第十五話 台風再接近
※本作品はフィクションです。
登場する人物・団体・企業・鉄道・駅名・路線・車両などはすべて架空のものであり、実在するものとは一切関係ありません。
海陽地方を襲う台風は、ついに再接近の時を迎えようとしていた。
舞洲鉄道の営業列車は、すべて運転を終了している。
普段なら多くの列車が行き交う舞洲本線、舞洲東線、空港線、その他各線。
しかし今は、駅や留置線、車両センターで車両が静かに待機していた。
運転司令室では、司令員たちが各地の状況を確認している。
『司令長、最新の気象情報です。』
『報告を。』
『台風は現在、海陽地方の南約五十キロまで接近しています。まもなく最接近となる見込みです。』
『各駅の状況は?』
『現在、大きな異常は報告されていません。』
『留置車両は?』
『舞洲駅、新舞洲駅留置線、舞洲空港駅、車両センターともに異常ありません。』
司令長はモニターを見つめた。
外では激しい雨が降り続いている。
窓の外を見ることさえ難しいほどの雨だった。
その時、別の司令員が声を上げる。
『司令長!』
『どうしました?』
『新舞洲駅から報告です。』
『報告を。』
『留置線付近で強風が確認されています。現在、車両には異常ありませんが、駅係員が定期的に確認を行っています。』
『了解しました。無理のない範囲で安全確認を続けてください。』
『了解。』
司令室には、雨風の音が直接聞こえてくるわけではない。
しかし、モニターに表示される風速や雨量の数値が、台風の強さを物語っていた。
『風速、さらに上がっています!』
『現在の数値は?』
『毎秒三十五メートルです。』
司令長は少し黙った。
『引き続き全路線、運転見合わせを継続してください。』
『了解。』
その頃、舞洲空港駅。
空港線の列車が駅構内で待機している。
駅係員は、駅構内に残っている利用者へ案内を続けていた。
『台風接近のため、空港線は運転を見合わせています。運転再開については、台風通過後に安全確認を行ったうえで判断いたします。』
外では強風が吹きつけ、駅のガラス越しにも雨が激しく打ちつけていた。
一方、司令室。
『司令長、舞洲本線から設備状況の報告です。』
『お願いします。』
『信号設備、通信設備ともに現在異常ありません。』
『舞洲東線は?』
『こちらも現在異常ありません。ただし、雨量が非常に多くなっています。』
『その他各路線は?』
『異常ありません。舞洲東線と並びに雨量が非常に多くなっています。』
『引き続き監視をお願いします。』
『了解。』
そして、台風の中心が海陽地方へ近づく。
『台風の中心がまもなく海陽地方を通過します!』
司令室の全員がモニターを見る。
数十分後。
『……風速、下がり始めました。』
『台風の中心が通過したようです。』
司令長はうなずいた。
しかし、すぐに運転再開を指示することはなかった。
『まだ列車は動かしません。』
司令員が振り返る。
『安全確認を先に行います。』
『了解。』
『線路、信号、架線、駅設備。すべて確認してから運転再開を判断してください。』
『了解しました。』
台風は、少しずつ海陽地方から遠ざかっていく。
しかし、舞洲鉄道にとっては、ここからが新たな仕事の始まりだった。
運転を再開するためには、まず安全を確認しなければならない。
司令長はモニターを見つめながら、静かに言った。
『各担当、復旧作業の準備を開始してください。』
『了解!』
止まっていた舞洲鉄道が、再び動き出すための準備が始まった。
第十五話を読んでいただき、ありがとうございました!
今回は、ついに台風が海陽地方へ最接近しました。
第十四話で営業列車をすべて運転見合わせにしましたが、今回はその後の司令室や各駅の様子を中心に描いてみました。
台風が通過したからといって、すぐに運転を再開できるわけではありません。
線路や信号、架線、駅設備などに異常がないか、安全確認をしてから運転再開となります。
次回からは、いよいよ台風通過後の復旧編に入っていきます!
果たして舞洲鉄道は、どのようにして運転を再開していくのか。




