第16章 森の捜索
「まずはどうやって飛行機を取にあの丘まで向かうかだ」
「なんとか治安局のエアフラクター盗めないかな」
「そうだな、保管庫から盗み出す方法を考えないといけないな」
「あそこへ入るのは無理だ、そもそも外へ持ち出せないさ」
「じゃー外回りはどうだ?奴ら外なら以外と気を抜いているからいいかもしれないな」
治安局のパトロール部隊はディザシティーの内部の警備や外部の警備に日常的にエアフラクターを使っていた。
内部で使用されている乗り物を外部へ持ち出すには厳重なセキュリティーを通らないと外へは出られないため、外部へ出動していく物を一台いただく計画を立てた。建物内から外部へ出る者はほとんどと言っていいくらい誰もいない。
彼ら警備をする人間も、その状況を理解していたため、外部部隊はかなり手を抜いたパトロールをしていた。
ピーターとサブローが夕方日が暮れる間際、外回り勤務の交代時間をねらい、一台ではなく追っ手が遅れるように、置いてあった二台ともいただいていく計画を立てた。
そうはいっても直ぐに追っ手は迫るだろうから、一旦例の飛行場跡地へ運び、解体品にまぎらせ、二、三日は様子を見た後、飛行機のある場所まで乗っていこうということになった。
五人はその話で盛り上がり、その日の夕刻に交代時間と状況を確認した後、次の日の夕刻にまんまと二台のエアフラクターを盗み出し、すぐにGPSと無線を解除すると、廃墟とかした空港跡地に移動し、うずたかく積まれた飛行機の残骸の中に隠すと三日後の早朝早くに神風、サブロー、ピーター、凪が二台にわかれ森の中を足早に走り抜けていった。
「急げ、暗くなるとやばい蜘蛛に襲われちまうからな、なんとか今日中に回収するぞ」
「わかった」
神風はなれた手つきでエアフラクターを操縦すると、木々の間を縫うように飛行機のある丘の上を目指して走っていった。
一歩送れてピーターもそれに続いた。
二台のエアフラクターは森を走り続け、夕方にはなんとか飛行機の置かれた場所までたどり着く事ができた。
「ふー、やっと着いたな」
「あーあ、見ろよこれ」
「ホコリまみれだし、葉っぱだらけじゃねーか」
「ま、これじゃー上から探したって石ころと見間違うだろうな」
四人はほったらかしになっていた飛行機を見て笑うしかなかった。
辺りがほとんど見えない程の暗がりが迫るころ、ようやく飛行機のエンジンをかける事ができた。
「神さん、どうしようもう真っ暗だ」
ピーターが不安げな顔をしていった。
「そうだな、問題は着陸地だな、真っ暗でもなんとかやるしかない」
「あの、カタツムリのネバネバ持ってくりゃ良かったな」
ぼっそっとサブローがいった。
「まてよ、古いけどどこかに発煙筒あったろ、一度ぎりぎりまで下がって落としておけば着地点は確認できる」
「なるほど、全部で何本ある?」
「一機に二本てところだな」
「八本あれば滑走路としては十分だ」四人は真っ暗な丘の上から上空へ飛び立った。
月明かりのない厚い雲に覆われた空は不気味な程に暗黒の世界を表していた。
時折光る稲妻が、どす黒い雲をよりいっそう不気味に照らし出していた。
目がなれてきた所で、揺らめく森の真っ黒な陰と、不気味な程に機体に響く風の音ぐらいしか飛行機乗りには感じ取れなかった。




