獣のような教え子(初対面前)
セレネの言葉に、俺は、目を白黒させていた。
「あの、獣みたいな言い方してますが、え、本当に?」
「うむ。レン・ゼフィランという子なんだが、恐らく、ランキング1位を明かさないなら突っかかってくるだろうね。納得させるのに、名前を使うのが一番簡単だと思うんだけど」
「はいぃ……。多分、レンちゃんは、模擬戦を挑んでくると思います」
「随分と苛烈な子ですね……」
「礼儀正しいところはあるのですが。実力主義というか、強さに対して真摯に向き合っているというか……何人もの冒険者さんを追い返してきた子でもありまして……」
「まあ、名誉目当てに来てしまった、と言っていた冒険者がボコボコにされてたからね。その人もランキングでいうと、100位くらいで結構強かったはずなんだけど」
過去を思い返すようにしながら二人は言ってくる。
「といっても、カナタさんの実力を見せれば、レンちゃんも納得すると思います!」
「私もそう思うよ。で、いけるかい、カナタ殿」
「あの、ボコボコにしたと言われた後に、その問いかけをされても困るんですが……。まあ……その子を見てみないと分からないですね」
冒険者名を明かすという線だけはないのは確定だ。けれど、
「戦うにせよそうでないにせよ一度会わせてもらえればと。もしかしたら戦わずに済むとか、トレーニング方法を教えるだけの人、という感じで受け入れてもらえるかもしれませんし」
言うと、うーん、とティリアが悩んだ時点で望み薄だな、とも思ったけれど。
「分かった。じゃあ、中庭の修練場に行こうか。ちょうど今、剣の素振りをやっているだろうからね」
「カナタさん、気を付けてくださいね。レンちゃん、いきなり切りかかってくるかもしれないので」
「どれだけ物騒な子なんだ……」
家庭教師の初仕事が腕試しになりそうなのはどうかと思うが。
鬼が出るか蛇が出るか分からないが。とりあえずは、やってみよう。
〇
十数年後の話ではあるが。
その時のことを、レン・ゼフィランはインダビュワーに語っていた。
「初めて会った時、私は、雷に打たれたような衝撃を受けました」
国を襲った災害クラスの魔獣の大群を一人で打ち倒し勲章を授けられた彼女は、なぜそこまで強いのか、強さの理由は、という問いかけに対し、まずそう答えた。
「雷?」
「はい。多少強かった程度で調子に乗っていた私を、その人は、救って育ててくれたのです。そう……あの……導きの雷が……」
恍惚の表情で言うレンに対し、インタビュアーは聞き返す。
「それは、かの伝説の「勇者の家庭教師」のことですよね」
「ええ。あれは今でも鮮明に思い返せます。カナタ様との出会いを、動きを、一足一刀を初めて見た時のことを」
【お読み頂いた御礼とお願い】
本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。
「この先が気になる!」
「†雷光†(略)の続きが読みたい!」
少しでもそう思って頂けましたら、下にある☆☆☆☆☆のポイント評価、そしてブックマークの登録をして頂けますと、作者のモチベーションになります!
どうぞよろしくお願いいたします。




