第12章 森
「あそこだよほら、岩が崩れてる」
「あったぞ、あそこなら行けそうだな、神さん」
先を進むサブローが突然大声を上げた。森の中を歩きながら、時折ぱっくりと口を開ける地割れに落ちないよう、注意深く進んでいると地滑りで崩れた岩山が滑り台のように緩やかな傾斜を作っていた。
「ここなら降りれそうだ」
四人は少し大回りをしながら崩れ掛けの大地のたもとまでたどり着いた。
「すげーなここも」
「こりゃー地滑りだな、もうかなり時間が経っていそうだから大丈夫だろう」
大きな岩がゴロゴロする中に、倒れた木の根や幹から新たに空に向かって枝が伸びていた。
「見る限り崩れる事はなさそうだな、多分だけど」
神風はみんなに目配せすると今度は先頭に立って歩き出した。
「こっちの方が降りられやすそうだな」なるべく岩と岩の間をすり抜けるように歩き、崩れそうな岩山はさけて通った。
「しかしすげー岩だな、こんなのに巻き込まれたらいちころだぜまったく」
サブローが大きな岩に上ってジャンプし次の岩へ移ろうとした。
その瞬間、ドドドーっともろくなっていた足下の岩が崩れサブローごと下へ落っこちていった。
「おい!サブ、大丈夫か?」
「痛てててて、平気だけど調子に乗ると崩れるな、この岩」
ワッハッハッハ!
四人はその光景を見て少しは緊張が解けた様子だった。
「しばらく急な岩山の崖を慎重に降りていくと、黒くこげた岩肌の下に燃えたエアフラクターが転がっていた。
「おい、これ見ろよ、これ治安部隊の乗っているやつだろう?」
「ほんとだ」
「なんか、嫌な予感がするな」
「きっと何かあったんだ、ほら、そこ」
「うわ!」っと凪が、どす黒い土にしみ込んだ血を見て声を上げた。
「これって、血じゃない?」
「まずいよこれ!」
ピータが急に辺りを見回し大声を上げた。
「まてよ、もうかなり時間が経ってる、誰かがここでやられたんだ」
「引き返した方がいいかな」急に凪が弱腰になった。
「俺たちの他にも森を下ってる奴らがいるんだ、しかも争ってまで」
「早く行こうぜ、この辺じゃ〜ここしか上へも下へも行く道なさそうだし、狙われたら最後だぜ」
「そうだな、早いとこ森の中へ入った方が安全だ」足早に四人は歩き出すと岩壁にも飛び散った血のような黒い後が見えた。
「ここにもあるよ」
「ああ、襲われたって感じだな」全員が急に静まり返えり、あたりを見回したが人影はなくピューピューと岩の間を抜ける風の音だけが聞こえてきた。
「急ごう」
神風と三人は崩れた岩山を大急ぎで下っていった。
この森には長年の間に独自に進化した生物や新たなエネルギーが生まれていた。
特に谷の森は、両側の切り立った断崖絶壁の影響で固有の生態系が生まれ、わずか100年足らずの時間でも温暖な気候と放射能の影響を受け、巨大化した生物が存在したり、例のスノーヴィの暮らす環境が整っていた。
「なんか、下に降りると気温が違うね、この森」
いち早くピーターが崖の上と下の森とでは、温度や湿度が違う事を察知した。
「そうだな、なんかさっきからむしむしするし、風がないよな」
地面も所々湿地帯のよう緩い場所も多かった。
「なんか出そうだな」




