第15章 リージェントC
エゾの創り出した街は、大都市がいくつも連なって一つの国と言ってよい程の世界を創世し、大佐といえどもエゾに直接あって話をする事はまれであった。
「エゾ様、先程合田大佐より先にお知らせを致しました、EZ-9990の墜落の件でお話がしたいとの連絡が入りましたので、ご報告申し上げます」
「そうか、わかった」
「D-m2の回収についてだろう」
「会うまでもない、リージェントCをばらまいたと伝えておけ」
「それと佐々木を呼べ」
「はい、かしこまりました」佐々木とはエゾ直属の極秘研究施設の主任責任者で、EZ-9990を初め様々なエネルギーの開発を主な仕事としている。
エゾの配下には自分だけが知り得る研究機関と、グリーンパラディウムを構成している二十二のディザシティーの管理者二十二人の有識者を従え、さらにその下に百人からの幹部から成り立ち、エゾはピラミッド構造の頂点に立つ人間なのだ。
「エゾ様、急な御用とお聞きになり、直ちに参りました」
「佐々木、D-m2が再びばらまかれたのだ、急いで回収したい」
「リージェントCは何体稼働できるのかね」
「はい、ただいまの所、テスト済みは二百体程で、すぐにもう数百体を整えられるかと思います」
「ならば、すぐに稼働できる物はばらまき、テストが済み次第のこりもかどうさせるのだ」
「承知致しました」
「今晩中に墜落地点より十キロ四方にばらまき、回収作業に着手致します」
「いいだろう、下がってよろしい」
「はい、それでは失礼致します」
佐々木はリージェントCをばらまく約束をエゾと交わし、再び準備を行うために、数名の部下を引き連れエンジンマウンテンの内部へと戻って行った。
リージェントCとは、十センチ程の蜘蛛型の人工知能持つロボットで、D-m2と同様の微弱な反重力反応赤外線レーダーを発し、散らばったエネルギーに同調しながら反応したD-m2をリージェントCが回収する仕組みになっている。
ある種の蜘蛛が、生まれた子どもをお尻乗せるように一定量のD-m2体に集めると、同様の一定量を積んだリージェントC同しが結びつき、さらに何体かが結びつくと最終的に体が格納庫状態になり、回収したエネルギーを利用して戻ってくるという、高性能蜘蛛型のロボットなのだ。
ただ、D-m2は一粒三ミリ程の小さな物体で、一度にばらまかれると、回収は困難を極めた。
D-m2エネルギーは、一粒でエアフラクターが浮遊する程の強力なエネルギー発するのだ。
エゾは再び秘書のミス、クレアを呼びつけこう話した。
「D-m3を探させるのだ、ちょうど良い機会だろう」
「大佐にそう伝え、回収のアイデアを私は待っている、と」
「それから、Dm-2の回収の件は君から話しておいてくれ」
「はい、かしこまりました」エゾはそれ以上何も言わず秘書を下がらせた。
エゾの言葉には深い意味が込められていた。
「エゾ様からの連絡はまだか?」
剛田大佐イライラしながら、乱暴に飲みかけの珈琲をテーブルに置くと、その衝撃で渕から微量の珈琲が自分の手とテーブルに飛び散った。
大佐はそんな事にはおかまいなく、エゾの秘書に再度連絡をいれた。
「はい、伝言を預かっております」
「それで、それでどうしろと」大佐は息を切らしたように聞いた。
「はい、D-m3を探せと・アイデアを待つ・とおっしゃっておりました」
「それだけか?」
「はい、それと、D-m2のエネルギー回収に当たっては、リージェントCを稼働させ、約百体ほどを先行してばらまく・と」
「なに、リージェントCをばらまくだと」
「我々の隊が出くわしたらどうなるんだ」
「死を覚悟しろというのかか?」
「はい、そこまでは何も」
「わかった、D-m3の回収に関してはすぐに報告書を作成する、明日にでもエゾ様へお伝えすると」
「はい、かしこまりました」
秘書のミス・クレアはきれいな顔立ちの女性だったが、表情はかたくななまでに無表情を保ち、的確な答えを伝え、それ以外のよけいな会話をかわす事は無かった。




