第12章 森
「ああ、気をつけていこうぜ」
四人は崖の上の森とは違った雰囲気を肌で感じ取っていた。
しばらく歩くと木々に覆われた沼地が見えた。
その沼地の中央部には沈みかけたコンクリートの建物が突き出ているように見え、その窓から数本の木が空へのびていた。
「ここも街だったのか」
「きっとそうだな、森になっちまったけど、多分この辺は大都会だっただろうな」神風はビルの谷間を通過したスリリングな日の出来事を思い出していた。
「ココロとカイチはどこにいるんだろう」
「でも、神さん、多分だけど近くにいると思うよ」
凪がおおよその場所の確認をした。
「よし、ここらで休もう」
「そうしよう」
「きれいな池だけど水飲めんのかよ?」
サブローが水面へ近寄りガイガーカウンターと共に水質検査機を取り出して放射能測定値を計った。
「この数値なら大丈夫そうだな」
「なー、ここの水飲めそうだぜ」っとみんなに声をかけた。
その時、正面の沈みかけているビルのわきから勢いよく何かが飛び出し、サブローの頭上を通り過ぎていった。
「うわ!何だありゃ」その生き物はもう一度旋回し、戻ってくるとビルの窓から生えている木に止まった。
「トンボか?」神風が声を上げた。
「でっけーなありゃ!」
サブローが大げさに目を丸くして驚いた。
「本当だ、トンボだ、オニヤンマよりデカいよ」
「オオ、オニヤンマか?」
ピーターが妙な事を言って笑わせた。
そのトンボは羽から羽の端まで一メートルはある巨大なトンボだった。
よく周りを見渡すと、同様のトンボが空高く飛んでいた。
「これってここの池で育ったんじゃねーか」
「こんなデカいやつは初めて見たよ」
「そうだな、きっとなんかヤバいものでも喰ってそうだな」
サブローが小石程度のコンクリート片を池の中央に向かって投げると、またシューッと巨大なトンボが飛び立った。
空を舞うトンボはまた、サブローの頭上をかすめると、左奥の苔むした岩がごろごろする辺りへ飛んでいった。
みんなあまりの大きさにあっけにとられ、目で追っていると突然岩が動いたと思ったら、長いツルのような空中を移動しあの巨大なトンボに絡まると、次の瞬間、その長いツルがシュルシュルっと戻り、大きく開いた岩の間に挟まれた。
「何だ今の?」
「トンボが・・・」
四人はあまりのスピードの速さにあっけにとられていた。
「あれ、岩じゃない」
「見ろよ、トンボ喰ってるぜ」
「カエルだ!」
四人は一斉に声を上げた。
その苔むした岩に隠れて、岩と見間違えていたものはトンボ同様の巨大なカエルだった。
岩の大きさは二メートルは有にあるように見えた。
「化け物ガエルだなありゃ」
「ウシガエルか?」
「あんなにでっかくなるのかよ!」四人はそれぞれ口にした。
「おい、あまり動くなよ、カエルは動くもの狙ってくるぞ」
「まずいなここは、やたらと動くと俺たちもあいつの餌食になっちまうぜ」
四人はそっと辺りを見渡した。
「近くにはいないようだな」
「そっと下がろう」
「ああ、静かにな」
四人は静かに後ずさりした。
水際を離れ、木立の中へ逃げ込んだ。
「なんだよあれ」
「谷の下はみんな巨大化してるぜ」
「気をつけろよ、まだいるぞ」
空の雲が真っ黒になり始めた。
「雨か?」遠くの方から、ザーッと雨音が聴こえ、通り雨が狭てくるのが聴こえた。
「どっか雨宿りできる所を探すんだ」




