第14章 エネルギー
「あれ、いない」
「どっか他の場所へ移動したか?」
しばらくスノーヴィを捕らえていた二人がいた辺りを見て回ったが、消えた松明が一本だけ残っていただけだった。
「まだあったかい」
「そんなに遠くへは行ってないはずだ」
神風のエアフラクターは辺りを見回し、ゆっくりと動き出した。
そこから、数十メートルも離れていない所にあの見覚えのある青白い松明が二本立って、辺りを照らしているのが見えた。
「いた、あいつらだ!」
神風は小さな声で叫んだ。
「まて、ちょっと様子を見よう」
二人は一度離れた場所へエアフラクターを停めると、徒歩で様子をうかがいに行った。
暗がりの中に照らし出されるリンの青白い炎の下で、二人の男が何やらぼそぼそと笑いながら二体目のスノーヴィにガラス管をかぶせている所だった。
スノーヴィはわりと簡単に見つける事ができたが、その中でもエネルギーを蓄えている個体を見つけるのは容易ではなかった。
スノーヴィの体は半透明で、体の臓器が透けて見えるのだが、エネルギーを蓄えている個体は、透明感が無くやや黄ばんだ色の固体をしており、彼らはスノーヴィが夜行動する習性を利用して、夜中に個体を探して回り、辺りを明るくする事で彼らの動きを抑制し、捕獲するのだった。
「今日はいいぞ、タリー、二体目だぞ」
「見ろよこいつ、かなりしっかりと色がついているぜ」
「こりゃ、ボスから褒美がもらえるぜ」二人は二体目のスノーヴィがかなり黄ばみがかって濃い色をしていたので、他より数体分のエネルギーがあるように見受けられ、かなり高い値段で売買されそうだと、過度な期待を膨らませていたのだ。
「結構ずっしりとくるな、つめるか?」
「おー、一緒に行くぜ」
「せーの」二人はズシンっと重みのました二体目のスノーヴィをエアフラクターのリヤシートサイドのラックへ固定した。タリーの乗るエアフラクターには、四体を乗せられる分のガラス管が取り付けられていて、そこに二体目をつめたスノーヴィが乗せられた。
「よし、ペースが早いな今日は」
「後二体だぜ」
「ああ、そうだな」
二人は残りの二体の個体をさがすために松明を持ち上げようとした。
その一部始終を遠くから眺めていた神風と凪は、どうするか考えた。
まず彼らを沼までおびき出すには、自分たちがおとりになるしかない。
ただそれもリスクはあるが、彼らは荷物を積んでいる分、自分たちよりスピード面ではついて来れないだろう、追いつかれればそれだけ攻撃されるリスクが増える。その辺は日々飛行機の操縦技術で体感として学んでいた。
「凪はあいつらのスノーヴィを入れている管に石を投げて自分の方におびき寄せるんだ、その前にあいつらを俺が引きつける」
「そうすれば、怒って凪を追いかけてくるだろう」
「いいか、あの二体目を乗せたらもう少し近づいて割るんだ、それを見計らってすぐに凪をピックアップする、石を投げたらわざと気づかれるようにして、停めてる所まで走ってくるんだ、いいな」
「俺たちは今暗闇に目が慣れて来ているから、この森をある程度のスピードで走れる、ただ奴らを誘導するために、このリンの燃える明りをエアフラクターのサイドステップに火をつけて、目印になるように見せかけるんだ」
「やつらは、それに気づいて追ってくるだろう」
「そしたら、いいな俺がサブの所までおびき出す、後はサブたちの誘導に任せてあの巨大な岩みたいなカエルの餌食になってもらうって考えさ」
「面白いね!わかった」凪は一つ返事をした。
ふたりは、タリーとレッドがスノーヴィを捕らえている場所から十メートルと離れていなかった。




