50話
イベント終了後。
LIVENTOスタジオ。
「お疲れ様でしたー!!」
拍手、歓声。
スタッフ達が片付けを始める。
Vtuber達はまだ3Dスーツ姿のまま。
相変わらず絵面が酷い。
「……」
スタッフ席。
俺は片付け後のモニターを見ながらコーヒーを飲んでいた。
「伊織」
「はい?」
「かなり騒がれてましたね」
真琴がスマホを見せてくる。
《クロ、今日も裏に居た》
《なんで出演しないんだ》
《スタッフ席似合いすぎる男》
「褒められてないんですよねぇ……」
「愛されてますよ」
その時、バタバタ。
「クローーー!!」
また来た。
星宮アリス。
黒タイツをまだ脱いでない。
「脱いでくださいまず」
「疲れたー!」
普通に俺の横へ座る。
その後ろにルナ、ミオ、カナデと全員居る。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
「クロ見てたー?」
「見てましたよ」
「どうだった!?」
「頑張ってましたね」
「感想が先生」
失礼だな。
その時、アリスがニヤニヤし始める。
「ねえクロ」
「はい?」
「次は出てね」
「嫌です」
即答。
「早い!」
「今日の反応見た?」
「見ました」
「めっちゃ求められてたじゃん!」
「裏に居るからですよ」
「違う違う」
ルナが笑う。
「普通に見たいんだって」
「クロの3D」
「需要あります?」
「ある」
全員即答。
なんなんだよ。
「いやでも」
ミオが少し笑う。
「クロさん、意外と3D映えしそうですよね」
「分かる」
「スタイル良いし」
「やめてください」
その瞬間少し静かになる。
「……」
「……」
「え?」
まただ。
なんで毎回止まる。
アリスが真顔になる。
「ほんとに自覚無いんだ」
「何の」
「顔とか」
「人気とか」
「雰囲気とか」
困る。
本当に困る。
「あと」
ルナがニヤニヤする。
「真琴さんと並んでる時の空気」
「なんでそこ?」
「なんか完成されてる」
「意味が分からない」
「夫婦感」
「違います」
真琴まで同時に言う。
一瞬静止。
そして。
「「また揃った!!」」
爆笑。
白石が後ろで肩震わせていた。
「もう芸なんよ……」
その時、アリスが急に立ち上がる。
「決めた!」
「何を」
「次の箱イベント、クロ強制参加!」
「嫌です」
「拒否権なし!」
「あります」
「ない!」
騒がしい。
かなり。
でも周囲スタッフ達も少し笑っていた。
「伊織」
真琴が静かに言う。
「実際、一回くらい出てもいいんじゃないですか?」
「真琴まで?」
「皆嬉しそうなので」
その言葉に少しだけ止まる。
今日のコメント欄。
ファン、反応。
確かにかなり喜ばれていた。
「……」
「……まあ」
俺は少し視線を逸らす。
「気が向いたら」
一瞬静止。
そして。
「「「うおおおおお!!!」」」
「なんでそんな盛り上がるんです?」
アリス達が大騒ぎしていた。
真琴だけはその横で少し嬉しそうに笑っていた。
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