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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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53/56

53話

「ゲーセン行きません?」


しずくの一言。

カフェを出た後、そのまま駅前を歩いていた時だった。


「ゲーセンですか」


「行きたいです!」


かなり元気。

真琴がこちらを見る。


「伊織、行きます?」


「別にいいですよ」


「やった!」


というわけでゲームセンター。

休日という事もあってかなり人が多い。


「うわぁ……久々かも」


しずくが周囲を見回していた。


「伊織、ゲーセン来ます?」


真琴が聞く。


「たまに」


「音ゲーですよね」


「なんで知ってるんです?」


「昔連れ回されたので」


その瞬間、しずくが止まる。


「えっ」


「?」


「真琴さん、クロさんと昔から普通に遊んでるんですね……」


「新人時代からなので」


「長いですよ」


しずくが何故か少し感動していた。


「なんか良いなぁ……」


「何がです?」


「幼馴染感」


「無いです」


「無いですね」


また声が揃う。

一瞬、静止。


そしてしずくが吹き出した。


「ほんと息ぴったりですね!?」


「やめてください」


真琴まで少し笑っていた。

そしてクレーンゲームコーナー。


「これかわいい!」


しずくが指差す。

猫のぬいぐるみ。

かなり大きい。


「欲しいんです?」


「ちょっと……」


「取ればいいじゃないですか」


「苦手なんです!」


なるほど俺は少し筐体を見る。

位置、アーム、重心。


「……いけそう」


「えっ」


財布から百円。

投入。


アーム移動。

掴む。


ずらす。

落ちる。


《ゴトン》


「えっ」


一発で取れる。

しずくが固まる。


「……え?」


「取れましたね」


「えぇぇぇ!?」


周囲少しざわつく。

真琴が呆れた顔していた。


「久々に見ました」


「なんで取れるんですか!?」


「昔やってたので」


「何でも出来るじゃないですか……」


「何でもではないです」


しずくはぬいぐるみを抱えながらまだ驚いていた。

かなり嬉しそう。


その後、音ゲーコーナー。


「うわ」


しずくが少し引いている。

俺は普通にプレイ開始。


音、高速譜面。

手の動き。


「……」


「……」


終了。


《FULL COMBO》


「えっ」


しずく停止。


「クロさん?」


「はい?」


「何者なんですか?」


「ただのVtuberです」


「嘘ですよ絶対」


真琴が横で笑っていた。


「伊織、昔ストレス発散これでしたから」


「へぇ……」


「配信編集詰まりすぎるとゲーセン居ました」


「なんか解像度高い」


その時しずくが小さく笑う。


「でも」


「?」


「なんか今日、クロさん普通の大学生みたいですね」


「……」


一瞬少し止まる。


普通。

その言葉は意外と久しぶりだった。

登録者、仕事、裏方、大会。

最近はずっと忙しかったから。


「……まあ」


俺は小さく息を吐く。


「今日は普通の休日なんで」


その言葉にしずくが嬉しそうに笑った。

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