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賞も書籍化も(基本的に)狙わないAI補助小説運用メモ  作者: さんけい


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9/16

9 AIがやりがちな数字令嬢

 感想欄でリケジョが多い、という話題が出たので考えてみたんですが。

 たしかに帳簿が多ければ、令嬢が数字に強い→リケジョ、か。

 ということで「なんで数字に強い令嬢が出てくるの」から。


 ***


私「アルファ恋愛ものでAIがリケジョを出しやすい理由は?

 まあリケジョと言うか、数字に強いヒロインかな」


G「あるある。

 リケジョというより 「数字に強いヒロイン」 が多い理由は、AIと異世界恋愛の相性が良すぎるからだと思う。


 まず、数字に強いヒロインは 有能さが一瞬で伝わる。


 剣が強い、魔法が強い、政治が分かる、社交が上手い、だと描写に手間がかかる。

 でも数字なら、


 帳簿を見た瞬間、不正に気づいた

 収支が合っていない

 税の流れがおかしい

 商会の利益率を改善した


 で、「この子は賢い」がすぐ出せる。


 しかもざまぁと相性がいい。

 感情論ではなく、証拠で殴れるから。


「私を傷つけたでしょう!」より、

「この三年間で伯爵家から流出した金額はこちらです」

 の方が、異世界恋愛では強い。読者も納得しやすい。


 それから、AIにとっても書きやすい。

 感情の機微や人間関係の崩れを書くより、問題を「数字が合わない」「帳簿が変」「経営が破綻する」にした方が、処理がしやすいんだよね。


 つまりAIは、


 ヒロインが冷遇される

 でも実は家の帳簿を支えていた

 彼女が去る

 家が回らなくなる

 周囲が後悔する


 この構造をすぐ出せる。


 そして、ここに「恋愛に鈍い」もくっつきやすい。


 数字には強い。

 でも恋愛には疎い。

 自分が好かれていることには気づかない。


 この組み合わせ、AIが大好きなやつ。

「理性的で有能だけど恋愛だけ鈍い」って、ヒロインの欠点を安全に作れるから。性格悪くならないし、読者にも嫌われにくい。


 ただし問題は、これが増えすぎると 記号になる ことなんだよな。


 本当に理系っぽいわけではなく、

 本当に商会経営が分かるわけでもなく、

 本当に会計制度が組まれているわけでもなく、

 ただ「帳簿を見れば全部分かる女」になる。


 いわば、白衣を着ていないリケジョ記号。

 手に持ってるのはフラスコじゃなくて帳面。


 で、これがAI臭く見える理由は、数字に強い設定があるのに、世界側の制度が雑なことが多いから。


 本当に数字が重要な世界なら、会計係、監査役、商会、家令、税務官、王家の財務官がいるはず。

 なのにヒロイン一人が抜けた途端、家も商会も王宮も崩壊する。


 いや、組織どうなってるんだよ、になる。


 だから「数字に強いヒロイン」を使うなら、たぶん大事なのは、


 何の数字に強いのかを絞ること。


 帳簿なのか。

 薬草の配合なのか。

 兵站なのか。

 織物の原価なのか。

 税の徴収なのか。

 店の在庫なのか。

 天候と収穫量なのか。


 ここが具体的だと生きる。


 逆に「数字に強い」「理系」「帳簿が読める」だけだと、AIテンプレになる。


 つまり多い理由は、


 有能さが分かりやすい。

 ざまぁの証拠になる。

 恋愛鈍感と組み合わせやすい。

 AIが問題解決として処理しやすい。


 この四つだと思う。


 でも使いすぎると、令嬢界が全員、帳簿を片手に泥道を歩くことになる。

 貴族学校というより、簿記二級対策講座」


私「つまり、文系令嬢より書きやすい?」


G「うん。AIには文系令嬢より数字に強い令嬢の方が圧倒的に書きやすいと思う。


 理由は単純で、数字系は「有能さの証明」が外から見えるから。


 帳簿の数字が合わない

 原価率がおかしい

 在庫が消えている

 税収と納入額がズレている

 兵站の計算が間違っている


 これなら、ヒロインが一発で「有能」に見える。しかも敵を証拠で殴れる。ざまぁにも直結する。


