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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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26/29

26話

LIVENTO事務所。

撮影スタジオ。


「はいはい並んでー!」


星宮アリスの騒がしい声が響く。


「ミオそこもっと前!」


「え、ここですか?」


「ルナちゃんカメラ見てー!」


「はーい」


今日は事務所公式チャンネルの撮影日だった。

LIVENTO公式、箱企画、切り抜き、歌ってみた告知、裏企画など色々上げているチャンネル。


そして現在その編集担当は――


「クロ、これどう?」


カメラ横。

PCを触りながら、俺は軽く手を上げる。


「大丈夫です」


「OKー!」


俺だった。


「……なんでそんな自然に居るんですか?」


後ろから声。

雨音しずく。


今日は普通に事務所へ遊びに来ていた。


「いや担当なんで」


「担当!?」


知らなかったらしい。

まあ普通言ってない。


「事務所チャンネル、今ほぼ伊織が管理してます」


真琴が補足する。


「えっ」


しずくが止まる。


「編集も?」


「してます」


「企画確認も?」


「してます」


「サムネも?」


「たまに」


「……」


しずくがゆっくりこちらを見る。


「クロさんほんとにVtuberです?」


「最近その質問多いな」


でもLIVENTO内でも割とそんな扱いだった。

配信者兼裏方半分スタッフ。


そんな感じ。


「クロー!」


アリスが手を振る。


「次どうするー!?」


「そのまま二本目撮ってください」


「了解ー!」


完全に現場進行である。

しずくがちょっと引いていた。


「なんかもうディレクターさんみたい……」


「伊織、多分裏方適性高いんですよね」


真琴がさらっと言う。


「やめてください」


「実際そうじゃないですか?」


否定しづらい。



撮影開始。


「はいじゃあ次ー!」


アリスが元気よくカメラ前へ立つ。


「LIVENTOメンバーでー!」


「利きお菓子選手権ー!」


「いぇーい!」


拍手、歓声、騒がしい。

俺はモニターを見ながら確認していく。


「ミオさんもう少し右」


「あ、はい!」


「ルナさんマイク擦れてます」


「ほんとだ、ごめん」


自然に指示が飛ぶ。

完全にスタッフ側だった。


その横で。


「……すご」


しずくが小さく呟く。


「何がです?」


「いやもう慣れすぎてる……」


実際慣れている。

最初は手伝い程度だった。

新人時代、人が足りないから編集手伝って機材触って配信確認して気付けば普通に回す側になっていた。


「クロってさ」


ルナが撮影合間に笑う。


「もう半分スタッフだよね」


「否定出来ないのが悲しい」


「でも居ないと回らないんだよなぁ」


アリスも頷く。


「編集も早いし!」


「サムネ強いし!」


「音も分かるし!」


しずくが静かに俺を見る。


「……万能すぎません?」


「器用貧乏とも言います」


「いや絶対違う」


その時。


「伊織」


真琴が近付いてくる。


「この前の切り抜き、再生かなり伸びてます」


「どれです?」


「Re:Burst大会のやつ」


「うわ」


嫌な予感。


「クロ、思ったより笑うが、また伸びてます」


「なんなんだよそれ……」


周囲が吹き出した。


「だって事実じゃん!」


「最近ほんと柔らかいよね」


「Re:Burst効果?」


「やめてください」


完全に弄られている。

しずくはその様子を見ながら、小さく笑った。


「……なんか分かります」


「何がです?」


「クロさん、ここだとすごい自然」


一瞬、少しだけ止まる。


「配信してる時とも違うし」


「スタッフの時とも違うし」


「ここに居る時が一番素っぽい」


静かな言葉だった。

俺は少しだけ考えて。


「……まあ」


小さく肩を竦める。


「長いんで」


またそれだ。

でも結局それが一番正しい。

この場所もこの人達も気付けばずっと隣に居たから。


もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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