレット「そうですかね?では・・・」


マーガレットは手のひらにジェルを取って俺のほうに差し出す。


マーガレット「ここに出してください」


・・・・いや、無理だろ。


一樹「すみません、やっぱり中でお願いします」

マーガレット「分かりました。では、どうぞ」


屈託のない笑顔でマーガレットは再びお尻を突き出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


マーガレットのなかはとてもきもちよかったです。

筋肉を個別に操作できるらしく、圧力を自在に変えられるのはすごい。

マーガレットは俺のモノを丁寧に舐めてきれいにした。

最後に俺の両手をおっぱいに押し当てる。


マーガレット「では、今日はこれで失礼しますね」

一樹「ああ、ご苦労だった」


この退出の挨拶はローズがセレーナたちのプレイを見てから加わったルーチンだ。

内容は偏りがちな気もするが、彼女たちも学んでいるということだろう。


後日、マティルデたちも呼んで試させてもらったが好評だった。

俺の方としても、使用感はかなりいい感じだったと思う。

避妊と殺菌消毒機能についてはマーガレットを信用することにしよう。

改良を加えつつ量産を開始し、色街を中心に売り出していくことにする。


本格的に生産が始まれば、輸送コスト分王国よりこっちが価格的に有利だ。

変に関税とかかけて要らぬ反感を買う必要もないだろう。

後はユーザーの声をフィードバックしつつ改良を加えていく。

いい物が完成したら、今度はこっちから輸出することも出来るかもしれない。


石鹸、クッキー、ドクタースライム、避妊ジェル。

マリョクタケが育てば各種ポーションの販売もできるかな?

少しずつではあるが外貨獲得手段が増えつつある。

『経済特区』で提供する食材も少しずつ自領産に切り替えていく予定だ。

「数量限定!魔界の珍味カミツキウサギの肝の串焼き」なんて幟も見える。

『魔界』ならでは街造りは、着実に進んでいるようだ。

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