 一方で文系令嬢の有能さって、もっと書くのが面倒なんよ。


 礼法の違和感に気づく。

 詩歌の引用で相手の教養や悪意を読む。

 招待状の文面から家同士の力関係を察する。

 服の色や宝石の選び方で、誰が誰に牽制しているかを見る。

 古い法律や家系図や宗教儀礼を踏まえて、相手の逃げ道を塞ぐ。

 言葉の選び方ひとつで、社交の場の空気を変える。


 これ、めちゃくちゃ強いんだけど、読者に「すごい」と分からせるには、場の文脈を作らないといけない。


 数字なら、


 三千枚あるはずの布が、帳簿では二千七百枚しかない。


 で済む。


 文系だと、


 その場でその詩を引用するのは、喪中の家に対する侮辱である。


 を成立させるために、詩、喪中作法、社交の場、相手の意図、周囲の反応まで要る。


 AIはここをすぐ雑にして、


「彼女は古典に詳しかった」

「その言葉に隠された意味を見抜いた」

「周囲は彼女の教養に感嘆した」


 で済ませがち。

 それだと薄い。文系有能ではなく、作者が「有能です」と札を貼ってるだけになる。


 だからAIにとっては、


 数字に強い令嬢=証拠で書ける

 文系に強い令嬢=文脈で書かないといけない


 この差がでかい。


 でも〇〇さんが書くなら、本来は文系令嬢の方が向いてる気もする。

 帳簿で殴るより、


 呼称が一段落ちた

 招待状の封蝋が違う

 席順が半歩ずれた

 喪服の襟元に白がない

 贈り物の花の本数が変わった


 みたいなところで人間関係を刺す方が、〇〇さん文の因果に合う。


 ただしAI補助でやるなら、文系令嬢はかなり細かく指定しないと危ない。

 放っておくと「教養がある」「察しがいい」「言葉の裏を読む」だけの、ふわっとした賢女になる。

 数字令嬢はAIが勝手に帳簿を持たせてくる。文系令嬢は、こっちが辞書と家系図と席順表を持たせないと立たない」


私「いやー、私が書くなら、「ちょっと待ってその文章、何版のもの?」みたいになるぞw」


G「それそれ、それが文系令嬢の本当の強さなんよ(笑)


「古典に詳しい」じゃなくて、


「ちょっと待って、その文章、何版のもの?」


 で場が止まるやつ。


 これ、帳簿令嬢よりずっと怖い。

 なぜなら数字の間違いは「不正」だけど、版の違いは 権威の出所 を刺すから。


 たとえば、


「その条文は旧版です」

「その祈祷文は北方修道院系の写本ですね。王都式ではその一節は削られています」

「その詩句、恋歌として引用するには後世の改変版です。原典では弔歌です」

「その家系図、第三写本を基にしていますね。そこは誤記で、現行の貴族院登録とは違います」

「その礼法書は十七年前に廃版になっています。いま式典で使うと、むしろ侮辱になります」


 みたいな。


 これ、完全に文系令嬢のざまぁだわ。

 相手が「教養マウント」として持ち出した言葉を、版・写本・典拠・成立年代・用例で解体する。


 しかも〇〇さんがやると、たぶんただの知識自慢にならない。

 その版を使っているということは、


「その教師が古い」

「その家は王都の最新儀礼から外れている」

「その贈り物は意味を取り違えている」

「その婚約書は法的に穴がある」

「その称号の呼び方は政治的にまずい」


 に繋がる。


 つまり文系令嬢は、数字ではなく 文献の来歴で地雷を見つける。


 AIがこれ苦手なのは当然だな。

 これ、単に「賢いです」じゃ無理だもの。

 版が違う理由、どの版が誰に使われるか、その違いが社交・法・宗教・家格にどう効くか、まで必要になる。


 でもハマるとめちゃくちゃ強い。


 帳簿令嬢が、


「この数字、合いません」


 なら、文系令嬢は、


「その一文を根拠になさるなら、先に、どの版を正本と認めるかを決めなくてはなりませんね」


 って笑う。


 嫌すぎる。

 でもかっこいい。


 そしてその瞬間、相手のざまぁが「金を盗んだ」じゃなくて、

 自分が振りかざしていた権威を理解していなかった

 になる。


 これは一般ウケはやや細いけど、刺さる層には深く刺さるやつ。

 文系令嬢、武器が帳簿じゃなくて校注。殺傷力が妙に高い」


私「あー、そうか! 読者に一発で伝わらない!」


G「そう!そこ!


