第16章 森の捜索
「神さん、俺いろいろと考えたんだけどさ、まだなんかモヤモヤしててさ、わかんねんだよ、どうしたらいいのか?飛行機もねーしさ、なんかやる気おこらななくて」サブローが珍しく弱気な事をいいながら歩き始めた。
「俺たちどうしたら一番いいのか、昨日家で話したんだけど、誰も相談のってくれないし、みんな自分の事だけで精一杯なんだよな」
ピーターもうつむき気味に話をした。
「まー何とかなるさ、今結論出さないまでも、まだ時間はあるさ」
神風は二人の両肩をたたくと、足早に向かった。
相変わらず、飲茶街の入り口へ入ると、鶏が足下にまとわりつきながら追っかけっこを始めた。
「今日は浮かない顔だね、どうだい、一皿百ルージュだよ、暖かいうちに食べていきな」
いつものおばちゃんが元気に語りかけてきた。
今日も明日もおそらく、未来永劫に変わらない、変わる事のないこの雑然とした色の街は何の悩みもないかのように、大衆の胃袋を満たすためだけに活気にあふれていると言っていいぐらいに明るい雰囲気を漂わせていた。いつもの声、いつもの匂い、いつもの煙をかぎながら、いつもきれい整えられているとは言えない、雑然とした誰もいないテーブルを探し席に着いた。
座ったとたんに、二、三人の若い娘がシュウマイや、小龍包の小さな蒸篭をテーブルへ無造作に置くと、百ルージュね、こっちは百三十ルージュね、といいながら目の前へ突き出してくる、これもいつもと変わりのない光景、三つ四つテーブルへ置いてもらうと、三人は話を始めた。
「問題が増えたな、あの頃が懐かしいよ、ま、仕方ないけど、一つ一つ解決するしかないか」神風がまとめるようにつぶやいた。
重たい空気の中でポツリポツリとテーブルの食材をつまんでいると、突然「よお、みんな元気だった?」
とカイチがニコニコ顔で現れた。
「おお、カイチ」三人は一斉に声をあげた。
「よかったな、生きてて」
「おまえ、うまくやったじゃねーか」
「マジ、帰れてよかったよ」
三人は交互に話しかけた。
「で、ココロは見つかった?」
カイチはその事が気になっていた。
「いや、見つからなかった、それどころか俺たちも強制的に連れ戻されて飛行機もあの丘に置いたままだ」
サブローはカイチの顔をみて、無理矢理元気な顔を繕っていた。
「そっか、そうだったのか」
「でさ、墜落した後どうなったんだよ、俺たちたまたま無線でカイチが保護されたって聞いたんだぜ」
「ああ、おれ落下した後森の中へ落っこちてしばらく木に引っかかって身動き取れなかったんだけど、なんとか地上に降りて森の中をうろうろ歩いていたら、いきなり木の陰から銃をもった男が現れて、なぜ一人でこんなところにいるって言われたんだ、あまりに突然で一瞬気が動転したけど、制服見たら治安部隊の奴らだたんだ、最初はビビったけどこいつらどうせ何もしやしないって思ったとたんに気が楽になっちゃって、その後はまー大げさでもなく適当に乗っていた飛行機が墜落して、その後ぶらぶら森の中歩いていたんだっていってやったんだ。
そしたら、あいつら勝手に墜落した大型機の生き残りと勘違いしたみたいでさ、みるみる態度変えやがって、そりゃー丁寧に扱ってくれてさ、暖かいスープはくれるわ、ベッドに寝かせてくれて病院まで運んでくれるわ、昨日までの記憶がないふりしてたら検査入院とかいって大きな病院に入院させられていたんだけど、夜中にこっそり抜けだしてきちまったってわけ」
ハッハッハッ、四人は一斉に大笑いをした。
「カイチらしいな、どうせもごもご適当なこと言ってうまいもんでも食ってきたんでしょ?」
ピーター横目使いでうれしそうに言った。
「そんな事ねーよ、ちょっとステーキ食いたくなったって言ったら、すべての検査が終わるまではこれで我慢してって、大豆のハンバーグ出されたときは参ったけどね」
「何それ、いいじゃん、なんかみんなが心配してくれて、でもよかっなほんと生きてて」カイチが来た事で、四人はいつもの元気を取り戻すと飲茶を食べ始めた。




