5 それじゃ何でAI小説は読まれたのか
これは少し、別のルートの話もしますが。
冒頭で、YouTube界隈で様々な2ちゃんねる風テンプレ修羅場系が量産型として収益剥奪された、という話を出しました。
これは去年の半ばから広がりつつあった、YouTube運営側の方針転換のせいがあります。
作り手の顔が見えるようなものを残すようなものが、運営側の求めるものでした。
そうすると、プロデューサーの下、プロット、シナリオのライターと映像編集がそれぞれ複数いて、毎日数本回す、というのはその対極にある存在となります。
秋から冬にかけて、多くの修羅場系機械音声ものとか、朗読系が消えていったのは、その可能性が高いです。
サムネイルが並んだ時に、いつも同じだ、と運営側のAIが判定してしまう、らしいです。
あくまで「らしい」ですが。
ただ、この量産される、「いつも同じような型の修羅場」「同じような型のおかしい人の話」「同じようなスカッとする話」というのは、人気があるんですよ。少なくとも日本においては。勧善懲悪系の話が好きな国、と言ってもいいでしょう。
実際それを、昔は水戸黄門だの暴れん坊将軍だの必殺シリーズだの、ハングマンだの、火曜サスペンス劇場だの、そういう「何時何分に印籠が出る」くらいの同じバターンのもの、がテレビにたくさんありました。
また、ドロドロした昼ドラもそれにあたります。えぐい構造が最終的にきちんとまとまる、という意味ではあれも一つのパターンです。
ただ何故か日本はこの楽しき繰り返しものをテレビの上から捨ててしまったようで。残念な話。
現在の「それ」を求める部分が、スカッと系動画や、修羅場もの、ショートドラマ等――あくまで等、ですが――に流れていったと思います。
で、小説サイトの恋愛もの、特に異世界恋愛は、その枠に入るのだと思います。
この場合、異世界の世界観とか、しっかりした政治制度などは、ある程度まで必要ですが、ある程度以上になると、邪魔になります。
あくまで異世界恋愛は、感情曲線のドラマですから。
そしてここに、テンプレを作るのが上手いAIははまった、という訳です。
異世界恋愛、とくにざまぁ物は、だいたい異世界の皮はかぶっていても、中身はヨーロッパや近代近世の記号の中にある現代感覚の感情の話ですから、感情のパターンを描くことができるなら、確かにそれは読まれる訳です。




