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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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59話

LIVENTO本社。

午後。


「……緊張する」


小さな声。

会議室前に三人。

今日デビュー前顔合わせをする5期生だった。


「いやでも」


「クロさん来るんだろ?」


「うわぁ……」


かなり緊張している。

無理もない。


相手はLIVENTOトップ層。

登録者100万で箱の古株。

そして何故か裏方でもある男。


「失礼します」


スタッフがドアを開ける。


「皆さんこちらへ」


三人が恐る恐る入る。

そして。


「……あ」


会議室。

そこに居たのは黒パーカー。

眠そうな男でノートPCに編集画面。


「……」


「……」


静か数秒後に男が顔を上げる。


「どうも」


普通。

かなり普通。


「クロです」


クロだった。

その瞬間、三人固まる。

空気が止まる。


「え、あ」


「は、初めまして……!」


「よろしくお願いします!」


かなり硬い。

クロは少しだけ困った顔をした。


「そんな緊張しなくて大丈夫ですよ」


普通に穏やかだった。

でも逆に怖い。


その時。


「クロー!!」


勢いよくドアが開く。

星宮アリス。


「新人ちゃん来た!?」


「うるさ」


その後ろに天音ルナ白雪ミオ。

灰堂蓮、夜崎ノア、狗神ジン。


かなり集まってきた。


「……なんでこんな居るんです?」


「気になるから」


蓮が笑う。


「5期生初日だろ?」


「お前も面倒見ろよ伊織」


「嫌です」


「即答」


5期生達。

情報量が多すぎて処理出来ていなかった。


「初めましてー!」


アリスが元気に手を振る。


「星宮アリスです!」


「変な先輩ばっかだけどよろしくね!」


「誰が変ですか」


「クロ」


「なんで」


通話みたいなテンポ。

5期生達が少し驚いていた。


その横、天音ルナが小さく笑う。


「緊張してる?」


「は、はい……」


「大丈夫だよ」


ルナはかなり柔らかい声だった。

配信の時より少し静か。


「伊織ってそんな怖くないし」


「急に本名やめてもらっていいですか」


「今更じゃない?」


自然、かなり自然。

5期生達はまた止まる。


「えっ」


「本名……?」


「あー」


蓮が笑う。


「こいつら距離感終わってるから気にすんな」


「ひど」


その時、白雪ミオが5期生側へ近付く。


「……大丈夫ですよ」


小さな声。


「久瀬さん、ほんと優しいので」


「普通ですよ」


「みんなそれ言うんですよ」


ミオが少し笑う。

その空気で少しだけ5期生達の肩が抜ける。


「で?」


狗神ジンが椅子へ座る。


「今年の新人どんな感じなん?」


「FPS好きです!」


一人が答える。


「おっ」


「じゃあ今度来い」


「ジンさん教える時厳しいですよ」


ノアが静かに言う。


「うるせぇ」


でも空気は悪くない。

蓮が笑いながら5期生を見る。


「まあ安心しろって」


「LIVENTO、意外とゆるいから」


「お前が言うと説得力あるな」


クロが小さく呟く。


「伊織、たまには箱企画出ろって」


「面倒です」


「お前ほんとブレねぇな」


会議室が少し笑いに包まれる。

その横、ノアが静かに5期生を見ていた。


「……でも」


「?」


「クロさん居ると安心するでしょ」


一瞬5期生達が止まる。

そして。


「……はい」


自然に頷いていた。

静かで穏やかで。

でもちゃんと周囲を見ている。


そんな空気があった。


その時クロが少し困ったように息を吐く。


「なんで俺が保護者みたいになってるんですかね……」


その言葉に会議室全体が笑っていた。


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