第五話 未知なる実在
話を聞くと魔王を探すオメマは…彼等と同じく、悪役令嬢を退治に向かっているらしかった。
「ですわ、それと後もうひとり…」
夜空はオメマが言い切る前に、スマホ画面を覗くと…
[魔王秘書オメマは、勇者夜空を殲滅対象とは知らず、共におうとへ]
(そうかそうか…ん、こんな事書いたっけ。)
彼による加筆と、エリザの修正…それと、放置する事による、自動書記で小説は進んでいるのだ。
「勇者ネイビー夜空をぶっ殺すっ!のですわ。」
「ひええ、夜空って…この勇者…んぐぐ」
余計な事を言う相棒エルフの口を押さえ、耳元で小声で
「黙れメーソン、コイツらは悪役令嬢退治後、討伐予定の魔王軍だ…」
そう言い、納得させる。
「は、ハイ夜空様…モゴモゴ、へえ〜そんな悪い勇者がいるのですね。」
その場を取り繕う事に成功する。
「そうです。ソイツも令嬢と同じく、この世界を改変させる能力を持ってますの。お二人もお気をつけて。」
「(夜空とメーソン、気のない声を揃え)気をつけま〜す。」
王都へ向かう三人は、中々辿り着かないので…途中の小さな村に立ち寄る。
そこの露店で買った牡蠣を、木の切り株に座り食した。
「全然王都が見えませんわね…」
「確かに、方向は合ってるはずなんだがな。ま、気を落とさずに頑張って行こ。」
焦燥するオメマを勇気づける夜空。
「夜空様…この牡蠣の味、おかしくありません?」
メーソンの問いかけに、自分も違和感を感じている事に気づく。
「コレ…腐ってますわよ。」
オメマの一言に、吐き気をもよおすふたり…
「(夜空とメーソン)オエェ〜!」
オメマもつられて
「オエェェ〜!」
(はっ、王都でなくて…嘔吐やんっ。)
またしても、誤字に翻弄される夜空達。
その頃王宮では、ケーキから助け出された魔王と王女エリザが話し合っている。
「つまり、貴方が魔王ウィズで…ワタシとその勇者夜空とか言う輩を退治に来たと。」
カキカキ…
[魔王ウィズ、悪役令嬢と共闘し…勇者夜空を退治する。]
話ながら、小説を更新するエリザ。
「王女よ、我と共に…」
(ホラ、かかった…チョロいチョロい。)
キーンコーンカーンコーン!
突如、チャイムが鳴る。
「では、今日から私が校長先生です。」
急に…ソファーへ深々と腰掛ける、侍女のマリス。
「ハイ、校長…」
思わず声を揃える、ウィズとエリザ。ふと、スマホ画面に目をやると
「し、しまった…共闘ではなく、教頭と書き間違えてたわ。」
相変わらず、文字の誤変換が多い悪役令嬢だった。
「今回のボケは、弱めですね…」
容赦ないマリス。




