40話
大会後半戦。
残り三チーム。
『うわ緊張してきた……!』
しずくの声、かなり分かりやすい。
「落ち着いてください」
『クロさんが落ち着きすぎなんですよ!』
『草』
『たしかに』
『クロ大会慣れしすぎ』
コメント欄が流れる。
現在順位。
1位 クロチーム
2位 ショウチーム
3位 レンチーム
『いや待って』
『クロチーム普通に強くね?』
『しずくちゃんも活躍してる』
『ガクが思ったより死んでない』
『失礼だな!?』
ガクが抗議する。
「今日ちょっと偉いですね」
『クロお前!?』
通話が笑いに包まれる。
空気が良い。
次の試合。
開始。
「しずく後ろ注意」
『はい!』
「ガク突っ込まない」
『俺信用無い!?』
「あります?」
『無いかも』
『草』
撃ち合い。
足音、索敵。
「右二人」
『見えた!』
しずくが撃つ。
一人撃破。
『ナイス!!』
『しずくちゃん強っ!』
『成長してる』
「今の良いです」
『……っ』
また少し固まる。
『褒められると止まるの草』
『犬』
「集中してください」
『はいっ!』
本当に犬だなぁ。
その直後、ガクが前へ飛び出す。
「だから行くなって」
『うわぁ!?』
ダウン。
『死んだぁ!!』
コメント欄爆笑。
『様式美』
『クロの言う事聞け』
「しずく、蘇生行けます?」
『はい!』
カバー。
成功。
『助かったぁ……』
『このチーム連携いいな』
『空気が良い』
そのまま終盤。
「ラスト一人」
『右です!』
「見えてます」
撃破。
《WIN》
一瞬、通話が静かになる。
そして。
『うおおおおおお!!!』
『勝ったぁぁぁ!!!』
『ナイスーーー!!』
コメント欄大爆発。
『優勝あるぞこれ!?』
『クロ強すぎる』
『しずくちゃんナイス』
『ガク生きてた!』
『最後失礼すぎん!?』
最終試合。
ポイント差。
あと少し。
『これ勝ったら確定?』
「ですね」
『うわぁぁ……』
しずくが完全に緊張していた。
「深呼吸」
『はい……』
少し静かになる。
「いつも通りで大丈夫ですよ」
『……はい』
その返事は、少し落ち着いていた。
そして試合開始。
全員集中。
通話も静かになる。
「左」
『見てます』
「ガク下がって」
『はいっ!』
珍しく素直。
撃ち合い。
一人撃破、二人、三人。
そして。
「しずく、今!」
『っ!』
最後の一人を撃破。
《WIN》
一瞬静寂。
その次。
『うおおおおおおおおお!!!!』
通話爆発。
『優勝したぁぁぁ!!!』
『やば!?』
『クロチーム優勝!?!?』
『しずくちゃん初大会優勝!?』
『すげぇぇぇ!!!』
コメント欄が止まらない。
しずくは数秒黙っていた。
『……え』
『ほんとに?』
「優勝ですね」
『えっ』
『えぇぇぇぇ!?』
完全に混乱している。
ガクが爆笑していた。
『しずくちゃん反応かわいすぎるだろ!』
『クローー!!』
『お前また優勝かよ!』
「いやチームです」
『うわ先輩っぽい』
『面倒見良い男』
「そこ擦るなぁ……」
その時Discord通知。
七瀬真琴。
『優勝おめでとうございます』
さらに。
『かなり楽しそうでしたね』
「……」
俺は少しだけ笑う。
そして。
『クロさん!』
しずくの声。
『ありがとうございました!』
「お疲れ様です」
『また一緒にやりたいです!』
一瞬コメント欄加速。
『お?』
『また見たい』
『このチーム常設しろ』
『空気良すぎる』
俺は少しため息を吐いて。
でも。
「……機会あれば」
そう返していた。
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