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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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66/82

66話

翌日。

大会の追加情報が公開された。


そしてSPECIAL TEAMのグループ通話。


『……で』


朝霧レイが言う。


『Riotさんはどうなった?』


「まだです」


クロが答える。


「スケジュール確認中ですね」


『海外勢だもんね』


雨音しずくが頷く。


『時差とかありますし』


『まあでも』


冬月ユキが笑う。


『あの人なら出たがりそうだけど』


「そうなんですか?」


『大会好きだよ』


透乃ユラも。


『クリップ映えする大会は特に』


「なるほど」


その時、クロのスマホが震えた。


《Riot》


『Schedule works.』


『Count me in.』


「……」


「来ました」


真琴が横から覗く。


「Riotさん?」


「参加するそうです」


『おお!』


『海外勢加入!』


クロがグループへ書き込む。


《Riot/参加決定》


現在。


クロ

雨音しずく

朝霧レイ

透乃ユラ

冬月ユキ

Riot


六人残り二枠。


「あと二人ですね」


『誰にします?』


「……」


クロは考える。

候補はもちろんいないわけではない。

しかしここまで来ると少しだけ、考える必要がある。


『クロさん』


「はい」


『シオンさんは?』


通話が一瞬静かになる。


「……」


クロはしずくを見るように画面を見た。


「なんでその名前が出てくるんです?」


『え?』


『だって』


しずく。


『知り合いなんですよね?』


「まあ」


それだけだが知り合い。

というには少し特殊だった。


シオン。


伝説的個人勢。

登録者八十万人。


顔、年齢、本名、性別。

何も知られていない。


配信内容すらかなり自由。

急にゲーム配信をする。

数日間雑談だけを続ける。


そして数週間、何も配信しない。

それでも登録者は減らない。


『え』


レイが声を出す。


『クロ、シオンと知り合いなの?』


「昔から少し」


『昔から少しって何?』


冬月が笑う。


『シオンって業界の人でも会ったことない人結構いるよ?』


「そうなんですか」


『そうだよ』


ユラも少し驚いた声。


『クロさん、交友関係が本当に分からないですね』


「普通ですよ」


『普通じゃないです』


しずく。


即答。


「でも」


クロが言う。


「出るかどうかは別ですよ」


『連絡してみればいいじゃん』


レイ。


「断られると思います」


『大会嫌いなの?』


「嫌いではないと思います」


『じゃあいいじゃん』


かなり軽い。

クロはスマホを見る。


連絡先。


《Shion》


かなり短い、それだけ。

プロフィールも何もない。


「……送ります」


『おお』


しずく。


全員少し静かになる。

クロがメッセージを打つ。


『久しぶりです』


すぐに既読。


「早」


真琴が横から言う。

数秒後に返信。


『久しぶり』


それだけ。


「普通に返ってきましたね」


「そうですね」


『何年ぶり?』


クロが少し考える。


『二年くらい』


『そんな経つか』


短いやり取り。

そして。


『大会出ない?』


しばらく返信なし。


『……』


『……』


通話。

全員がなぜか見守っている。

数十秒後。


『誰がいる』


来た。

クロがメンバーを送る。


《クロ》

《雨音しずく》

《朝霧レイ》

《透乃ユラ》

《冬月ユキ》

《Riot》



『濃いな』


「よく言われます」


『クロが集めたのか』


『一応』


『珍しい』


全員、それを言う。

クロは少しだけ疲れた。


そして次のメッセージ。


『出る』


「……」



「え?」


『早っ』


冬月が笑った。


『やっぱり大会好きじゃん』


ユラ。


『これで七人ですね』


「ですね」


クロはメンバー表を見る。


クロ

雨音しずく

朝霧レイ

透乃ユラ

冬月ユキ

Riot

シオン


七人残り一枠。

しかし。


「……」


クロは思う。

ここで八人目。

誰を入れるか。


最大人数だから必ず埋める必要はない。

だが複数タイトル。

三日間。


誰か一人は特定のゲームに強い人物がいた方がいい。


『で』



『最後の一人は?』


『クロさん』


『誰かいるんですか?』


「……候補は」


いる。

クロはスマホを見る。

その名前。


しかしまだ誰にも話していなかった。

その時真琴が横から言う。


「伊織」


「はい」


「誰ですか?」


「……」


「まだ分からないです」


クロはスマホを伏せた。


「本人に聞いてからですね」


残り一枠。

そしてSPECIAL TEAM最後の一人。


その名前はまだ誰も知らなかった。

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