第15章 リージェントC
大佐の発言は各セクションの局長会議を長引かせた。
皆が皆、甘んじた時代の中でのうのうと暮らしていた矢先の出来事だったので、これから起るであろう、重大な作戦について、想像すらできなかった。
皆が皆、墜落さえ無ければと思った。
それは口にさえ出さなかったが大佐も同様の見解だった。
それぞれの局長は課題を持ち帰り、それぞれの局で話し合い、リミットは明日の十五時までと期限を切られたのだった。
一番大切なのは大佐率いる保安省の面々で、掃討作戦を慎重にやらなければ、余計に交渉がこじれる事が目に見えていたからだ。
ジークの集団も易々と応じる訳もないだろうし、ましてやデスホールの住人は手に負えない連中である事は百も承知だった。
今は掃討作戦を練るだけで、十一区の住民を説得させるだけの材料は他の局のアイデアを待つしかなかった。
大佐は保安省の幹部を集め、作戦の実行計画を話した。
「諸君に集まってもらったのは、これから話すD-m3回収計画について実行をしてもらうためだ」
「まずは小部隊を作り、デスホールへ送り込む」
「この部隊は民間人に紛れ込み、彼らの行動観察を行い、あらゆる手段で刷り込みを行う」
「口コミ、買収、チラシ、その他何でもいい、とにかく刷り込め、そして区長を説得させるのではなく、納得させるまで大衆を動かせ」
「どんな無能な長老でも大衆を集め、論じる能力を少しは持っている」
大佐は、少し馬鹿にしたような絵美を口元に浮かべ、話を続けた。
「墜落機の回収に当たっては、治安局のイル・クマーニの指揮の下、百名を総動員し、地上と空から回収に当たってくれ」
「winter daybreak「冬の夜明け」の追い込みは、私が指揮を執る」
大佐は概要を話すと、さらに細かな作戦を実行するための班の構成を、各局の局長と話し、さらに実行部隊の作戦チームのリーダを決め、それぞれに招集を促すよう決定すると、短時間で全体の指揮統括を計ったのだった。
各省庁の局長たちも、話を短時間でまとめ、行動に移る準備に取りかかると、すべての報告を大佐へ持ち寄り、統括後、秘書を通じてエゾに伝えられた。
しかし、エゾからの返答は何も無かった。
何も無かったという事は遂行しろという事と同じ事なのだ。
「どうやらこの方法で問題はなさそうだな」
大佐は数人の議員達と立ち話をした。
「つまりはだな、D-m3が見つかりすべてのエネルギーを回収したとなると、いよいよ次の世界の創造につながっていくってことか」
運輸省の北浜幸一郎が、眉間にしわを寄せながら難しい顔をして話しかけてきた。「これから先の事はどうなるのか?我々にも先が見えないことは確かだ、だが、復興に当たってから今日まで、様々なエネルギーの開発を行い、今の世界を作り出したのも事実だ、今、我々にできる事は安定した社会の秩序とエネルギーの供給を生み出すという事だ。
そのためには今できる事をできる限り行なうしか無い。
D-m3は我々には計りし得ない力を生み出すだろう、しかし、しかしだ、今それをコントロールできるのはエゾ様しかいないという事を我々は理解し無くてはいけないというのも事実なだ」
大佐もエゾの独裁に大きな不安を抱きながら語った。




