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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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49/56

49話

イベント中盤。

休憩時間。


配信はVTRへ切り替わっていた。


スタッフ席。


「静かですね」


真琴がコーヒーを飲みながら呟く。


「平和ですね」


俺もモニターを見ながら返す。

今だけは本当にただの休憩時間。


そう思っていた。


バタバタバタッ!!


「クローーー!!!」


「うるさ」


勢いよく突っ込んできたのは星宮アリス。

黒い3Dスーツ姿。

完全に不審者。


その後ろ、ルナ、ミオ、カナデ……

全員黒タイツ。


「……」


「……」


スタッフ席。

一瞬静まる。


絵面が終わっていた。


「毎回思うんですけど」


白石が真顔で言う。


「ほんと怖いですね」


「分かります」


真琴まで頷いた。


「ひどくない!?」


アリスが抗議する。

でも客観的に見ると完全に変質者集団である。


「何しに来たんです?」


「休憩ー!」


アリスが普通に俺の隣へ座る。

黒タイツのまま。


「近い」


「クロ今日ほんと暇そう」


「実際暇です」


今回は珍しく完全オフ。

編集も無い。

機材管理も終わり。


ただ見てるだけ。


「ねえ」


ルナがニヤニヤしながら言う。


「コメント欄、クロ出せって騒いでるよ?」


「見ました」


「人気者じゃん」


「面倒なんですよ」


「でも嬉しそうだった」


真琴。


「なんで見るんですかねこの人……」


ミオが少し笑う。


「でも実際、クロさん居るだけで安心感ありますよね」


「裏方感すごいし」


「配信者に対する感想ではない」


その時アリスが急に立ち上がる。


「そうだ!」


「?」


「クロ、今から乱入しよ!」


「嫌です」


即答。


「えー!?」


「黒タイツ集団に混ざりたくないです」


「今更では?」


ルナが真顔だった。

酷い。


その時、真琴が小さく吹き出した。


「……伊織」


「はい?」


「ちょっと見てください」


スマホ。

コメント欄切り抜き。


『絶対、クロスタッフ席で囲まれてて草』


『あそこ空気良い』


『真琴さん居る時点で安心感ある』


『なんで出演者より裏が気になるんだ』


「……」


なんかおかしい方向へ人気が出てる。

その時、アリスが急に真琴へ寄りかかる。


「真琴さーん」


「はい?」


「クロ頑固ー」


「昔からですよ」


「ですよねぇ」


自然、かなり自然。

その光景を見て白石が小さく呟く。


「……LIVENTO、距離感終わってる人多いな」


「分かります」


ルナ担当マネージャーまで頷いていた。


「いやでも」


ルナが笑う。


「一番終わってるのクロと真琴さんだよ?」


「違います」


「違います」


また声が揃う。

一瞬静まって。


そして全員吹き出した。


「ほらぁ!!」


アリスが爆笑している。


「もう息ぴったりじゃん!」


「やめてくださいほんと……」


その時。


休憩終了まであと一分

スタッフの声。


「あ、戻る!」


「いってきまーす!」


黒タイツ集団が去っていく。

走る。


黒い、シュール。


「……」


「……」


静かになったスタッフ席。

そして真琴が小さく笑った。


「賑やかですね」


「ですね」


俺は少しため息を吐いて。

でも悪くない空気だと思ってしまっていた。

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