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D-m3  作者: wata
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第18章 挑戦

静まり返るスタジアム中にもう一度大佐が声を上げて「ジークはいるのか?」

と辺りを見渡しながら呼び声を掛けると、「うるせーな、デカい声で叫ぶんじゃねーよ、聴こえてるよ大佐、俺はここにいる」

と誰もいない二階席に声が響き渡った。

みんなが一斉に振り向くと二階席最前列にある手すりにもたれかかるようにして下を眺めている二人の男の姿があった。

一人は大柄で髪の毛をオールバックにかき上げた髪型に、無精髭を蓄えた目つきの鋭い、まるでオオカミのような風体の男だった。

もう一人小柄で前髪をそろえ、丸い眼鏡をかけた気の弱そうな男がジークの付き人のようにこそこそと背後にいるのが見えた。

「なあ、ココロじゃねーか?あれ」

とっさに神風が声を上げた。

「あ、ココロ、おい、お前生きていたのかよ」

見覚えのある髪型に気づき、確信したサブローが思わず叫んだ。

神風も思わず「ココロ、何やってんだそんなところで降りてこいよ」と声をかけると、ココロは罰の悪そうな顔で、顔面を引きつらせながら顔の半分が笑顔になっているのが見えた。

「お前の仲間か?」ジークがグラウンドの人々を見つめながら小さな声で聞いた。「はい」とココロも小さな声で答えた。

「今日からあいつらは、お前の敵だ、わかってるだろうな、お前を生かすも殺すも俺次第だ。

あんな奴らは過去の人間と思え」とジークはココロの顔を見る事もなく独り言のようにつぶやくと、ココロは何も言わずに強く唇を噛み締めるだけだった。

「三十日だな、必ず俺が持ち帰る、それで十分だろう」

ジークは大佐に向かってそういうと、消えるようにスタジアムを去って行った。

ココロもそれ以上神風たちのことを見る事もなく、黙ってジークの後をついて行くしかなかった。

「神さんごめんなさい、サブローさんもみんなも、でもオイラどうしたらいいかわからないんだ、まさかこんな事になるなんて」

ココロは心の中でつぶやきながらも、渋々とジークの後に続いてスタジアムの外へ出て行った。

「ココロ、あいつココロになんかしやがったな、サブ取り戻すぞ」

二人は、人ごみの中をかき分けながら二階のスタンドに向かって走り出した。

「あれココロだよな、絶対ココロだよな、神さん」

「ああ、あいつ生きてたんだ、でもなぜあんなやつといるんだ?」

「そうだよ、そうそう」と突然サブローが思い出したように話を始めた。

「あのネネってばあさんが隠れているときに誰かが来て危なくなったから新三郎って人の所へ迷い込んで来たって言ってなかったっけ」

「ああ言ってたな、それだよ、多分あのジークって野郎が残骸を盗みに来たときに偶然ココロに出くわしたんだ、それでココロも一緒に連れて行かれたってわけか」「神さん、そうとしか考えられねーよ」

「でもあいつ、生きてたんだ、良かったよ」

全く心配掛けさせやがる、必ずココロを連れ戻す、あんなやろーにココロもエネルギーも渡す訳にはいかないからな、神風は二人の去って行った二階への階段を駆け上ると辺りを見渡した。

「ココロ、何処だ!」

大声で叫ぶも、見渡す限りからの席が並んでいるだけで、人の姿は何処にも見えなかった。

二人がいた場所から足取りをたどるも既に何処にも二人の影はなく、観衆の声がざわめきに変わり、スタジアム内を支配していた。

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