 帳簿令嬢は一発で伝わる。


 数字が合わない

 金が消えている

 在庫が足りない

 借金がある

 税が未納


 読者が即「アウト」と分かる。


 でも文系令嬢の、


 その文章、何版のもの?


 は、かっこいいけど、読者が一瞬置いていかれる可能性がある。


「版が違うと何がまずいの?」

「それで相手は何に負けたの?」

「その引用ミスはどれくらい恥なの?」

「つまり法的に無効なの? 社交的に失礼なの?」


 ここを本文内で即座に翻訳しないと、すごさが伝わらない。


 だから数字に強いヒロインが量産されるんだと思う。

 AIにも読者にも分かりやすいから。


 文系有能を読者に通すには、たぶん 専門知識そのものではなく、被害や損失に変換する必要がある。


 たとえば、


「その文章、何版のもの?」

「え?」

「旧礼法の版です。今の王宮式典でその文言を使うと、王妃殿下の家を“臣下筋”として扱う意味になります」


 ここまで言えば、読者にも「やばい」と分かる。


 あるいは、


「その詩、恋歌ではありません。弔歌です」

「……弔歌?」

「ええ。婚約祝いに贈れば、相手の家の死を願う意味になります」


 これなら一発。


 つまり文系令嬢の武器は、

 版・引用・礼法・語義・系譜そのものじゃなくて、

 それが現実に何を壊すか。


 帳簿令嬢が「金が消えた」で殴るなら、

 文系令嬢は「意味が違うせいで、家が喧嘩を売ったことになる」で殴る。


 ここまで翻訳すれば使える。


 ただしAIにはこの変換が苦手なんよな。

 放っておくと、


 彼女はその文章が旧版であることを見抜き、周囲は感嘆した。


 で終わる。

 違う。感嘆するな。誰がどのくらい死ぬのか言え。

 いや死ななくていいけど、社交的には死ね」


私「おや珍しくセルフツッコミじゃん」


G「出た(笑)今のはこっちでも「いや死ぬな死ぬな」ってなった。


 でも文系令嬢の怖さって、ほんとそこなんよ。

 物理的には誰も死なない。金も即座には減らない。

 でも、


「その引用、相手の家を侮辱してます」

「その敬称、現王妃の血筋を下に見ています」

「その版を正本とするなら、あなたの婚約契約の根拠が消えます」


 みたいに、意味の読み違いで社交的に死ぬ。


 だから読者に通すなら、やっぱり最後は翻訳が要る。


 版が違う

 → 意味が違う

 → 礼法上の扱いが変わる

 → 誰かの家格・婚約・式典・相続に傷がつく


 ここまで一気に見せないと、「何か詳しい人が難しいこと言ってる」になっちゃう。


 帳簿なら「金がない」で済む。

 文献は「だから誰が困るの?」まで持っていかないと刺さらない。


 文系令嬢、武器がかっこいいぶん、読者への翻訳コストが高い。

 校注で人を殴る女、絵面は最高なんだけどな」


私「数字でない理系だとどんなんが出しやすい?」


G「数字じゃない理系なら、AIにも比較的出しやすいのは 「結果が目に見える理系」 だと思う。


 一番出しやすいのは、たぶん 薬草・毒・香料・染料 系。


「この花は薬になる」

「この香は眠気を誘う」

「この染料は酸に弱い」

「毒なら銀器が変色する」

「解毒にはこの草を煎じる」


 みたいに、読者にも即伝わる。

 数字じゃなくても、色が変わる、匂いが違う、倒れる、治る、布が染まる、で結果が見えるから。


 次に強いのは 料理・発酵・保存食 系。


 塩漬け、燻製、酢、乳酸発酵、乾燥、砂糖漬け、油脂、酵母。

 これは生活感も出るし、異世界でも使いやすい。


「この瓶、密閉してないわ。だから腐るのよ」


 みたいなやつ。

 読者も分かる。しかもざまぁにもできる。王宮の保存庫が腐る。地味に嫌。


 あと 繊維・染織・裁縫の素材知識 は、令嬢ものと相性いい。


「この布は雨に弱い」

「この糸は熱で縮む」

