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The hip  作者: かずっち
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4/6

第三章:秋の楓


僕の名前にふさわしい景色だ……。最近は少し涼し

げになっており、山は赤く燃えるように紅葉してい

る。約半年間の修行を終えた。この半年間はつらい

ものだった。暑い中トレーニングをしたり、実戦形

式をしたりと忙しかったがもう過ぎたことだ。そし

て今日、この日、橘先輩を倒すーーー。

「久しぶりだな。なんのようだ?」

「お久しぶりです。橘先輩を倒しに来ました」

「前戦ったときは圧倒させたのにか?」

「あれは半年前のことです。修行してきました」

「でも成長しているのはお前だけじゃないぞ」

「わかってます」

「いいだろう、始めようか」

「パンッ」

開始の合図として木村先輩が手を叩く。まずは初手

からのロングアタック!腕で防がれ決まらない。

そして落ちていくところを攻撃されるが問題ない。

衝撃を最小限にして少し吹き飛ばされる程度で

すんだ。そこを攻撃してくるがかわし、横から横腹

に向けてアップアタック!よし、今度は決まった。

このまま、足に一撃入れて動きをひるませることに

成功した。いまだ……!地面を蹴り上げ、ジャンプ

する。顔面に、ヒップアタック!決まった………。

だが、落ちて行くときに一撃喰らってしまった。

ガードしたもののかなり吹き飛ばされる。さすがの

体格だ………。距離を詰めながらロングアタック!

しかし……ガードされる。腕を突き抜け体に当たっ

たがダメージがまるで入っていないように見えた。

それどころか余裕の表情を見せる。くそ!またも

落ちて行くところで一撃喰らう。吹き飛ばされ、今

度は相手が距離を詰めてくる。よし!これはかわせ

た。回り込み背中にアップアタックを入れる。一度

攻撃を仕掛けてくるが関係ない………。触れずにか

わして、足にヒップアタックをする。


まずい……。攻められている。この状況を打開する

ためにはーー。パワーだ!絶対に渾身の一撃を喰ら

わしてやる。ここだ!捉えた………そう思ったのも

束の間。ブンッと空をきる音。空振りした。少しも

当たらず見事なまでに心地よく避けて見せたのだ。

体勢を整えようと姿勢を上げる。が………目の前に

あるのは青い空でもなく黄色い砂の地面でもない。

黒い……影ーー。楓が飛んだ。この一瞬で………

ここまで。ほぼ棒立ち状態の俺の顔の前まで飛んで

見せた。並の瞬発力と跳躍力がないとできない。

「ガンッ」

顔面に喰らってしまう。だが、攻撃後の無防備状態

は健在のようだな………。一撃なんとか喰らわせる

ことができ、距離を取らせることが成功した。ーー

凌いだ。伊織の心の奥底に最初に浮かんだ感想が

それだった。このままじゃ負けるかもしれない。

ならばーーー。

「リミッター解除‼︎」


きた、そう感じた。橘さんがリミッター解除をする

原因は二つある。一つ目は長期戦になると予想した

とき。もう一つは致命的なダメージを負ったとき。

どちらにせよこれはチャンスだ!こちらも未来予測

を使う。橘さんが距離を詰めて、ヒップアタックを

仕掛ける。それを受け流し、回り込む。しかし、

上手くいかず途中で一撃喰らってしまった。さすが

のパワーだ。体が宙にーー。やばい………これは!

