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Vtuberになったのに裏方をしてます  作者: 東海林


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15/29

15話

Re:Burst杯終了後。

時刻は深夜一時を回っていた。


『お疲れ様でしたー!』


『楽しかったー!』


『次こそ勝つ!!』


通話内ではまだ騒がしい声が飛び交っている。

大会は終わった、だが誰もすぐには抜けない。

大型コラボ後特有の空気だった。


俺は自宅の椅子へ深く座りながら、小さく息を吐く。


「疲れた……」


『優勝した奴のセリフじゃねぇ』


ガクが笑う。


『しかも初参加』


『いやマジで強かったっす』


シュウも悔しそうだ。


『クロさん絶対また呼びます』


ノアが即答する。


「いやもう十分でしょ」


『ダメです』


『却下』


『次はFPS』


『逃がさねぇ』


「圧が強いなぁ……」


コメント欄もまだ盛り上がっていた。


『二次会助かる』


『クロまだ居る!』


『思ったより長く喋るな』


『他箱なの忘れる』


……それは俺も少し思っていた。

妙に馴染むのだ。


Re:Burstの空気。

騒がしいけど気楽。


変に気を遣わない。


『というかさ』


ガクが急に言った。


『クロ』


「はい」


『お前もうRe:Burst来いよ』


一瞬、通話が静かになる。

そして。


『あー』


『分かる』


『馴染みすぎなんだよな』


『今日だけで所属感ある』


好き勝手言われ始めた。


「いやいや」


俺は苦笑する。


「普通にLIVENTOなんで」


『でもお前箱企画来ないじゃん』


「否定出来ない……」


『Re:Burstだとめっちゃ参加してる』


「今日だけです」


『また来るだろ?』


「……まあ、機会あれば」


『ほらな!!』


ガクが爆笑していた。

その時、Discord通知。

個人メッセージ。


送信者――七瀬真琴。


『楽しそうですね』


少し笑ってしまう。

たぶん配信見てたなこれ。


俺は短く返信する。


『まあそこそこ』


数秒後。


『珍しい』


それだけだった。

でも妙に安心する返事だった。


『クロさんってさ』


ノアが少し興味深そうに聞いてくる。


『なんで今まで外部コラボしなかったんです?』


「面倒だからです」


『言った!!』


『本音出た!!』


『潔すぎるw』


通話が笑いに包まれる。

でも本当にそうだ。


スケジュール、調整、空気読み。

色々考えると面倒になる。

だから避けていた。


『でも今日は来たじゃん』


シュウが聞く。


「ガクに借りあるんで」


『義理堅ぇなぁ』


『あとちょっと楽しそうだった』


「……まあ」


否定しなかった。

ゲームそのものも楽しかった。


通話の空気も悪くない。

久々だったのだ。

こういうただ遊ぶだけみたいな配信。


『クロってさ』


ガクが急に言う。


『もっと人と遊んだ方が良くね?』


「余計なお世話では?」


『いやマジで』


『今日のお前かなり良かったぞ』


少しだけ言葉に詰まる。

褒められ慣れていない。

数字の話なら別だ。

でも配信そのものを言われると、少し困る。


『なんか』


ノアも続ける。


『ソロの時より力抜けてましたよね』


『分かる』


『自然体感あった』


コメント欄も同意していた。


『クロ今日かなり好き』


『空気柔らかかった』


『また見たい』


『定期開催しろ』


「勝手に決めないでください」


『じゃあ次回も呼ぶ』


「決定なんだ……」


ガク達が笑う。

深夜、騒がしい通話。

ゲーム終わりの雑談。


なんだか昔に戻ったみたいだった。

まだ数字も少なく。


配信がただ楽しかった頃。

そんな感覚を少しだけ思い出して。


「……まあ」


俺は小さく笑った。


「たまには悪くないですね」


『うおまた言った!!』


『録音!!』


『保存版だ!!』


「お前ら本当にさぁ……」


笑い声が広がる。

その空気が、不思議と心地良かった。


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