異世界生活14日目終了
山田太郎と鈴は正装で異世界バスに乗り込んだ。特に太郎は別人のように見えたのかバスの中は話題沸騰だ。
「モブ太郎きみはイケメンだったのか! ただ面白そうなだけじゃなかったのかー! むふー!」
特にゆっけは大興奮だった。そして他の皆が降りて、王都で太郎と鈴が降りた。太郎は初めての王都でドキドキしていた。城がとても大きい。城に行く前に鈴が太郎を展望台に連れていった。
「太郎くん凄いでしょ。城下町全体が栄えているの。隣の国は貧困にあえいでるのにね。このキングスレイトン国は隣のアルムヘルドの10倍裕福なんだ。アルムヘルドはね、異世界バスが無いけれど異世界召喚と転生を行っていて、私達現代人を軍の主軸にしているの。私は貧しい隣の国を豊かにする為に尽力していてね、沢山のお店や農地、工場を運営してるんだ。今度一緒に行こうね。王都から馬車に乗って」
鈴は太郎と次のデートの約束をして、パーティー会場に向かった。既に100人近くの身なりが良い人々が集まっている。
「これは鈴さん相変わらずお綺麗で。して隣の美男は前に会った気が」
「いえ、彼とは初対面の筈ですわ。彼の名前は山田太郎。私の新しいパートナーです」
「おお、これは失礼した。よろしく山田太郎くん」
こんな感じで鈴さんは大勢と挨拶して俺を紹介した。50人ばかりに紹介され、騎士団長と話をする事になった。
「鈴、騎士団に戻って来ないか。女性騎士団長として」
「そのつもりは無いわ。ごめんね。私は商人が合っているみたい」
「お前の腕を商売に使うのは惜しい。アルムヘルドはお前達異世界人を召喚して転生させて力を強めている。強い者がひとりでも多く必要なのだ」
「毎回言うけどね、そんなに脅威なら戦わなければいいのよ。隣国として和平と貿易の方向性で行きなさい」
「だがしかし、お前達異世界人は覚醒したら強すぎる。脅威は取り除かなくては!」
「私達には同士討ちさせると言うの?」
「そうは言ってない」
「結局そういう事じゃない」
鈴と騎士団長が言い争いのようになってしまった。そこにすらりと背が高く痩せた男が間に入った。
「ここには我々アルムヘルド国の国民もいるんですよ。戦の話はよろしくありませんな。我々商人からも戦はいけませんと王に進言しているのですが、中々上手く行きませんで。お二人には苦労をおかけしております」
「ジラド久しぶりじゃない。儲かってる?」
「ええ、かなり。これも鈴さんの工場のおかげです。今や鈴さんはアルムヘルド貧困層の希望ですよ。貨物船も好調のようですね」
「ええお陰さまで。収益が倍になったわ」
「それは大変よろしいですな。それでは、私はここで。あ、所で隣の方のお名前をお聞きしても」
「彼の名前は山田太郎。私の新しいパートナーなの。きっとアルムヘルドを将来的に救う男よ」
「ほう。それはそれは」
鈴とジラドという商人は話終えると太郎に握手を求めて立ち去った。騎士団長はまだその場に残ったままだ。
「鈴。今のお前の立ち位置は先程の会話でよくわかった。だが、騎士団に戻り王を正すのも道のひとつだと知るといい。俺が頑張って王を抑えておくが限界がある。戦になったらすまない」
「ええ、ありがとう。またね、ルドガー」
「後、隣の君。とてもいい目をしている。騎士団に入りたくなったら私を頼りなさい。山田太郎と言ったね。覚えておこう」
「太郎くんは私が騎士団に入れさせませんよ。スカウトしてもムダ、無駄、ムダー!」
鈴さんが可愛く舌を出すと騎士団長が笑いながら頭を掻いて去っていった。
「何だかんだ会いたい人には会えたかな。さ、食べて飲むわよ」
鈴は何十件もの商売の話をして談笑して本当に凄いなと太郎は思った。果たして俺にこんな真似が出来るのだろうか。新しいパートナーという紹介は正直荷が重く感じられた。パーティーが終わり、異世界バスに乗り込み、そのまま鈴さんの家に戻った。
「さ、シャワー浴びて寝ましょう」
俺が服を脱いでいると鈴さんも脱ぎ出した。俺はどんな状態だか全く理解できない。鈴さんがシャワールームで体を洗ってくれる。とても気持ちいいが恥ずかしくて目が開けられない。
「何よ。私が体を洗ってあげてるからって目を閉じてお寝んねなの? いいご身分ね。ねえ、せめて背中だけでも洗ってよ。さ、目を開けて」
俺はしぶしぶ目を開けた。
「ちょ! 背中向けてて下さいよ!」
「何を今さら照れてるんだか。昨日の夜に恋人同士になったじゃない。はいはい背中向きました。頼みまーす」
俺は鈴さんの背中を洗いつつ記憶を呼び戻そうと必死になった。おぼろげながら思い出した。夢かと思っていたが、確かにやっていた。この世のものとは思えない感覚だったので現実だとは思えなかったのだろうと、過去の俺をそう分析した。その夜、太郎は現実を噛み締めるように鈴を抱いた。何度も何度も。そして朝が来て、ふたりは昼まで眠った。