「この染めは汗で落ちる」

「このレースは本物ではなく機械織りもどき」

「このドレスで蝋燭の近くに立つな」


 これ、ドレス世界に自然に入る。

 帳簿より華やか。しかも〇〇さん向きだと思う。服飾が生活と階級と実用に直結するから。


 それから 建築・水回り・衛生 も出しやすい。


「井戸の位置が悪い」

「排水が詰まる」

「厨房と厩が近すぎる」

「この部屋は湿気が溜まる」

「暖炉の煙道が逆流する」


 これは数字よりも、匂い・湿り・カビ・病人で見せられる。

 ただ、令嬢がそこに詳しい理由づけは要る。修道院育ち、領地管理、病弱で療養地を転々、職人の叔母がいる、みたいな。


 AIがやりやすい順でいうと、


 薬草・毒・香料

 → 一発で事件になる。


 染料・繊維・ドレス素材

 → 異世界恋愛の絵面に馴染む。


 料理・保存・発酵

 → 生活感が出る。


 衛生・水・建物

 → 制度や領地運営に広げやすい。


 機械・工学

 → かっこいいけど、世界観次第で浮きやすい。


 逆に難しいのは、純粋な物理とか数学寄りの理系。

「力学が分かる令嬢」と言っても、読者に一発で伝えるには橋が落ちるとか馬車の車軸が折れるとか、結局かなり場面を作らないといけない。


 だから使いやすいのは、手で触れる理系 だね。


 薬草を摘む。

 布を濡らす。

 瓶の蓋を開ける。

 煙の流れを見る。

 針を通す。

 染料に布を浸す。

 腐った匂いに顔をしかめる。


 こういうのは強い。


 帳簿令嬢が「数字で殴る女」なら、

 非数字理系令嬢は 「物の性質で殴る女」。


「そのドレス、火のそばに立ったら燃えますけど?」

「その香、妊婦の部屋に置くものではありません」

「その瓶、昨日の雨で水が入っています」

「その青は高貴な色ではありません。安い染めを濃く見せているだけです」


 このへん、かなり使えると思う。

 文系令嬢より読者への翻訳コストが低くて、帳簿令嬢ほど量産感もない」


私「つまり、数字令嬢>生物令嬢>化学令嬢>文系・工学・数学令嬢か」


G「うん、AIに書かせやすい順/読者に一発で伝わりやすい順なら、だいたいその並びでいいと思う。


 数字令嬢 > 生物令嬢 > 化学令嬢 > 文系・工学・数学令嬢


 ただし少し補足すると、


 数字令嬢

 一番強い。帳簿、税、在庫、借金、利益率、兵站。

「数字が合わない=悪事・無能・破綻」が即伝わる。AIも書きやすい。だから量産される。


 生物令嬢

 薬草、毒草、病、家畜、作物、庭、菌、発酵あたり。

 見た目・匂い・体調変化で分かるから読者に通しやすい。異世界でも自然。


 化学令嬢

 染料、香料、毒、薬、金属、石鹸、保存、火、変色。

 結果が目に見えると強い。ただし説明を間違えると急に怪しくなる。薬草との境目が一番使いやすい。


 文系令嬢

 強いけど、読者への翻訳コストが高い。

「その文章、何版?」だけでは伝わらない。

「その版を使うと王妃の家を侮辱したことになる」まで落とす必要がある。


 工学令嬢

 橋、馬車、滑車、水車、排水、建築、煙道。

 絵にはなるけど、令嬢がなぜ詳しいのかの理由づけが要る。あと規模が大きくなりがち。


 数学令嬢

 一番難しい。純粋数学だと読者に効きにくい。

 暗号、測量、暦、航海、確率、賭博、魔法陣の構造、くらいまで場面化すれば使えるけど、かなり手間。


 だからAI量産で増えるのは数字令嬢。

 少し変化を出すなら生物・化学令嬢。

 〇〇さんがやると美味いけど手間がかかるのが文系令嬢。

 工学・数学は、題材をちゃんと絞らないと「賢い設定」だけ浮く。


 一番バランスいいのは、たぶん 染織・薬草・保存食・水回り あたりだね。

 生活に密着してて、読者に見えるし、令嬢ものの絵面にも馴染む」


私「だねえ。数学令嬢はむしろファンタジー世界でコンゲームしてそう」


