第12章 森
「いーじゃねーか、悪い事してる訳じゃないし、こっちにも人がいるってこと知らせた方がいいだろ!」
「いきなり、ズドン!ってやられたらたまったもんじゃねーからな」
「さっきの捕まった奴だって、ありゃ罠だぜ、まー人を捕まえるというより獣用だと思うけどな」
サブローはピーターに話しかけながら一階のエントランス部分で人の気配を探していた。
「誰だ」
いきなり、六人ぐらいの男が背後から散弾銃やライフルを構えて立っていた。
四人は一瞬声も出ず、固まってしまった。
「お前ら何処から来た?」
六人のうちの一人、佐野健三郎という見た目六十歳ぐらいで、口ひげを蓄えた白髪まじり男が散弾銃を神風に向け話しかけてきた。
「おい、お前たち何処から来たんだ?」
健三郎の隣にいた、頭部がはげた男が「お前らも生き残りか?」と意味ありげな事を聞いてきた。
「ええ、いえ、僕らは探しているんです」
「その、この辺で墜落した飛行機に乗っていた仲間を」
やっと、神風が口を開いた。
「あの、大型の飛行機の生き残りを捜しているのか?」
健三郎がまた聞き直してきた。
「いえ、その、もう一機小さいの見ません出したか?」
「ああ、知ってるよ、北に二キロほど行ったところに落っこちたやつだろ?」
「それ?ですかね?それ、俺たちの友達のカイチって奴の飛行機なんです」
「そうか、人は見かけなかったがね」
六人は神風たちの様子をみて、丸腰であることを確認すると、銃口を下げてさらに話を続けた。
「木に引っかかったパラシュートなら奥に置いてあるさ」
「それでその、カイチってのを探して森に入ってきたのか?」
健三郎がさらに話した。
「はい、俺立ち十一区の人間で、カイチと一緒に飛行機で飛んでるところを、対立している一区の奴らに撃ち落とされて、それで、なんとか助けたくって、その、カイチを探してるんです、それでここへたどり着いて、その、カイチの居場所知ってるんですか?」
神風は不意打ちをつかれ、緊張せいか必死の思いでここへ来た事を伝えた。
そうか、俺たちも元々はあそこの人間さ、まぁいい、ちょっとこっちえこい」
健三郎は少しほほを緩めて話をした。
しかし銃口は下げたものの、まだ神風たちを信用している様子ではなく、健三郎の後を四人は続いて歩いていったが、背後に五人が囲うように警戒しながら着いてきた。
噴水の左側にある大きな建物の奥に続いている廊下を行くと、さらに両脇に二棟の建物が向かい合うように建っていて、そのうちの右側の棟の中へ連れて行かれた。さらに奥まで連なっている建物の通路は、入り口からは想像できない程きれいに整えられていて、通路に面したアーチ型の窓枠の割れたガラスは取り外ずされ、そこから見える通路の外庭は、雑草や下草が奇麗に刈り取られていて、木立もすがすがしく整然と生えていた。
ここにも小川が流れ、小さな魚が泳いでいる風景が見て取れた。
歩く廊下には石ころ一つなく、この通路のさらに先の建物が彼らの居住棟になっている事は整え方を見ればわかるほど奇麗に整備されていた。
花壇さえ作っていないが、一夜にしてできたものではない。
「あのー、すみません、ここに住んでるんですか?」
「ああ」
「もう長いんですか?」
歩きながら、凪が後ろからついてくる男に話しかけた」
「ああ」男は、それ以上口にしなかった。
「で、どこに連れて行かれるんですか?」
神風は、キョロキョロと辺りを見回しながら健三郎に聞いた。




