46話
夜。
雨音しずく宅。
「……」
「……」
PC前で静止。
画面。
Re:Burst公式ショップ
【優勝記念グッズ】
そこに普通に自分が居た。
「……ほんとに出てる」
まだ実感が薄い。
だって少し前までただの個人勢だった。
好きに配信してゲームして、クロへ懐いて時々通話してそれだけだったのに。
今、大手大会優勝グッズに自分が居る。
「意味分かんないよぉ……」
小さく呟く。
でも口元はかなり緩んでいた。
Discord通知。
クロ
『予約始まったらしいですね』
『始まりました……』
『重いらしいですよ』
『重いです!』
しずくは少し笑う。
そして。
『……クロさん』
『はい?』
『自分のグッズ買うの変じゃないですか?』
数秒、既読。
そして。
『別に普通では?』
『ほんとですか?』
『真琴も買うらしいので』
『真琴さん強いなぁ……』
想像出来る。
普通に保存しそう。
大事にしそう。
そしてクロは少し困りそう。
そこまでセットで想像出来た。
しずくは吹き出してしまう。
「……よし」
意を決してカートへ入れる。
アクリルスタンド、缶バッチ、チェキ風カード
「……」
数秒止まる。
「自分買ってる……」
なんか恥ずかしい。
でもかなり嬉しい
その時、通話通知。
鬼灯ガク。
『しずくちゃーん!』
『ひゃい!?』
『噛んだ』
『緊張してるw』
通話へ入る。
ガク、ノア。
そしてクロ。
『何してた?』
『……グッズ見てました』
『買った?』
『……はい』
『自分の』
『はい……』
通話が笑いに包まれる。
『いやでも分かる』
『初めてだと変な感覚なんだよな』
『クロも買えば?』
「いらないですよ自分のは」
『えー』
『クロさんの欲しいですけど』
「なんで?」
『レアなので』
『お前もレア扱いされてるぞ』
「最近酷くないです?」
でも通話の空気はかなり柔らかかった。
『そういえば』
ノアが笑う。
『クロ缶バめっちゃ人気らしいぞ』
「らしいですね」
『一部売り切れ早かった』
『怖』
しずくが普通に呟く。
『クロさんほんと人気なんですね……』
「いや別に」
『いやあるだろ』
ガクが即答する。
『お前、自覚無いだけ』
『ほんとに』
しずくも頷く。
『クロさん、もっと人気Vっぽくしていいと思います』
「どういう意味です?」
『ちゃんと前出るとか』
「面倒なので」
『そこだよ!!』
通話が笑いに包まれる。
その時しずくのスマホ通知。
注文完了
「……」
少し静かになる。
自分の初グッズ。
初めての記念。
そしてそのきっかけは、間違いなくクロだった。
『……クロさん』
「はい?」
『ありがとうございます』
一瞬通話が静かになる。
「何がです?」
『色々です』
小さな声。
でもかなり嬉しそうだった。
クロは少し止まって。
そして。
「……まあ、楽しめてるなら良かったです」
静かな声で、そう返していた。
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