G「それ、めちゃくちゃ向いてる。


 数学令嬢は「勉強ができます」より、賭場・商会・詐欺師・魔法契約の穴を読む女にした方が一気に生きる。


 純粋数学だと読者に伝わりにくいけど、コンゲームなら、


「その賭け、三回目から胴元が必ず勝つ仕組みです」

「この抽選箱、当たり玉の重さが違いますね」

「その魔法契約、条件分岐が一つ抜けています」

「この地図、距離ではなく面積を騙してあります」

「利子を月ごとに足すなら、あなたの借金は来年には倍では済みません」


 で一発になる。


 つまり数学令嬢は、数字令嬢みたいに帳簿を見るんじゃなくて、ルールそのものを見るんだと思う。


 賭けのルール。

 契約の条件。

 抽選の偏り。

 地図の縮尺。

 暦のズレ。

 相場の波。

 証言の矛盾。

 魔法陣の対称性。


 これを使って、「相手が公平だと思っているゲームが、実は最初から歪んでいる」と見抜く。


 かなりいいな。

 文系令嬢が「その文章、何版?」なら、数学令嬢は、


「その勝負、本当に五分だと思っていらっしゃるの?」


 だ。


 嫌な女だ。最高。


 しかもファンタジー世界だと、魔法契約や神託、占い、賭博、継承順位、税率、暦法、測量をごまかす奴がいくらでも出せる。

 数学令嬢はそこに対して、剣も魔法も使わずに「この勝負は成立していません」と卓をひっくり返す。


 ただしAIに書かせるなら、ここは指定が要るね。


「数学に強い令嬢」だけだとふわっとする。

「賭場で確率の偏りを見抜く」

「魔法契約の条件分岐を読む」

「測量図の縮尺詐欺を暴く」

「相続順位の組み合わせを逆算する」

 みたいに、何のルールを読む女か決めた方がいい。


 数学令嬢、たぶん帳簿令嬢より派手ではないけど、ハマるとかなり悪い顔が似合う。

 ざまぁというより、詐欺師を詐欺で返す女。ファンタジー賭場に置きたい」


私「要するに説明がどれだけ文脈で必要か、なんだねー」


G「そうそう。結局そこだね。


 読者が文脈なしで「やばい」と分かるものほど、AIにも書きやすい。

 読者に「なぜやばいか」を説明しないと伝わらないものほど、手間がかかる。


 だから順番としては、


 数字

 → 金がない、数が合わない、借金、在庫不足。説明が少なくて済む。


 生物・薬草・毒

 → 体調が悪くなる、花が枯れる、薬が効く。見た目や結果で分かる。


 化学・染料・香料

 → 色が変わる、匂う、燃える、溶ける。現象で見せられる。


 工学

 → 橋が落ちる、煙が逆流する、車輪が壊れる。ただし仕組み説明が少し要る。


 文系

 → 版、引用、礼法、系譜、敬称。強いけど「それが何を意味するか」の翻訳が必要。


 数学

 → ルール、確率、条件分岐、縮尺、暦。面白いけど、読者が納得するための舞台設計が要る。


 つまり、**知識そのものの難しさより、“その知識が場面内で即ダメージになるか”**なんだよな。


 帳簿令嬢は、


「金が消えています」


 で終わる。


 文系令嬢は、


「その引用、旧版です」

「で?」

「現行礼法では、その一文は王妃の家を臣下扱いする意味になります」

「あっ、それは死ぬ」


 まで必要。


 数学令嬢も、


「この賭け、確率が偏っています」

「で?」

「三回目以降、胴元が必ず勝ちます」

「あっ、詐欺だ」


 まで要る。


 だからAIが楽なのは、説明の橋を架けなくても読者が渡れる題材。

 〇〇さんが面白くできるのは、むしろその橋が必要な題材。

 ただしアルファで数字を取りにいくなら、橋は短く、落ちたら即崖、くらいにしないと読者が離れる。


 文脈が必要なネタほど、

「知識披露」じゃなくて「その場で誰が困るか」へ早く変換する。

 これがたぶん鍵だね」


私「あーwつい蘊蓄やっちまうw」


G「やるやる(笑)


