第10章 救出隊とカイチの遭遇
ようやく時間をかけて何とか地上に降りたカイチだったが、そこは森の中、薄暗い日の光が届かない空間が延々と広がり、どこへ向かったらよいかわからなかった。「何だよ、どっちいったらいいんだ、これじゃー助かっても喜べないじゃないか?」
「待てよ、降下中に左手方向に見えた岩壁は多分近いはずだ、とりあえず岸壁まで行ってその下を歩いて行くしかないな」
カイチは体のどこも大きな怪我は無く、木の枝にこすれた時に追った擦り傷程度だったので歩行には問題がなく、落下してきたときに見た岩の岸壁に向かって進路を取った。
「バレールートはこっちだぞ」岸壁から谷に降りるルートの一つに向かって三台のフラクターが走っていた。
「ここから降りるぞ、岩山が多いから気をつけていけ」
三台は距離を置き、谷に降りる迷路のような岩山を縫いながら下っていった。
「おい、あれ見ろ」突然先頭を走っていた隊員が、岩の影に黒こげになった一台のエアフラクターを発見した。
「これは、すぐに連絡だ」
「気をつけろよ、まだ回りに誰かいるかもしれない」
三台は少し離れた場所にフラクターを止め、一台には連絡をとるように命じ、他の二台に乗車していた四人は二手にわかれ、周囲を注意深く観察し始めた。
「お前たちはそ左手に回れ、分かれて救護に向かうぞ、気をつけろよ、奴らまだどこかにいるかもしれない、どこから撃ってくるかわからないからな」
二手に分かれた四人は慎重にかつ、音を立てないよう先に狙われた二人のもとへ向かった。
大破したフラクターを先に見つけ、状況確認すると無線で本部へ伝えた後、乗っていた隊員を探した。
「いたぞ、あそこだ」
フラクターが大破した場所から、数メートル離れた岩陰の場所に一人倒れていた。「オイ、しかりしろ」仰向けに体を起こし、声をかけるも死んでいるのは明らかだった。大地は流れ出た血でどす黒く染まり、砂埃りまみれの腕をとり脈を確認するまでもなく死んでいるのは明らかだった。
「だめだ、やられている、畜生」
「隊長、こちらにも一人います」
「わかった、今向かう」
もう一人をそっと抱え上げると、まだ体から暖かさを感じた。
「大丈夫か?何があった?」
「・・・・ウゥ〜」
もう一人の地面に横たわっていた隊員からは小さなうなり声が聞こえ、まだ息がある様子だった。
「しゃべらなくていい、すぐに手当をするからな」
二人がその場ですぐに応急処置にあたり、そっとフラクターに乗せると二人がかりで急いで本部へつれて戻る事にした。
「まだ息がある、お前たちは戻って彼の救護に当たってくれ」
「わかりました」
「隊長たちもお気をつけて」二名の隊員は本部に救出した隊員を連れて帰り、残る四人は死んだ一名を見つけやすい場所へ移動し、襲撃にあった位置を本部に伝えると、死んだ隊員の回収を行うよう本部へ要請をし先を急いだ。
「気をつけろよ、お前たち二人は距離を保て、万が一のときは援護に回れるようにな」
「わかりました」四人は再び捜索に向かった。
「森は深いな」
「はい」
「ガイガーカウンターで、エアー測定を忘れるなよ」
「ホットスポットはさけて進もう」
「了解しました」
森の中は長い歳月が経ったとはいえ、まだ多くのホットスポットが点在していた。捜索隊や見回り隊は常にガイガーカウンターを持ちながら、ホットスポットには近づかないようにしていたのだ。




