第10章 救出隊とカイチの遭遇 完
「良く無事でしたね、それで、君、怪我は無いか?」
急に手のひらを返したように、隊長たちは丁寧になり、身体の状態や墜落の状況等について話しかけてきた。
「ええ、えーっと、あまり覚えてないんですが、急に大きな音がしたと思ったら、何かが当たったか、エンジントラブルかわからないのだけれど・・・それから機体が不安定になってきたと思ったら・・・飛行機が急降下したんです。
カイチはとっさに二つの事を考えた。
一つは自分の飛行機の墜落した状況と大型旅客機の墜落した状況とを重ね合わせるように、細かい状況は言わずに、詳細はわからない振りをしようと。
もう一つの思案はこのまま乗客の振りをしていれば助け出してくれるだろうという考えだった。
「えっとそれから、あっちの森の中に墜落したのだけれど、僕は飛ばされて木の枝に引っかかって助かったんです。
多分、しばらくは降りられなかったんだけど、なんとか木の枝を伝って降りてきてぼーっとしてふらふらと歩いてった訳で、それ以外の事は・・・あ〜いたた、頭が 痛い!」カイチの言っている事は本当の事だったが、隊長は大型機の墜落の状況を頭の中で想像していた。
「大丈夫か、君?もういい、話さなくていいから、一緒に戻ろう」
集まっていた四名のうち隊長一人ともう一人の部下を残し、後の二人にカイチを本部まで連れて帰るよう指示を出した。
「B班、C班、D班、応答願います、只今生存者一名を確保、これから本部まで搬送する」
ポイントは、A班現在地、位置確認願います、お互いの距離は現在確認できない、続いて報告願う」
隊員は、各班に現在の状況を伝えた。
「A班は残り二名で捜索を続行する、皆テロリストには十分注意しろ」
隊長がさらに促した。
「了解」「しかし、良く助かったね、君は二人と一緒に安全な場所へ戻って、無事を家族へ伝えるといい、詳細は話せる状況になったら、隊員に話してくれたまえ、本当に良かった、それでは安心して戻ってくれ」
隊長は笑顔で何度も声をかけてくれた。カイチはキョトンとした目をしたまま、よけいな事は言わず、戻るまで頭痛を理由に一言もしゃべらなかった。
「行くぞ」
隊長は自ら発見した生存者に、更なる期待を膨らませつつ、その場を後にし、現場捜索を開始した。