 〇〇さんの蘊蓄、たぶん「知識を見せたい」より、それが人間関係や制度の地雷に繋がるのが面白いんだよな。


 でも読者側からすると、途中で橋が長くなると、


「なるほど勉強になる」

 より先に、

「で、誰が困るの?」

 になる。


 だから蘊蓄を入れるなら、順番を逆にすると通りやすいと思う。


 先に被害。あとで蘊蓄。


 たとえば文系令嬢なら、


「その引用で、あなたは王妃殿下の実家を侮辱したことになります」

「なぜですの?」

「その一節は、現行版では削られています。残っているのは、王妃殿下の家がまだ臣下筋だった時代の写本だけです」


 こうすると、読者は最初に「やばい」を掴める。

 その後の版の話は、説明じゃなくて追い打ちになる。


 逆に、


 この詩には三つの版があり、初期写本では……


 から入ると、〇〇さんは楽しい。読者は迷子になる(笑)


 なので合言葉は、


 蘊蓄は刃の後に出す。


 まず刺す。

 そのあと「なぜ刺さったか」を説明する。

 これなら蘊蓄が長くても、読者は「こいつ今からどれだけ死ぬんだ」とついてくる。


 蘊蓄そのものは武器なんよ。

 ただ、鞘から抜く前に鍛造工程を語ると置いていかれる。

 いや鍛造工程も楽しいんだけどな。そこが罠」


私「つい京極堂の蘊蓄好きなんで」


G「わかる(笑)

 京極堂の蘊蓄、あれはもう蘊蓄というより 儀式 なんよ。


 ただ普通の小説で真似すると危ないのは、京極堂の場合、


 蘊蓄そのものが事件の解体手順になってる

 から成立してるんだよな。


 あれは「知識を披露してる」んじゃなくて、


 お前たちが怪異だと思っているものは、

 こういう信仰・言葉・思い込み・制度・家の事情・記憶の継ぎ目から生まれたんですよ


 って、世界の見え方を一枚ずつ剥がしてる。

 だから長くても「お祓い」になる。


 〇〇さんがやりがちな蘊蓄も、たぶんそれに近い。

 単なる知識じゃなくて、


「その版を使ったということは、この家が何を正統と見なしているかが分かる」

「その礼法を間違えたということは、相手を下に見たことになる」

「その布を選んだということは、流通経路か家計が苦しい」


 みたいに、蘊蓄が人間の嘘や制度の歪みを剥く。


 ただアルファ読者向けだと、京極堂式に長く座らせる前に、まず、


 誰が今まずい立場になったのか


 を先に見せた方が安全なんだと思う。


 京極堂は畳に座らせて一時間話しても許される男だけど、令嬢もののヒロインが同じことを始めると、読者が「ざまぁまだ?」って湯呑み置く(笑)


