第16章 森の捜索
一時間近く話しながら飲茶をしていたが、結局凪は現れなかった。
「今日、凪はどうしたの?」
カイチは心配そうに聞いた。
「あー、凪なら金魚のフン掃除して来られねんだろ」
サブローが楊枝で挟まった食べカスをつつきながら言うと、またみんなが一斉に笑った。
ようやく、いつもの調子を取り戻した四人は食べ散らかしたテーブルを後に金魚屋へ向かった。
金魚屋では既に大きな瓶の水槽はきれいに掃除されていて、水草の入った小さな水槽の水を交換しているところだった。
「よう、凪」カイチが凪に声をかけると凪は目を丸くして驚いた。
「カイチ、無事だったんだ、良かった本当に」洗いかけの水槽をそっと置くと濡れた手でカイチの肩を揺らした。
「でもカイチの事だからどうせうまくやって戻ってきたんんじゃないの」
凪もみんなと同じ事をカイチに語りかけた。
四人は奥のテーブルへ着くと、神風が凪に向かっていった。
「凪、珈琲四つね!あ、お前のも入れて五つ、よろしく〜」
「あのね〜金は払ってもらうよ、ここでは何でも買わないと生活できないんだから」
奥のテーブルでもまた大笑いが聴こえた。
いつもの時間、いつもの瞬間だった。
ただ気がかりなのはココロがいないという事とエネルギー捜索のために誰かがD地区へ行かなくてはならないという事だけだった。
ただ、今はやっとここへ戻れた安堵感といつもの時間に浸れる事で、一瞬だがすべてを忘れ、以前の時間に戻った瞬間だった。
「凪、そういえば大変な事があるんだ、聞いてくれよ、例のDエネルギーを探せって命令が下ったんだぜ」
「何それ、どういう事」
「もちろん、デスホールの住人だけだけどな」
サブローが話し始めた。
「凪にはかんけーねーけど、俺たちの区じゃ二人づつ、もちろん一区から十一区まで全部の区で二人づつ出なきゃーいけねーみたいなんだけどな?」
「まったくさ、なんも情報くれねーくせに、どうやって探せってんだよな、あのD地区だぜ、上飛ぶだけだってヤベーって言うのに、森ん中入ったらどうなるんだよ」
「それってすごいチャンスじゃないのかな?そのエネルギーを持って返れば大金がもらえるってことでしょ?」
何も知らない凪が話に加わった。
「さーな、何かくれんのか、本当に?その辺の話は来週のお楽しみだってさ、テレビじゃあるまいしふざけやがって、それよりさーどうやって飛行機取りにいくんだよ、あそこまで二、三日はかかるぜ!」
「全くだな、飛んで二時間ってとこなのに、くっそー」
みんなはそれぞれの心配事を話しだした。
「それで十一区で誰が出るの?」凪が聞いた。
「俺は行く」
神風が真っ先に言った。
「オー神さん、さすがだね、やっぱり神さんだわ」
「他はいかないの?ピーターは、サブローはどうすんの?カイチは知ってるその話?」
「わかったよ、わかった、俺も行くぜ」
「そーでなくっちゃ!サブローが行かないとね」
「そんなこと言われたら、俺だっていきたいけどさ、二人って話だから」
ピータがカイチが話す前に口を挟んだ。
「まーいいさ、誰が行こうと俺は決めたぜ、そのエネルギー取ったやつが勝ちってことだろ、面白くなりそうだぜ」
「神さん」みんなはその意気込みを見守っていた。
「そーと決まったら、まずは飛行機取り戻さねーとな!
それとたぶんあの廃墟であったネネってばあさんもディザシティーのどこかにいるはずだろ?探し出してもう一度いろいろと聞き出せば何かわかるかもしれねーしな」
「そうだな」神風は決心をしたかのようで、これから起る事にどう対処しなくてはいけないかを考え始めていた。