「まずい!」

「『ロマン砲=空弾銃』‼︎」

「ガンッ」

くそ!意識してなかった!今のでだいぶ体力をもっ

てかれたな………。体が思うように動かない。立ち

上がるが、攻撃を仕掛けてくる。それをかろうじて

かわし、体勢を整える。ここから一撃、二撃と攻撃

を仕掛けていく。だが、そう上手くはいかず一撃目

はガードされ、二撃目は受け流される。そして二段

アタックで体力を消耗した僕に攻撃をしてくる。

迎え撃とうとするものの吹き飛ばされ、今度は橘

さんが攻めてきた。勢いのついた強めの攻撃。

ガードするが弾かれ、激しい痛みが腹部を襲う。

少し距離を取り落ち着かせる。そして、橘さんに

一撃喰らわした。早くなんとかしないと。長期戦に

なるとこっちの消耗の方が激しいため負ける。少し

無理やりだが………今、相手に衝撃を与える方法で

一番いいのはあれだーーー。

「『瞬間砲=四極連撃』‼︎」

「なに⁉︎」

「ガン ガン ガン ガンッ」

ーーー決まった。そして僕は………橘さんに

勝ったのだったーーーー。


「今年の文化祭のテーマは『混沌』だ!」と先生が

宣言した瞬間、僕の頭の中には桃太郎が鬼ヶ島でタ

ピオカを売る姿が思い浮かんだ(?)そう!今は

9月。文化祭があるのだ!ちなみに僕のクラスは

午前に出し物をし、午後は自由に楽しむという感じ

だそうだ。まずはクラスの出し物を決めていく。

「まずはジャンルから」と先生がいい、黒板に劇、

飲食店、体験、ミニゲーム、と書かれた。それから

色々あり結局多数決で劇に決まった。ーーー劇か。

あんまりやりたくないな………。

「よし、じゃあ今度はなんの劇をやってもらうのか

 決めてもらうがーーー」

           ・

           ・

           ・

そうしてまた、クラスで意見を出し合いなんの劇に

するか、誰がどの役をやるのかをある程度きめたの

だが…………。

「シンデレラの劇を男子だけでやるって、誰が決め

 たんだよ」

教室の響くため息が高校生活最初の文化祭への期待

と絶望を同時に語っていた。というのも女子がほと

んど役に付かずこの物語で一番重要かつ大切なシン

デレラの役が決まっていないのだ。

「誰がシンデレラの役をやってくれる人は

 いませんか?」

「シーン…………」

これには先生と学級委員も涙目。

「じゃあ、もう、くじでよくないですか?」

クラスの一人がそう言うーーー。結局、学級委員の

呼びかけは虚しく、クラスでくじにしようと決まっ

た。段ボールで作った手作りの箱から紙を取り出し

その紙に“シ”と書かれていた人がシンデレラの役を

やることになり、一人ずつ引いていった。

「それではせーので、開いてくださいね。せーの」

                    

いやぁ出るね〜吹き出すね〜

冷や汗と脂汗の混合物(ミックス)が………。

“シ“に殺意が湧いたのは初めてだよ。

「では、あたりの紙を引いた人は誰ですか?」

あたりじゃねえよ、と思いつつ静寂に包まれた教室

の中で一人。手を挙げる。

「うおー!いいじゃん」

「よくねーよ」

「小柄だし。なんか似合いそう」

はぁー最悪だ……。よりによってシンデレラの衣装

を着なきゃいけないなんて。


        〜練習〜

「やめなさい。弱いものいじめはダメ」

「クスクスッ」

なんでこんな目になったんだーーー。練習は女装

こそしていないものの、セリフ一つ一つ読むごとに

男子たちに笑われるのはいくらたっても慣れない。

その後、極度のストレスにより食欲がぜんぜんわか

なくなった。


「今日はついに待ちに待った文化祭。思いっきり楽

 しみましょう」

周りが盛り上がっているなか僕、ただ一人だけは

憂鬱な気持ちに浸っていた。いっそのこと休んで

やろうかとも思ったが周りからめちゃくちゃ圧を

かけられまくったので断念した。『シンデレラ』

の劇は午前中の最後の方にやるらしいので、それ

まで練習となった。ーーーそして、最後の練習を

終えて前のクラスの劇が終わったようだ。

「続いては『シンデレラ』です」

司会の人がそういうと、僕は体育館のステージ上を

歩く。結構人がいるなーーー。恥ずかしい………。

「いえ、まだよーーーー」

「これで『シンデレラ』を終わります。ありがとう

 ございました」

パチパチパチパチと、拍手されるものの恥ずかしす

ぎてそれどころではない………。でも、そんなこと

はどうでもいい。なんせ午後から自由なのだから。

もうあの衣装も着なくていいし、変なセリフも言わ

なくていい。そう考えると胸が高まる。よかったな

カエデ ワタナベ。

「かえでーーー。良かったゾ。お前の劇」

ロシア系アダルトサイト好きで有名な颯太が話しか

けてくる。

「何もよくねぇよ」

「まぁまぁ、せっかく午後からは自由なんだし楽し

 もうぜ」

「それもそうだな。まずは昼飯か………」

「お腹がすいた〜らご飯を食べに行こう♪」

「でも、どこに食べに行こうかな?」

「やっぱメイドキッーーー」

「お前はママのおっぱいでも吸っとけ」

「(デデドン⁉︎いつも下ネタを言わない楓が……)

 まぁ、グラウンドにある屋台でも食べるか」

そうして僕らは他のクラスの出し物を見つつグラウ

ンドに向かった。

「なぁ楓。ジャン負けであの伊勢海老フライ奢ら

 ね?」

誰だあのバカみたいな商品を考えたのは………。

「出さなきゃまけよ、ジャンケンぽい!」

「ちょっとまーーー」

無惨にも負けてまう………。はぁ今日はほんといい

ことないなーー。

「よっしゃあ、やったぜ」

「はいはい、わかったよ」

まったく、高スギ〜だろ。

「はい、お買い上げありがとうございましたーー。

 ほらなノリでバカなやつが買ってくんだよ」

そんな声がヒソヒソと聞こえる。本当にバカなのは

こっちだったのか

その後も色々な出し物を巡りながら楽しんで、

無事?高校生活最初の文化祭を終えたのだった。

ちなみに彼女に呼び出されて、何かと思ったが、

別れ話をされたのはまた別のお話ーーー。

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