第15章 リージェントC
「ジークにはDm-3を回収させるための条件を与え、任務遂行に向けた戦略を取る」
「その際の多少の犠牲は止む終えんだろう」
「第二に、次の犠牲者を出さぬよう、墜落機の回収と盗賊によって奪われた遺品の回収、それにすべての原因追及と解明はエネルギー開発省と行う」
「第一作戦は、デスホールの十一区からそれぞれ二名選抜し、チームを作り、ジークの一団にもそこへ加わってもらう」
「もちろん、無茶を言っている事は承知だ」
その十二チームで回収戦を行わせ、これを持って勝者には二十三番目のディザシティーの生活権利を与え、区全員の生涯の保証を約束する」
「もちろん、ジークの一団にも同様の権利を保障する」
「大佐は犯罪者に温床を与えるというのかね」
「そうだ、そんな事うまく行きっこ無いだろう」
誰からともなく、野次が飛んだ。
「もちろん、すべて計算の上だ」
「これをもってうまく行けば、ジーク一団とデスホールの荒くれ者の一掃が可能だ」
「その事も理解の上、承諾していただきたい」
最後の言葉で皆は渋々納得したが、まだ数人は腹持ちならない顔をして小声でこそこそと話す声が聞こえた。
「各セクションの関係者は機体回収のシナリオと、リージェントC対策の案を私の方へ提出してほしい」
「私はそれを持って、エゾ様へ報告に上がる」
「後はエゾ様のお考え次第だ」
「是非、協力してほしい、よろしく頼む」
数人がさらに大佐へ詰め寄ったが、これ以上の議論にはならなかった。
二十二名のセクション代表の議員達は返事をしたものの、作戦を疎んじる者も数名いた。
エネルギー開発省のアキラ・北村議員はすぐに省庁の幹部を集め、D-m3の回収について話し合った。
まだ未知のエネルギー体なので、回収した後の扱い方や、どのような実験をすべきなのか、特殊機関との連携等も事前に考えておく必要があった。
保安省の剛田大佐も同様に、治安局のイルクマーニ本部長とその他幹部達を集め、大佐の投じた作戦の詳細について合理的な方法を論じた。
「今の時点ではD-m3というエネルギーがどんな形状で、何処にあるのかさえわからない状態ですぞ」
エゾ様の保管してあるlost data「失われたデータ」と呼ばれるCD-ROMの中に保存されていた技術書の中で解明された文章はこのような事だけだった。
D-m3とは、「・・・人間の心を支配し、、強制的精神教育をも可能にする、扱いには十分な配慮を必要とし、人類の平和を願う・・・・・D-m1及びD-m2との集合体により、全エネルギーの機能を人類のために役立てる事ができる・・・・」
この内容以外は、段落の一部も抜け落ちがあり、また前後の文面も読み取る事は不可能だった。
上層部の知り得る情報もここまでだった。
ただエゾはこのデータの意味を独自の解釈によって、三つのエネルギーを操り、人類の創始者である神の力を得ようと考えていたのだ。
「何か大事になってきた様子だね」
「お宅のところは何をするおつもりで?」
「さーね!あーいきなり言われたって、保安局としては治安部隊の安全管理が仕事ですからね」
「で、そう言うお宅はどうなの?」
「運輸局だって、リージェントCがそこいらにいるんじゃ、外部物資補給用のカーゴフロートだって動かせないよ」
「あとは回収作戦って言ったって、我々があんな奴らの手助けをするのかが問題だ」
「そりゃそうだ、誰だって実際は手を貸さんだろう」
それぞれの局長同士の話は決しておおっぴらに語られた訳でもなく、大多数はひそひそと本音を語る内輪話が多かった。




