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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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84話

大会当日。

朝からSNSは、今回のイベントの話題で埋め尽くされていた。


Re:Burst VS LIVENTO GAME FESTIVAL


三日間にわたって開催される大型ゲームイベント。

参加するのは、Re:Burst、LIVENTO、そして今回限りの特別チームであるSPECIAL TEAM。


クロのチャンネルでも、開会式の配信が始まろうとしていた。


「……よし、音声問題なし。映像も大丈夫」


自宅の配信環境を確認しながら、俺はマイクの位置を調整する。

隣では真琴がタブレットを操作していた。


「クロさん、各チームの待機状況も問題ありません。そろそろ開会式が始まります」


「了解。そっちは任せた」


「はい。今日は忙しくなりそうですね」


「まあ、三日間あるからな」


「そうですね。無理はしないでくださいね」


「分かってるって」


そう答えたところで、配信画面が切り替わった。


『始まった!』


『待ってました!』


『ついに大会当日か』


『SPECIAL TEAM楽しみすぎる』


画面中央にイベントロゴが表示され、明るいBGMとともに司会者が登場する。


『皆さん、お待たせしました! 本日より三日間開催される大型イベント、Re:Burst VS LIVENTO GAME FESTIVAL! いよいよ開幕です!』


会場の歓声が配信越しにも伝わってくる。

最初に紹介されたのはRe:Burstだった。


『まずはRe:Burst!』


鬼灯ガク、天狼シュウ、黒羽ノア、神崎レン、白瀬カイたちが順番に登場する。


『ガクさーん!』


『シュウの煽りに期待』


『ノアちゃんいる!』


『レンくん頑張れ!』


ガクがカメラに向かって大きく手を振り、レンが隣で笑っている。


「おいおい、今日は負けねえからな!」


ガクの声が会場に響いた。

続いて、LIVENTO。

天音ルナ、白雪ミオ、灰堂蓮、星宮アリス、夜崎ノア、狗神ジン、水瀬ルナ、天城レオ。


「今日は全力で楽しみます!」


ルナが笑顔で手を振る。


「勝ちますよ。もちろん」


蓮がそう言うと、隣のジンが小さく笑った。


「当然だろ」


『LIVENTO強すぎる』


『ジンとレオいるの怖い』


『アリスちゃん頑張れ!』


そして、最後。


『それでは、本日のもう一つの注目チーム! SPECIAL TEAMの登場です!』


会場の照明が少し落ちる。

大型モニターにチームロゴが映し出された。


『SPECIAL TEAM!』


最初に登場したのは俺だった。


「どうも、クロです。今回は普段なかなか一緒に遊べないメンバーが集まってくれました。よろしくお願いします」


『クロだ!』


『主催兼参加者みたいになってる』


『本当にメンバー豪華すぎる』


続いて、雨音しずく。


「雨音しずくです。今日は皆さんと一緒に楽しみながら、頑張りたいと思います。よろしくお願いします!」


『しずくちゃん!』


『クロさんのところにいるときと雰囲気違うな』


朝霧レイ。


「朝霧レイです。こういうお祭りみたいなイベントは大好きなので、楽しみにしていました。よろしくお願いします!」


透乃ユラ。


「透乃ユラです。皆さんの足を引っ張らないように頑張ります。よろしくお願いします」


冬月ユキ。


「冬月ユキです。まあ、せっかく集まったんだから楽しみましょう。よろしくね」


Riot。


「Riotです! みんな、今日はよろしく! Let's win!」


『Riot元気だなw』


『海外勢までいるの本当に豪華』


そして、最後の一人。


「シオンです。よろしく」


短い挨拶に、会場から笑いが起きる。


『シオンさんだ!』


『伝説がいるんだが』


『この人が参加するのか……』


最後に、画面が切り替わった。

白と黒を基調とした衣装。肩まで伸びた銀色の髪。青い瞳。


