第18章 挑戦
また、一日確保する事でネネから少しでも話を聞き出す事、サブローの大きめの機体を二人が乗れるように改造する時間が必要だった。
ネネを探すのは神風とピーターに任せて、機体の改造はサブローとカイチが分担して取りかかる事にした。
ネネの住んでいる場所は意外と簡単に見つける事ができた。
神風にはこの三十日、特別な許可を与えられ、グリーンパラディウムの出入りを許可され、治安局に連行されたルートをたどり、事情を伝えネネの居場所を教えてもらったのだ。
「こういうときには約立つな、あの堅物の治安局の奴らって」
ピーターがぼそっと言った。
ネネはディザシティー第十六施設の中にある特別居住区にいる事がわかった。
ここは上級官僚が暮らすディザシティーで、街並も凪の暮らす第十三施設内とは比べ物にならないくらい、ゴージャスで清楚な街だった。
各施設からつながるアクセス道のリニアモーターカーは、すべてここで一旦止められ、通過する乗り物以外はIDの提示と、訪販のためのチェックをされるという、まるで国際線のゲート並みの厳重な体勢がしかれていた。
神風たちは当然フリーパスで入る事ができたが、ゲートを抜ける場所で一度だけズボンまでおろされ、危うく他のお客さんが見ている前で、パンツの中までチェックされそうになり、あわてて文句を付けながらも、ここへ来た事情を話すと、十五分後には通過を許可されたというハプニングがあった。
ゲートの中は常に二十三度に保たれ、何処からともなく良い香りが漂い、そこにいるだけで気持ちは落ち着き、心地よさが味わえる不思議な空間だった。
「なんて所だよここ、すげー気分いいじゃんな、ピーター」
神風はリニアモーターカーの、ムカデのような乗り物のプラットフォームから街を見下ろしていた。
「こんな所あるんだな」ピーターも同じ気分を味わっていた。大きな空間は見渡す限りに建物と樹木がバランスよく植えられていて、人工的なそよ風ではあるが、香りのさわやかな風が時折吹いては、木立がサラサラと風になびいているのが見えた。
「見晴台」と言う駅で降りるとそこから歩いて行ける距離の小さな丘陵の住宅地にすんでいる事がわかり、三十階に相当する高いエレベーターを降りるとようやく地上についた。
街には歩道やガードレールといった人と乗り物を分ける道はなく、人々が自由に街中を歩いている。
広大な敷地には街と街をつなぐ森が点在していて、その木々の中をカラスのチューブに覆われたバスのようなものがゆっくりと静かに走り、そのスピードは人が早足で歩くほどの早さだった。
神風とピーターの目に映るものはすべてが初めての光景だったので「すげー」とか「何だこれー」とかいちいち声を上げながらネネのすむ街に翻弄されていたので、十五分で着くも場所へ行くのに一時間半もかかってしまった。
目立たないように小さな標識が目に入った。
「サンフォレスト十番街」教えてもらった地区だった。
「ここだ、やっと着いたな、しっかし広いなこれ家か?」
二人は顔を歪め、あまりにもかけ離れた生活風景を目の当たりにすると言葉もでず、ただ呆然と立ち尽くし眺めるだけだった。
太くて低い木が二本立つ場所の奥に、大きな池を囲むようにガラス張りの複雑な形をした建物が大小起伏のある丘の上に立ち並んでいた。




