第1話
「キャハハ!なんかおかしいや、まるでツタのお祭りだな、よっしゃ!抜けるぞ」ゴォォォォォ〜
一段と轟音が響き渡る中、サブローの機体も難なくすり抜けたのだ。
「オ〜オ〜、お天道様、まぶしぜ!この一瞬がたまんね〜んだよな」
「サブまで行ったか、よっっしゃ俺も行ってみるか」
「カイチさん、神さんの時よりもなんか周りがぼろぼろ落ちているようですよ」「ん?そうか?ココロは眼鏡眼鏡掛けてるからよく見えるんだよ、僕なんかなんも見えないぞ」
「カイチ、爆音でビルがビビってんだよ!ビビったビルが、ぽろぽろ泣いてるだけさ、ハハハ!」
「な〜るほどね、サブも寒い事言うね〜」
「悪かったな」サブローの後を次いで、カイチ、ピーター、凪が次々と後に続いた。
カイチのちょっと小柄な機体は、急回転をした時、いきおいあまってひっくり返った状態になったが、すぐに立て直して無事すり抜ける事ができた。それぞれの機体もなんとかすり抜け、爆音で崩れてくるコンクリート片は次第に量が増しているように見えた。
「お、オイラ最後ですか?なんか不安ですよ〜どんどん崩れているみたいだし」「気にしないで行っちまえよ、ココロ」サブローが軽快に声をかけた。
「じ、神さん、オイラも行きますよ」
「よし、角度は八十度ぐらいでいいか?翼がツタに触らないようにするには後三メートル下?なんだか暴れすぎていてわかんないな?近づくと結構音もすごいな、もうちょっとだけ下げた方が安全かな」
「お〜い、何ぶつぶつ言ってんだよ、三周目だぞ、日が暮れちまうぞ、チップしないように通ればいんだって」サブローが直前に来ては、ためらいを見せるココロの様子をうかがい、後押しするように話かけた。
「サブさん、分てるんですけど、心配でついつい考えちゃうんです」
「ああ、あと五十メートル、四十メートル、三十メートル、あ、もう少し角度つけた方が…、あと十メートル。
ゴォォォォォ〜
「うわ〜すごい音だ、痛、痛、小石が飛び散って入ってくる、うわ〜うわ〜ツタが踊ってる、なんだなんだ!ビルの中真っ暗だ」
「お〜い、あんまり考えんな」カイチが声をかけてきた。
「や、ヤバい、角度付けすぎたかな?この狭さじゃ戻すと危険だし、どうしようあとちょっと」
ゴォォォォォ〜
爆音は一段と反響を増して跳ね返ってきた。
「もうすぐだ機体を立て直せ」
神風が叫んだ。
その時、ガガガガーと機体を引きずるような音が響いた。
「うわ!ヤバい」
その瞬間、傾けた機体の左翼の先端が崩れかけていたビルの躯体に接触したのだ。接触したと同時に大きな固まりの割れたコンクリートが、機体をかすめて遥か下の森の中へ落ちていくのが見えた。
「痛、痛」ビー玉サイズのコンクリート片がオープントップのハッチから入りココロの腕にあたった。
「痛いよこいつ、チップしたけど、なんとか切り抜けるぞ」
機体は一瞬突き出したコンクリートの段差をかすめ、翼の一部が削られてへこんだだけでなんとか切り抜けることができた。
飛行機が轟音とともにすり抜けたあと、次々に崩れかけていたビルの一部が凄まじい音を立てて、森の中に崩れて消えていった。
「うわ〜すっげ〜ヤバかったな、ココロ」
「カイチさん、あんなの機体に落っこちて来たらオイラつぶされてましたよ」
「ココロ、ビビったか?ありゃ〜ヤバいな、あんなの食らったらおしまいだ、ハハハ!」
「ピ、ピーターさん笑い事じゃないですよ、やばかったんですから、ほら見てくださいよ、左翼の先、かけちゃったんですか」
「あらら、ま〜そのぐらいなら唾付けときゃなおるから、ワハハハ!」「ピーターさんいつの時代の人ですか」