そこに映った姿を見た瞬間、コメント欄の流れが変わった。


「久遠カナタです。今日はクロに誘ってもらって、久しぶりに皆さんとゲームができることになりました。よろしくお願いします」


『…………え?』


『え?』


『久遠カナタ!?』


『待って、あのカナタ!?』


『引退したよね!?』


『本物なの!?』


会場にも大きなどよめきが広がる。

カナタは少し困ったように笑った。


「えっと……驚かせてしまったみたいですね」


「まあ、そりゃ驚くだろ」


俺が横から口を挟む。


「俺も最初に誘ったとき、断られると思ってたし」


「ふふ。クロから誘われたからね」


「それだけ?」


「それだけ、というか……また一緒に遊びたかったんだよ」


カナタの言葉に、俺は少しだけ笑った。


「そっか」


司会者が改めてカナタに質問する。


『今回の参加は、活動復帰ということなのでしょうか?』


「いえ、今回はイベント限定です。配信活動を再開する予定はありません。昔の友達と一緒にゲームができる機会をもらったので、参加させてもらいました」


『復帰ではないのか』


『でも姿が見られただけで嬉しい』


『イベント限定でもありがとう』


カナタはコメントを見て、少しだけ目を細めた。


「昔から応援してくれていた人もいるみたいで……ありがとうございます。今日は楽しんでいってくださいね」


その言葉に、会場から温かい拍手が起こった。

その後、SPECIAL TEAMのメンバーがそれぞれ簡単に挨拶を済ませ、開会式は進んでいった。

そして、最初の競技が発表される。


『それでは、第一種目を発表します!』


大型モニターに映し出されたのは、四人一組で挑戦する協力型ゲームだった。

複数のステージを攻略し、チームワークとクリアタイムを競う形式らしい。


『各チームから四名が出場! 残りのメンバーは控室から応援していただきます!』


「最初から四人か」


俺はSPECIAL TEAMのメンバーを見る。


「誰が出る?」


ユキが尋ねてきた。


「今回は俺、カナタ、レイ、ユラで行こうと思う」


「お、私も?」


レイが少し驚いた顔をする。


「うん。レイは対応力あるし、ユラは全体を見るのが得意だろ。カナタも判断力あるし、俺が前に出る」


「なるほど。バランスは良さそうですね」


ユラが頷く。

カナタも小さく手を挙げた。


「私も大丈夫。久しぶりだけど、頑張るね」


「期待してるぞ」


「クロにそう言われると、ちょっと緊張するなあ」


「いつも通りでいいって」


「それが一番難しいんだけど」


カナタが笑う。

控室に残るメンバーも、それぞれ声をかけてくれた。


「クロさん、頑張ってくださいね!」


しずくが少し身を乗り出す。


「うん。そっちも見ててくれ」


「もちろんです!」


「まあ、初戦から派手に勝ってきなさいよ」


ユキが笑う。


「簡単に言うなあ」


「勝てると思ってるから言ってるの」


Riotも元気よく声を上げた。


「Go! Go! SPECIAL TEAM!」


シオンは短く一言。


「勝とう」


「おう」


俺たち四人は、ゲーム用の待機画面へ移動する。

画面には三チームのロゴが並んでいた。


Re:Burst。


LIVENTO。

SPECIAL TEAM。


『第一種目、まもなく開始です!』


俺はコントローラーを握り直す。

カナタが、こちらを見た。


「クロ」


「ん?」


「久しぶりに、隣でゲームするね」


「そうだな」


「昔みたいに勝とうね」


「昔みたいに、か」


少し懐かしい気持ちになった。

昔は、何度も一緒にゲームをした。


深夜まで遊んだことも、大会で勝ったことも、負けて悔しがったこともある。

今はそれぞれ違う場所にいる。

それでも、こうして同じチームに立っている。


「じゃあ、行くか」


「うん!」


レイとユラも準備を整える。


『それでは――第一種目、スタートです!』


画面が切り替わった。

SPECIAL TEAMの初戦が、始まった。

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