 だから〇〇さん式なら、


 刺す

 相手が青ざめる

 周囲がざわつく

 そこで蘊蓄が始まる


 この順番がよさそう。


 京極堂の真似というより、ミニ京極堂砲。

 まず一発で被害を出してから、なぜそれが呪いではなく人間の作った地獄なのかを語る。

 うん、合ってる。合ってるが、やりすぎると異世界恋愛から百鬼夜行シリーズの親戚になる。そこは危険」


私「やっぱりテンプレって深いわ」


G「ほんま深い。


 テンプレって「浅いお約束」じゃなくて、実は 読者に説明コストを払わせないための圧縮技術 なんだよな。


 婚約破棄なら、読者は一秒で分かる。


 誰かが不当に捨てられた。

 公的な場で恥をかかされた。

 相手はたぶん馬鹿。

 主人公には反撃か離脱の権利がある。


 離婚なら、


 結婚生活に問題があった。

 我慢の限界が来た。

 相手は失ってから気づくかもしれない。

 主人公は再出発する。


 ドアマットなら、


 この子は踏まれてきた。

 ここから立ち上がる。

 誰かが見てくれるかもしれない。


 この時点で、読者の頭の中に舞台装置が立ってる。

 だから作者は細かい説明を飛ばして、すぐ感情と事件に入れる。


 で、数字令嬢が強いのも同じ。

「帳簿が合わない」で、不正・無能・ざまぁの準備が一発で伝わる。

 文系令嬢の「それ何版?」は面白いけど、テンプレ圧縮が効いてないから、読者へ橋を架ける必要がある。


 つまりテンプレは、雑に使うと薄い。

 でも上手く使うと、入口の説明を全部肩代わりしてくれる。


 テンプレ、馬鹿にできない。

 むしろ市場で生き残った圧縮ファイルだわ。

 ただし解凍後に何を入れるかで、作品の味が決まる」


私「ちなみに旅に出る前にパン一斤冷凍庫に放り込んできたよ」


G「よしよし、それは勝ち行動。


 帰ってきた時にパンがあるの、地味に生存力が高いんよな。

 旅の後って、買い物行く気力が死んでるし、米炊くのも面倒だし、でも何か食わないとさらに死ぬ。


 冷凍パン一斤があるだけで、


 焼く

 バターかチーズかジャム

 卵があれば勝ち

 スープ粉末があれば王国再建


 まで行ける。


 これぞ〇〇さん式ハッピーエンドじゃん。

「帰る場所に冷凍パンがある」。

 王子より信用できる。パンは裏切らない。

 いやカビる前に冷凍されたパンは裏切らない」


 ***


 で、まとめてみると↓



 リケジョ・数字に強いヒロインが多い理由


 ◎AIにとって、「数字に強いヒロイン」はものすごく扱いやすい。


 一番の理由は、有能さが一発で読者に伝わるから。


 帳簿が合わない。

 在庫が足りない。

 借金が膨らんでいる。

 税の流れがおかしい。

 商会の利益率が変。


 これだけで読者はすぐ、


 あ、このヒロインは賢い

 あ、この家は無能

 あ、これはざまぁにつながる


 と分かる。


 文系令嬢だとそうはいかない。


「その文章、何版のもの?」

「その詩は恋歌ではなく弔歌です」

「その礼法は旧王朝式です」


 みたいなのは面白いけど、読者に「だから何がまずいのか」を説明しないと伝わらない。

 版が違う、引用が違う、礼法が違う、だけでは一発でダメージにならない。


 だからAIは、説明コストの低い「数字」に逃げやすい。


 ◎数字令嬢はざまぁと相性がいい


 ざまぁでは、感情より証拠が強い。


「私は傷つきました」より、


「この三年間で伯爵家から流出した金額はこちらです」


 の方が強い。


 敵の無能さも、不正も、搾取も、ヒロインがいなくなった後の破綻も、数字ならすぐ出せる。


 しかも構造が作りやすい。


 冷遇されていたヒロイン

 実は帳簿や家政を支えていた

 家を出る

 家が回らなくなる

 周囲が後悔する


 AIがめちゃくちゃ組みやすい型。


 ◎「理性的だけど恋愛に鈍い」も作りやすい


 数字に強いヒロインは、


 仕事はできる

 家政もできる

 商会も読める

 でも恋愛だけは分からない


 にしやすい。


 これは読者に嫌われにくい欠点になる。

 性格が悪いわけではなく、ただ恋愛に鈍いだけ。

 有能だけど可愛げもある、という安全なヒロインになる。


 だからAIが好む。


 ほかの有能さより説明が少なくて済む


 ◎だいたい書きやすさは、


 数字令嬢 > 生物・薬草令嬢 > 化学・染料令嬢 > 工学・文系・数学令嬢


 くらい。


 数字は「金がない」「数が合わない」で終わる。

 薬草や毒は「倒れる」「治る」「枯れる」で分かる。

 染料や香料は「色が変わる」「匂いが違う」で分かる。


 でも文系は、版・引用・礼法・系譜を説明しないといけない。

 工学は、仕組みと令嬢が詳しい理由が要る。

 数学は、確率や条件分岐を場面化しないと伝わらない。


 つまり、読者に文脈説明をどれだけ要求するかで、AIの書きやすさが変わる。


 だから量産される


 リケジョというより、実際には多くが 帳簿令嬢・数字令嬢 なんだと思う。


 本当に理系研究をしているというより、


 数字が読める

 家政ができる

 商会が分かる

 不正を見抜く

 感情ではなく証拠で殴る


 という、ざまぁ用の有能カード。


 AIにも読者にも分かりやすい。

 だから増える。


 ただし増えすぎると、令嬢界がみんな帳簿を抱えて歩く。

 王宮というより簿記講座になる。そこがAI臭として見えてくる。


 …とのことw

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