第12章 森 完
「まー落ち着いて」冷静に健三郎が語りかけた。
「私たちはあなたの言う通り、ここに暮らす人々は二年前までエンジンマウンテンで働いていた家族とその仲間だ」
「みんな、何かしらの疑問を持ってあそこで働いていたからね。あるときから一部の人間が新エネルギー開発に問題がある事を指摘して、意見鎮実書をお偉方へ提出してさ、しかしそんな事はおかまい無し。
あげくの果てに、その連中は部署丸ごと解体されたあげく、皆が訴えを起こしたら、みんなデスホールへ戻るよう命じられたのさ、もうまともな暮らしはできないと思ったね。
それが今ここにいる我々の仲間ってことだ。
一度は、強制的にデスホールへ戻されたが、やはりあそこはなじめなくてね、三日三晩さまよったあげく、死ぬつもりでここへ来たってわけだ。
それから二年があっという間に過ぎた、やっとここまで人間らしい生活を取り戻したってわけだが、人生なんていつ何が起るかわからない、あなた方だってそう思うだろ、でも今ではここで食べる事にはそんなに苦労はしなくなった、肉が食べたいとき動物を捕まえるのは大変だけどね、鶏はいるけど大型の動物を捕まえようと、罠をしかけてもなれないから空振りばかりでね」
笑いながら健三郎は話し終えた。
「あの、もしかして森から出てきたとき、開けた空き地に仕掛けてあった罠って」ピーターが話すと、凪と目を合わせてにやっとお互いが笑った。
「実はこの二人がさっきその罠にかかっちゃって、その〜壊しちゃいました」凪がにやにやしながら話をした。
「まーいつもそんなもんだ、気にしなくてもまた仕掛けるから」健三郎は大して気にしていない様子で笑って話を聞いていた。
「まあ、とにかく今日はここでゆっくりして、それからどうするか考えるといい」しかし、ディザシティーへ戻るには歩いて三日はかかるぞ、それを覚悟して歩くか、墜落現場へ戻って救出を待つか、どちらかしか今は無いな」
健三郎は自分たちで生きていく事の選択をしなければ行けない事を告げると、何もそれ以上は言わず、また明日ここへくる事を告げるとさらに奥の建物へ、他のみんなと消えていった。
「仕方ないな」神風はここにとどまる事など、今は考えたくはなかった。
「俺たちはここでのんびりしている暇なんて無いさ、ココロとカイチがまだどっかにいるっていうのに、これからまた行くぜ、墜落現場までなんとか」
神風は自分の意志を曲げなかった。
「まーなんとかなるさ、な」四人は顔を見合わすと、また来た道を戻ろうと歩き始めた。
そのとき、「あなた方に言いたい事があるの」いままで黙って車椅子に座っていたネネが語りかけてきた。
「何ですか?」
「失礼、紹介が送れたわ、私はネネ、ちょっと足を悪くして歩けないのでこのままでいいかしら」
ネネは丁寧な口調で話し始めた。
「この森の中には人や動物とは別の生物が存在するわ、でも怖いからといって危害を加えてはだめよ、彼らはエネルギー体だから上手に接すれば共に友好的よ、攻撃すればエネルギーどうしがぶつかるだけ、だからそっとしておいて、けして怖がらない事」
ネネは名前やどういう生き物かは明かさなかったが、違う生命体が存在する事をみんなに話して聞かせた。
神風たちは、自分たちが見た事のない生物を何となくは理解し、何となくわからない様子で軽く受け止め、森へ再び二人を捜しに出発した。
「わかった、注意します」とだけ言い残して。




