第16章 森の捜索
デスホールの十一区内では騒ぎが起っていた。
それはある一枚のお達しが区長の元へ来たからだ。
区長と言っても区が精励されている訳でもなく、スラム街を先住民達が自分の居場所を確保するため、勝手に区分けをしているだけの地域だった。
区長も選出されている分けでもなく、その中で一番長く居座っている人間が無理矢理押し付けられている感があり、特に権威や維新を持った人間ではなかった。
「おい、区長なんだよこの張り紙はあっちこっち貼りやがって!どっからこんな話持ってくんだよ」
「お前んとこの、出来損ないの息子出せばいーじゃねーか」
住民は十一区内にあるアリの巣状の住居の中で、唯一広い空間がある集会所へ集まって話し合っている最中だった。
といっても、三百人も入ればいっぱいのホールには、数千人の区の人間が全員集まれない事はわかりきっていた。
デスホールは地下に掘られた縦穴式住居が街になったような作りになっていて、内部はアリの巣状に居住空間が張り巡らされ、初めて訪れた人間はまともに戻る事さえできない程の入組んだ作りになっていた。
治安は悪いが夏涼しく、冬暖かいという居住空間としてはとても快適な環境を持ち合わせていた。
「相変わらず汚ったねーな、ここは」
神風が何日ぶりかでもどった十一区の入り口を見てつぶやいた。
「まったくだぜ、いつまでここで暮らせっていうんだよ、へどがでらー」
サブローがつばを吐きながらいった。
地下に通じる入り口には「告」という手書きで書かれた文章が新聞紙大で貼られていたが、既に所々に卑猥な絵が落描きされていて、まともに読む事すらできない状態だった。
『告』本日、十三時より、十一区二の三十の奥、大広間のコミティーホールにて(コミュニティーホールの間違いだろこのボケ)エネルギー商のお達しを申し使ったので階さんのもとへ伝える事とする」
「何だこの文章、キッターネー文字だし、間違えだらけじゃねーかよ」
ピーターが笑いながら読み返した。
「神さん、エネルギー省ってあの健三郎って奴がいた所だろ?」
「ああそうだ」
「またなんか新たなもの作ろーってのかよ?」
三人は急いで地下の八階まで降りると、アリの素のような街を抜け、唯一体育館を二面合わせたような大きな空間へ向かった。
「うぉ〜いるないっぱい」
サブローは数百人はいる人ごみを見つめていた。
「いや、もっといるけど多分そんな事はおかまい無しって奴らは閉じこもって出てこねーよ」神風が言った。
ホール内では既に区長を中心に、周りの連中が口喧嘩をしているのが聴こえた。
「区長、お前決められんのか、あんな森へ誰が入っていくってんだ」
「うるせーな、聞こえねーだろ」一段と、大きな声が聞こえた。
「静粛に、いいかもう一度説明するから、良く聞いておくれ」
区長は古い拡声器を使って、ありったけの声を張り上げた。
「一週間後、各区から二名を選出し、D地区の新エネルギー捜索へ当たれとの命令がくだされた。
守れない区には更なる課税が課せられるとの事だ」
「だから、お前がいけっつーの」
「ばか、ふざけんな!そんなもん、だれが払うかよ〜」
あちらこちらから怒号が飛び交うなか、区長はさらに言い続けた。
「一週間以内に申し出をおこなう、我こそはという者は申し出てくれ」
「いいな、一週間以内だぞ、それでも選出できないときは私が二名を選出する」
区長はこう告げると話を打ち切った。




