11話
『うおおおおおおお!!』
『きたああああ!!』
『Re:Burst杯!!』
『待ってた!!』
夜八時。
Re:Burst公式チャンネル。
大型配信企画。
《第一回 Re:Burst マリオカート杯》。
配信開始直後からコメント欄の勢いが凄かった。
俺はその画面を、自宅モニター越しに見ている。
「……人多」
参加者は全部で十二人。
Re:Burst所属Vtuberのみ。
……本来なら。
『はいどーも!!』
通話内で、鬼灯ガクの声が響く。
『今日はRe:Burstマリカ杯って事で!』
『楽しみー!』
『負けねぇからな!』
『絶対優勝する』
騒がしい。
LIVENTOよりかなり騒がしい。
でも嫌じゃなかった。
Discord通話、待機画面。
大会前特有の空気。
少しだけ懐かしい。
『んじゃ参加者紹介いくぞー!』
ガクが進行を始める。
画面には参加メンバー、一覧。
名前が順番に映る。
『まずは天狼シュウ!』
『勝ちます』
『黒羽ノア!』
『今日は静かに勝ちます』
『嘘つけ』
『うるさい』
コメント欄も盛り上がっていた。
『Re:Burstしか居ねぇ!』
『箱大会感良い』
『楽しそう』
そして。
『次、クロ!』
普通に流れた。
本当に普通に特別紹介も無い。
ゲスト扱いでも無い。
まるで最初から所属してるみたいなテンション。
一瞬、コメント欄が止まる。
『……は?』
『え?』
『クロ?????』
『今クロって言った???』
『は???????』
数秒後、爆発した。
『なんで居るの!?!?』
『クロ!?!?!?』
『外部!?』
『えっ待って!?!?』
『マジ!?!?!?』
配信画面のコメント速度が一気に上がる。
俺は小さくため息を吐いた。
「だから嫌だったんだよなぁ……」
『クロ!?!?』
シュウが笑っていた。
『コメント欄壊れてんじゃん』
『そりゃ壊れるだろ!』
ガクも笑う。
『いやー、借りがあるんで呼びました』
『雑な理由すぎる』
『クロ喋った!!』
『本物だ!!』
『え、マジで出るの!?』
俺はマイクをONにした。
「どうも」
その瞬間、更にコメント欄が爆発した。
『うわ本物だ』
『普通に居る』
『なんでRe:Burstに!?』
『クロ大会とか珍しすぎる』
『幻覚?』
「幻覚ではないです」
『喋ったぁぁぁ!!』
騒がしい、本当に。
でも少しだけ笑ってしまった。
『というわけで!』
ガクが進行を続ける。
『今日は全員本気だからな!』
『クロも?』
『いやコイツ絶対強いだろ』
『ゲーム上手そうなんだよな』
「まあ普通です」
『信用ならねぇ』
『ソロ勢の普通は怪しい』
ノアが笑う。
『クロさんって配信だと静かなイメージあったけど』
「今も静かでは?」
『周りがうるさいだけ』
『否定出来ねぇ!』
確かにRe:Burst勢、基本テンションが高い。
FPS文化というか、ストリーマー寄りというか。
LIVENTOとはまた違う空気感だ。
『じゃあ一戦目いくぞー!!』
部屋作成、参加、キャラ選択。
コメント欄はまだ騒いでいた。
『クロのマリカとか初じゃね?』
『コラボ自体珍しい』
『しかも他箱』
『事件だろこれ』
『LIVENTO側知ってんのかな』
……知らない。
正確には真琴しか知らない。
たぶん今頃、LIVENTO側が気付いて騒いでいる。
想像出来る。
『クロさん』
ノアが通話で聞いてくる。
『なんで今回出ようと思ったんです?』
一瞬考える。
「借り返しですね」
『義理堅』
『ガク何したんだよ』
『昔ちょっと』
ガクが笑う。
『まあ俺ら仲良いんすよ』
『意外すぎる組み合わせ』
『クロ友達いたんだ』
「失礼だな」
『否定出来る?』
「……」
『黙るな』
通話が笑いに包まれる。
なんだろうな。
普段の配信とは違う空気。
でも悪くなかった。
『よーしレース開始!!』
カウントダウン。
エンジン音。
マリオカートが始まる。
そして。
『クロ速っ!?!?』
『ちょ待っ!?』
『お前普通って言ったよな!?』
「普通ですよ」
『嘘つけぇぇぇ!!』
コメント欄がまた爆発した。
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