14話
『いけぇぇぇぇ!!』
『クロ逃げ切れ!!』
『ガク止めろぉぉ!!』
『うわ赤甲羅飛んだ!!』
Re:Burst杯、最終レース。
コメント欄の勢いが凄かった。
現在総合順位。
1位 クロ
2位 鬼灯ガク
3位 黒羽ノア
差はかなり僅差。
この一戦で全部決まる。
『いや待って待って!』
シュウが叫ぶ。
『なんで外部ゲストがトップなんだよ!!』
『しかも初参加!』
『意味分かんねぇ!!』
「運ですね」
『絶対違う!!』
通話が騒がしい。
だが俺はかなり集中していた。
最終レース。
コースはレインボーロード。
事故率高め。
最後まで油断出来ない。
『クロ前出た!!』
『速っ!?』
『うわライン綺麗!!』
コメント欄も盛り上がる。
だが。
『よっしゃぁぁ!!』
後方からガク。
赤甲羅。
「うわ」
『当たれぇぇ!!』
被弾。
順位が落ちる。
『うおおおお!!』
『ガクきた!!』
『Re:Burstの意地!!』
「鬼灯さん性格悪……」
『大会だからなぁ!!』
笑い声。
しかし次の瞬間。
アイテム、キノコ。
「……あ」
『あっ』
『終わった』
ショートカット。
一気に抜ける。
『待て待て待て待て!!』
『そこ通る!?!?』
『頭おかしい!!』
『クロ速ぇぇぇ!!』
そのままゴール。
『うわぁぁぁぁぁ!!!』
『優勝したぁぁぁ!!』
『マジかよ!?!?』
『外部ゲスト優勝www』
『強すぎるって!!』
通話が爆発した。
俺は椅子へ寄り掛かり、小さく息を吐く。
「……疲れた」
『お前ほんと何なんだよ!!』
ガクが笑いながら叫ぶ。
『なんでそんな強ぇんだ!?』
「たまたまですよ」
『絶対違う!!』
『クロさん絶対やり込んでる!』
『ソロ勢怖ぇぇ……』
コメント欄も大荒れだった。
『クロ優勝おめ!!』
『思ったより大会映えするな』
『普通にまた見たい』
『他箱なのに馴染みすぎw』
『Re:Burst所属だっけ?』
「違います」
『即答で草』
笑いが広がる。
『というわけで!!』
ガクが改めて進行する。
『第一回Re:Burst杯優勝は――クロ!!』
拍手SE。
コメント欄。
通話。
全部騒がしい。
『おめでとー!』
『いや強かった』
『悔しいわぁ』
『クロさんまた来てくださいよ』
ノアが笑う。
「機会あれば」
『絶対また呼ぶ』
『次は負けねぇ』
シュウも悔しそうだった。
そして。
『いやでもさ』
ガクが笑いながら言う。
『クロ、今日かなり楽しそうだったよな』
一瞬、通話が静かになる。
『確かに』
『分かる』
『いつもより喋ってた』
コメント欄も反応していた。
『クロ楽しそうで良かった』
『なんか新鮮だった』
『ソロ配信と空気違う』
俺は少し考えて。
「……まあ、楽しかったですよ」
その瞬間。
『うおおおお!!』
『認めた!!』
『クロが言った!!』
『録音した』
「お前らさぁ……」
通話がまた笑いに包まれる。
一方その頃LIVENTO休憩スペース。
「優勝してるぅぅぅ!!」
アリスが完全に騒いでいた。
「なんで!?」
「いや上手かったですね……」
ミオが呆然としている。
ルナはソファで笑っていた。
「ほんと楽しそうだったね、クロ」
「ですね」
真琴も小さく頷く。
配信画面の向こう。
普段より少しだけ声が軽いクロ。
ソロ配信では見えない空気。
それを見ながら。
「……良かったですね」
真琴がぽつりと呟いた。
「え?」
ミオが振り向く。
「伊織、最近ずっと仕事ばっかりだったので」
配信、編集、裏方、案件。
ずっと働いていた。
だからこそ今日みたいに、普通にゲームを楽しんでいる姿は少し珍しかった。
「……まあでも」
ルナがニヤつく。
「明日問い詰めるけどね」
「それはそう」
アリスが頷いた。
真琴は少しだけ笑う。
たぶん明日、事務所は騒がしい。
でも今日くらいは楽しそうなクロを、そのまま見ていようと思った。
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