第14章 エネルギー
「神さん、サブのいる場所この先?わかる?」
「ああ、多分、もう百メートルも無いはずだ」
右手に昨夜野営した廃墟が見えて来た。
「あった、ほら電気がついている廃墟、あの先だ」
二人はさらにふらふらと木々を縫うように走ると、沼のほとりへと近づいて行った。
「サブ、聞こえるか俺の声」神風はサブの無線に語りかけた。
「ああ、聴こえるぜ、でどうする?」
「岩みてーな一番デカいやつの前に、目印を投げてくれ」
「わかった、やってみる」話を短く終えると、サブローはすぐに行動に移った。
沼のほとりへ近づくと、遠くから「ンモーンモー」っとあの巨大なウシガエルのなく声が聞こえて来た。
巨大なウシガエルは、人の気配に怯えるそぶりもなく、また、微動だにもせずに同じ場所をキープして、依然として目の前を通過する獲物を捕らえようと、石のようにじっとしていた。
「あそこだよ、ほら」と、木々の開けた先に見える水面の近くを指して言った。
「一番デカい、岩みたいなやつだ」
ピータが暗がりをさして言った。
暗がりの中でも、沼のほとりに、大木とはあきらかに違うまるっこい大きな体は、シルエットの真っ黒な影しかわからなかったが、確かにあの巨大なカエルの姿だった。
「あそこの手前にこの液体の青い炎を投げるんだ」
二人はツルをぐるぐる丸めた玉状の物にカタツムリの液体を塗ると、火をつけた。
「これが目印だな!」
青白い炎は暗闇をぼーっと照らし出していた。
「いいぞ、それ」サブローが巨大なカエルの少し手前に火の玉を投げた。
一瞬巨大なウシガエルは鳴くのをやめ、黒いシルエットは少しだけ炎から遠ざかるように体の向きを変えが、再びンモーンモーっと鳴き始めた。
炎は青白く辺りを照らし出し、黒い岩のようなシルエットはいっそう闇夜の森の中に浮かび上がった。
「てめーら、いつまでおちょくってんだ」
パンパンパンレッドは、三発神風たちへ向けて発砲したが、やはり木の幹に当たり皮がはじけとんでパラパラと辺りに破片が飛散したにすぎなかった。
「クッソー、もっとスピードを出せ、タリー」
「分てるけど、先が見えないんだ、ぶつかったら俺たちがおしまいになっちまうよ」
「ちぇ、しょーがねーな、クソッタレめ!」
レッドはいらだちがピークになり、暴言を吐き捨てた。
「凪、あの先の大木の裏側で止めるからすぐ火を消して!」
「わかった」
神風の操縦するエアフラクターは、巨大なウシガエルのいる場所に墜落したかのように見せかけるため、スピードを上げて大木に回り込むとすぐに凪が火を消した。
数秒後、タリーとレッドの乗ったエアフラクターが近づいてくるのがわかった。「レッド、あれ見ろよあそこに落ちたらしいぜ」
「へへへ、ざまーみろ」
「まだ生きているだろうから、少し回り込んでみろよ」
「暗いからな、よーく狙って仕留めてやるさ」
タリーはまっすぐの進路を取らず、湖のほとりの手前から半円を描くようにしてその先にある大岩の裏側を飛び、様子を見ようと大回りをした。
その様子はまるでハエが食卓の上を低空飛行で旋回し、止まりどころに狙いを定めているかのようだった。
「よーし、何処だ、何処にいる?出てこい」
レッドが身を乗り出して岩の周りを見渡した瞬間、どこからともなく粘液のついたツルのような長い棒状の物がレッドの顔面に貼り付いた。




