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第二話 『我、異世界に爆誕せり』

本日三話投稿で、これは二話目です

「ーかーたぞ!」「ーでとーござーーすーおーさー」


意識が覚醒した。

自分の周りで、人がなにかをか言ってるのがわかる。耳に水が詰まってる感じでよく聞き取れないが、聞こえてくる声には歓喜の色が含まれているようだ。

どういう状況なのかと目を開けようとするーーが、うまく周りが見えない。仕方なく、手探りで周りに何があるか確かめようとするーーも、うまく動かせない。手足があるのかないのかすらもわからない。


なにもできない。神様方は『いけそう』とか言ってが、まさかの全身不自由での転生のようだ。というより、この状況で喜んでる周りの人達も酷いのではないだろうか。

いよいよ涙と泣き声が出そうになる。


「オ、オ、オギャアアァアア!!」

オギャアアアアアアアアアア??

何の声だろうか。泣きたいのはこちらだというのに、別の人が泣き始めたのだろうか。


「おお、泣いたぞ!」「ふふ、元気な子ね」


なぜか周りの人たちの声に一段と歓喜の色が入る。


また泣きそうになる。


「オギャアアアアアアアアアア!」


また同じ声が——と思ったが、違和感を感じる。


みんなおはよー!と言おうとしてみると——


「うぅ、だああ」


………先ほど感じた違和感は当たっていたようだ。この鳴き声は、他でもない自分のものであったようだ。


***


状況を整理すると、前世で死んで赤子に転生、という感じだろうか。


名前は、レイルらしい。言語は日本語じゃないのだろうが、なぜか読み取ることも聞き取ることもできるので、不自由はなかった。


家にいる人は、父、母、兄、そしてメイド服を着た使用人さん三人、

この家は、使用人さん含め家族全員美形の超有望一家であった。自分の時代の到来も近いか——とレイルは微笑んだ。


この家はかなり大きく、居間一つとっても見たことない大きさであった。家柄がいいのかもしれない。


突然だが、元ニートにとって『暇』とは最も恐ろしいことだ。何もしない時間から目を逸らして現実逃避に浸る。これが俺の前世のスタイルだった。そして、赤子になった今、その『暇』を持て余している。パソコンもラノベもゲームもない(というかあっても使えない)世界でやることはただ一つ。


睡眠、である。


赤ちゃんってずっと寝てても怒られないし、どちらかというと喜ばれる。でも、俺は寝過ぎて母さんを心配させることが多々ある。

レイルは、そんな日々を怠惰に消化していた。他の赤ちゃんたちは生きるのに必死なのだろうが、レイルにとって今の状況は合法ニートであった。普通のニートが違法なわけではないが。


***


この世界に来て大体一週間が経った。


昼間に爆睡をかましたレイルはなかなか寝れず、ベビーベッド(のようなもの)の上で寝転がって天井を見ていた。


その時であった。


〈あーあー、聞こえるか?〉


突然どこからともなく聞こえてきた声にビクッとする!急に聞こえてきた(というより頭の中に響いてきた)声に仰天し、思わず泣き出してしまった。

その後母親がやってきて授乳されたりオムツ(こっちでは布切れみたいなもの)を変えられたりと1時間ほど家中大慌ての大惨事を巻き起こした。


事態がひと段落して、先ほどの声への返事のように頭の中で言葉を唱えてみる。


『ブラジルの皆さーん!聞こえますかー!』


と頭の中で念じた数秒後。

〈Este é o Brazil. とでも言ってもらいたかったか?〉


めちゃめちゃいい発音の聞き慣れぬ外国語が聞こえてきたのだ。


『何語!?てか誰?』


〈愛神が名乗っただろう。主神だ。〉


『あ、あの時の神様!ノリがいいんですね。』


あの時も“お前はもう、死んでいる”とか言われたことを思い出す。


『で、いきなりですが何のご用でしょうか。』


〈(切り替えが早すぎる…)…こちらの世界の説明だ。去り際に説明が欲しいとか言ってたからな。〉


『何とお優しい!誠に有難うございます。』

〈早速説明を始める。まず、この世界は知っての通り異世界。この世界には『神助(しんじょ)』というものが存在する。神助とは文字通り神からの助け。基礎体力が格段に上がったり、使える魔法の強さが格段に上がったりと強大な力が与えられる。しかし、その力は神助を受ける人間の努力と元からの運動神経や魔術の才能で裏付けされていないと力をなさない。神は人の努力する姿が好きだからな。〉


『魔術の才能は、後天的なものなのですか?』


〈ああ。よっぽどのことがない限り、訓練すれば後天的にどんな者でも魔術は使えるようになるし自身の魔力量も増える。〉


前世読んでいたライトノベルでは、魔力量は、先天性だったが、この世界では後天的に強化できるようだ。


『なるほど。ところで、話の内容から、主神様が私めに神助を与えてくださるのですか?』

このタイミングで声をかけてくださるってことはそういうことだろ!


〈いや違う〉


『違うの!?』


〈5歳になったら『降臨の儀』と呼ばれる儀式がある。そこで己に神助があるかないか、あればどの神が神助につくのかがわかる。ただしそこで神側に拒否をされたら神助についてはくれない。ちなみに拒否する基準は神次第だ。〉


特殊能力については、一旦は5歳になるまで待つことになるようだ。


〈説明は以上。あとのところは自分で勉強しろ。〉


『説明有難うございました。神助をいただけるよう精進いたします。』


〈そうするがいい。さらばだ。〉


そうして主神との会話(念話?)は幕を閉じた。

5歳までは勉強漬けになりそうであった。勉強嫌いだが、異世界無双のためには致し方ないかと思う。


そう考えてるうちに睡魔が襲ってきた。

こうして異世界にきてから7日目は幕を閉じたのであった。


お読みくださりありがとうございます。

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