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74,珍しいかもしれないね

 アジサシ馬車は無事に第三大陸を抜け、第二大陸に入ってなおものんびりと地上を進んでいた。

 第二大陸でも村を巡りつつ進んでおり、次の目的地は外海側に位置する国、モルモーである。

 モルモーでは軽く商売と仕入れを行い、長居はせずに出発する予定になっている。


 チグサは今回馬車を降りるつもりはないが、レウコスとサシャはそれぞれ仕入れに出かけてくるらしい。

 第三大陸の村を巡っている間に服などがそれなりに売れたので、レウコスは売れた分の服を作る布を買うのだろう。


 服などは既製品を買うこともあるが、布を買う方が安いし服作りはレウコスの趣味兼暇つぶしなので大体は布を買ってきて移動中などに作っているのだ。

 頼まれれば村で一から作ることもある。まあ、あまり言われない依頼だが。


「さて、他に出かける人はいるかい?」

「俺も少し出てくる」

「おやアンドレイ。どこへ?」

「しばらく行ってない工房の様子見」

「なるほどね、行ってらっしゃい」


 モルモーに入る直前に確認をしておいて、モルモーの中に入ったら人混みで動けない隙に買い出し組は馬車を降りてそれぞれの目的地へと散っていった。

 それを見送って、遅々として進まない馬車にちょっと飽きて二階に移動し、窓に腰かけて外を眺める。


 アジサシに気付いて馬車についてくる人もいるので、いつも通り忙しくなりそうだ。

 チグサは鑑定依頼が来た時以外はギーネと共にお客の対応をすることにして、ひとまず出入口の傍に腰かけた。


 人混みの中をゆっくりと進んでいった馬車は広場の一角で止まった。いつもアジサシが商売をさせてもらっている場所だ。

 到着したのを確認したら、チグサは一度外に出て開店の合図を送り、馬車の中に戻ってカウンターの前に移動した。


 そうしてしばらく接客をしていたのだけれど、鑑定の依頼が来たので馬車から降りて適当な椅子を引っ張り出し、馬車の横に座って鑑定依頼を受けることになった。

 鑑定した物をそのまま買い取ったりもして、何だかんだほとんどお客は途切れずに鑑定が続く。


「……おや」

「なんだ、なんか珍しいもんか?」

「いや……まあ確かに、少し珍しいかもしれないね。これはボクでも分からないな」

「あん?あんたでも分からんもんがあるんか」

「そりゃあ少しは分からないものもあるさ。力になれずすまないね」

「そうけ、まあそれなら仕方ねぇ。が、持ってても仕方ねぇしなぁ」

「それなら買い取ろうか」

「おう、そうしてくれ」


 鑑定を続けていると、チグサの目でも情報が見えてこない物が持ち込まれた。

 後でまたしっかり視てみよう、と決めて買取の手続きを始めて、それが終わったら買い取ったものをポケットの中に滑り込ませる。


 結局その後も鑑定依頼は途切れずに夕方になり、そろそろ店仕舞いにして宿に移動しよう、という話しになった。

 馬車のカウンターを畳んで移動状態に戻したら馬車に乗り込んで移動し、いつも泊まっている宿に向かう。


 宿に到着したらカウンターで部屋の確保をするのだけれど、毎度同じ宿に泊まっているからか宿側も慣れきっていて何も言わずとも部屋の鍵を二つ渡されることがほとんどだ。

 今回もそうして渡された鍵を確認していたら、宿の扉が開いてサシャが入ってきた。


「おや、ピッタリだ」

「今来たところだった?」

「うん。部屋の確認に行くけど、サシャも来るかい?」

「行こうかな」


 買い込んだであろう荷物は既に馬車に乗せたようなので、一緒に今回の部屋を確認しに行く。

 アジサシはいつも男女で分かれて二部屋確保するのだけれど、なにせ人数差があるので部屋同士はそれなりに離れていることがほどんどだ。


 カタリナとエリオットは基本宿には止まらないで馬車で寝るので、女子部屋はチグサとサシャの二人だけで使うことになる。

 その一方、男子の方はエリオットが抜けたとて五人いるので、大部屋を確保しないといけないのだ。


 そんなわけで全く違うタイプの部屋を二部屋借りて、何かあれば互いの部屋に顔を出す、というのがいつもの流れになっている。

 今回も例にもれずそういう部屋の取り方になったので、二部屋確認したら大部屋の方の鍵をセダムに渡しておいた。


「ところで、レウコスはまだ来ないんだね」

「どうせ時間忘れて布見てんだろ。特に緊急信号も来てねぇし」

「そうだねぇ。まあ、夜中になっても来ないようなら探しに行こうか」

「アンドレイの方もまだ……って、言ってたら来たな」


 セダムの視線につられてそちらを向けば、確かにアンドレイが宿に入ってくるところだった。

 こちらに気付いたアンドレイが歩いてくるので、そのまま一緒に部屋に移動する。


「道中レウコスを見かけたかい?」

「見てない。……まだ戻ってないのかい」

「戻ってない。多分どっかの店で布に埋もれてる」

「……ついでに探してくればよかったな」


 こうなると本当に夜まで戻ってこないぞ、とため息を吐いているアンドレイにそうだねぇと相槌を打って、部屋の中に入りソファに腰を下ろす。


「で、アンドレイの方はどうだった?」

「あぁ、大体は特に変わりもなく問題なかったけれど、一軒様子見した方がよさそうなところが……」


 レウコスの件は一旦置いておき、アンドレイが行っていた工房の件についての話を聞く。

 そうして話し合っている間に夕食の時間になり、夕食を食べている時にようやくレウコスは宿にやってきたのだった。

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