第2話 墜落
このエリアにはまだ、制御しきれないエネルギーが多数存在しており、D地区から強力なエネルギー物質を探し出しては、そのエネルギーを利用してグリーンパラディウムを創造し、まだ発掘されていない膨大エネルギーの一部を使って、様々な実験も試みようとするほど、謎に満ちたエネルギーが存在する場所なのだ。
この機体も、主力エンジンにD地区から回収した反重力エネルギー物質を使用し、重力コントロール装置を初めて取り入れた民間の飛行機で、ようやく様々な実験を繰り返し、運行のできる実用レベルにこぎつけた矢先の出来事だった。
EZ-9990の初フライトには、グリーンパラディウムの上官クラスの人間や、家族、親類などが招待され、初フライトを心待ちにしていたのだ。翼は三咲議員の娘で、搭乗客の一人だった。
フライト運行の遥か下には、雲に覆われた森の真ん中に、大きくえぐられたように長く伸びた断崖絶壁の谷間が数十キロに及び、人の侵入を長い間寄せ付けず、谷間底への侵入を拒んでいるかのように見てとれた。
D地区側の断崖絶壁際に備え付けらた対防衛砲のモニターには、オレンジ色の確認テロップが静かに流れていた。
「Point,D-25、リョウクウシンパンカクニン、ケイコク、三フンイナイニ、Dクウイキカラカイヒセヨ」
「ケイコク、Dクウイキカラ、カイヒセヨ」
同様の文字が、上空を侵犯している旅客機のコックピットにも告げられた。EZ-9990の警告モニターには、オレンジ色に輝いた文字が、足早に右から左へと流れていった。
「ヒョウジュンザヒョウカクニン」
「ケイコク、1フン、Dクウイキカラカイヒセヨ」
D地区に配備されている地上レーダーと連動して、備え付けられたMSR-25,26が作動を開始した。
追撃エネルギー砲の準備が始まったのだ。
このエネルギー砲は侵入してくるものすべを排除するようにプログラムされてる。追撃システムを解除するには、あまりにも予測不能の出来事で、間に合わなかったのだ。
「すぐに、MSR-25,26の解除を要請をするんだ、保安省に連絡しろ、早く!急げ!」「ハッ!ハイ」非常にもMSR-25,26はレーダで民間機をとらえ、標的に標準をぴたりと合わせると、エネルギー充電が始まり、カウントダウンを始めていた。
「15、14、13、・・・・・ケイコク10ビョウマエ、9、8、7、6、5、・・・・・」
「ピ〜〜〜〜〜」
軽い電子音が響き渡ったと思った瞬間、鈍い腹の底からうなるような音を発し、ズズズズズンと鈍い地響きとともに、エネルギー砲の上部に積もっていた落ち葉を飛びちらせ、カモフラージュ用に覆い被さっていた枝が、ピシッと稲光にも似た放電によってはじきとんだ。
大きな大砲からは、強烈な太陽のフレアのような閃光が、天に向かって放たれたのだった。
暗がりの静まり返っていた森では、鳥たちが一斉に驚き、騒ぎ立てた。それは数分間続いたがまた、いつもの静けさを取り戻すまでに長い時間はかからなかった。「ズド〜ン!」
エネルギー砲から発射された大きな音がこだまし、エンジンマウンテンまで轟いた。
一瞬稲妻の落雷があったかのように、旅客機の外が光ったと思ったら、ものすごい音と衝撃とともに機体の後方部が吹き飛んだ。MSRは見事に機体の反重力コントロールエンジン部分だけを破壊したのだ。
「なんてことだ!ああ!神よ」
管制塔では既に通知をしたが解除が間に合わなかった。
「すぐに大佐へ報告しろ、保安省からの連絡はまだないのか?」
管制塔内では、撃墜された民間機がまだレーダーから消えていないことを確認した。
「どうなってるんだ?」
「ハイッ、おそらく、エネルギー砲は、コントロール装置のみ破壊したのかと」「まだ機体は飛んでいるのか?」
「レーダーだけではわかりませんが、機体の一部は存続しながら徐々に落下しているようです」
撃墜された機体のすべてが破壊されていないことを祈り、不時着してくれることを願うばかりだった。




