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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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71話

午後六時過ぎ。

しずくが遊びに来てから、もう数時間が経っていた。


俺たちは相変わらずゲームをしている。


「クロさん、これどうすればいいんですか?」


「そこはジャンプ」


「ジャンプ……こうですか?」


「そうそう」


「できました!」


「おお」


しずくが嬉しそうに笑う。


「少し上手くなりましたよね?」


「最初よりは」


「最初よりは……」


「褒めてる」


「本当ですか?」


「うん」


そんな会話をしていると。

ガチャ。


玄関の鍵が開く音がした。


「ただいま帰りました」


真琴の声。


「おかえり」


俺が普通に返す。

すると、しずくが振り返った。


「あ、真琴さんです」


「はい。こんばんは、しずくさん」


玄関から真琴が顔を出す。

仕事帰りらしく、少し疲れた様子ではあるものの、いつもの落ち着いた雰囲気だった。


「お邪魔しています」


「いえ、大丈夫ですよ。今日は遊びに来ていたんですね」


「はい。クロさんとゲームをしていました」


「そうですか」


真琴は二人のところまで来ると、テレビ画面を見る。


「結構進みましたね」


「しずくが上手くなった」


「クロさんが教えてくださったので」


「なるほど」


真琴は少しだけ笑った。


「伊織、ちゃんと教えてあげていたんですね」


「ちゃんとって何」


「いえ、以前なら自分で全部進めてしまいそうだなと思いまして」


「……そんなことしないって」


「そうですか?」


「するけど」


「するんじゃん」


しずくが小さく笑う。


「ふふっ」


「しずくまで」


「すみません」


「別にいいけど」


真琴は荷物を置いて、ソファの後ろから画面を覗き込む。


「それ、協力ゲームですよね?」


「そう」


「二人でやるんですか?」


「はい」


しずくが答える。


「私、まだ慣れていないので、クロさんに教えてもらっています」


「そうなんですね」


真琴はしばらく二人を眺めていた。

そして。


「……なんだか楽しそうですね」


「まあ、普通に楽しいよ」


「それなら良かったです」


真琴は自然に笑う。

その笑顔を見て、しずくも安心したように笑った。


「真琴さんもやりますか?」


「私ですか?」


「はい。三人でできるゲームもありますよ」


「そうですね……」


真琴は少し考える。


「せっかくですし、少しだけご一緒しましょうか」


「やった」


「クロさん、嬉しそうですね」


「別に」


「そうですか?」


「普通」


「ふふっ」


真琴が笑う。


「では、着替えてきますね。少々お待ちください」


「うん」


真琴が部屋を出ていく。

しずくはその背中を見送ってから、俺を見る。


「真琴さんって、やっぱり落ち着いていますね」


「まあ、仕事してるときは特に」


「クロさんとは昔から一緒なんですよね?」


「うん。俺が個人でやってた頃から」


「すごいですね」


しずくは少しだけ考えるように黙る。


「……なんだか、クロさんのことをよく分かっている感じがします」


「そう?」


「はい」


「長いからじゃない?」


「そうかもしれませんね」


しずくは笑う。

しばらくすると、真琴が戻ってきた。


「お待たせしました」


「おかえり」


「ただいま……って、ここ私の家ではないですよね」


「いつもいるから」


「そういう言い方をされると、少し困りますね」


真琴は苦笑する。

しずくも笑っている。


「では、次は三人でできるゲームにしましょうか」


「うん」


「はい」


三人でゲームを始める。

ところが。


「真琴さん、そっちです」


「はい」


「違います、そっちじゃないです」


「……こちらですか?」


「そうです」


「なるほど」


「クロさん、真琴さんに教えるの上手ですね」


「まあ」


「伊織、私より教えるの丁寧ですね」


「それは言わないで」


「ふふっ」


しずくと真琴が笑う。

俺は少しだけため息を吐いた。


「なんで二人とも楽しそうなんだよ」


「楽しいですよ」


「楽しいですね」


また二人の声が重なった。


「……仲良いな」


「そうでしょうか?」


「そうですね」


今度は真琴だけが答える。


「昔から伊織とこういうことをする機会も多かったので」


「まあ……そうだな」


しずくが二人を見ながら、少し嬉しそうに笑った。


「こういうの、いいですね」


「何が?」


「いえ……なんとなくです」


夕方だったはずの時間は、気づけば夜になっていた。

三人でゲームをしているだけなのに、不思議と時間が早く過ぎていく。

そして俺は思う。

今日は、思ったより賑やかだな。


まあこういう日も悪くない

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