第10章 救出隊とカイチの遭遇
大佐は管制塔でEZ-9990の消息に当たって説明を受けている最中に連絡を受け、その後、すぐに保安省の上官たちを治安部隊の本部へ集まるよう招集命令を下した。(数十分後)「諸君、早急に集まってくれてた事に感謝する、そして既に承知かと思うが、EZ-9990が昨夜二十二時四十二分、消息を絶った」
「早朝より、近くにいる地上班二名に現地の捜索と救護に向かわせたのだが、何者かに襲撃され現在連絡が途絶えている、
おそらくではあるが森林を根城にしているテロリストと称する連中の仕業と見ていいだろう」
すぐに空からも、現地へ向かわせる予定だったが、機体の問題発生によりもう少し時間がかかりそうだ」
「各セクションの責任者は、おのおのの隊と連携をとって救護と捜索へ加わって頂きたい」
大佐は、一通り説明した後に保安省の統治下にある治安局の各セクション責任者全員に確認をとった。
「D-1fc型は飛ばせられないのか?」
「はい、大佐、それが確認いたしましたが試験運行にさしあたってEZにほぼすべてのD-m2のDNAを積んでしまい、現在残っている数ではエネルギー不足で飛行は不可能との連絡が入っております」
「全く、それではしかたあるまい、旧型のヘリはどうなっている?」
「はい、あるにはあるのですが、ここ数年使用例がなく、整備に少々時間がかかるとの事です」
「全く、どうなっているんだこの緊急事態に」
「大変申し訳ございません」
「先に森林管理部隊のA、B班を既に向かわせておりますので」
D-m2型DNAとは、D地区から見つかった反重力エネルギー体のことで、墜落をしたEZに搭載しているエネルギーの一部だった。
人間でいうDNAの染色体の螺旋構造をした固まりの事で、一つ一つバラバラに見つけられたのだが、組上げるとDNAの形状をなし、より強いパワーを発する新エネルギー体で、エゾはこのエネルギーをもとにさまざまな乗り物や施設を作り出していた。D-1fc型とは、その反重力エネルギーを使ったFloot Chopperの略でヘリコプターの反重力型なのだ。
現場では既に、数十人体勢で地上班が墜落現場の捜索を開始していた。
「忌々しい奴らめ、テロリストの名を飾るコソドロ共が」
大佐は激しく痛罵した。
その後も大佐の指揮のもと、治安部隊は総出で捜索と救護に向かった。
「隊員全員に次ぐ、谷へ向かうルートでは何者かに二名が銃撃されたとの情報が入っている、襲撃地点を特定した隊員は周辺を固め、安全を確認した上で捜索を開始してくれ、十分注意して抵抗勢力との交戦も視野に入れておくように」
それぞれの隊はエアフラクターに二人づつ乗車し出発していた。四班に別れ一班六名でまとまり、急いで捜索に当たった。
その頃墜落機から無事不時着したカイチは何とかパラシュートで脱出したものの、覆い茂った森の屋根へと降下し、枝を折り、葉をまき散らすと、大木の途中の枝にパラシュートが絡まり、まるでたわわに実ったぶどうの房が重く枝から垂れ下がるかのように、木の枝に引っかかって見事にぶら下がっていた。
大地まで有に十メートルはある高さだったので、カイチは振り子のようにからだを降ると、ようやく木につかまるも、そこからどうしたらよいか悩みながら既に数時間が経過していた。
「どうしよう、ここまで何とか脱出したけど、いつまでもぶら下がっている訳にいかないし、あ〜このままじゃ死んじゃうよ」
木々の間に身を寄せていたので体が落下する事は無かったが、パラシュートのハーネスを外すと今度は木にしがみつき、下に降りなくてはならないので、まだその決断ができずにしがみついたままの状態だった。
それからしばらくしてようやくハーネスを外し、降りる決断をした。森の木々は、複雑に枝が伸びているので枝を選びながら、ゆっくりと慎重に木から降りていった。
「こん事するの久しぶりだなー、子供の頃は簡単にできたと思ったんだけど、ちょっと体が重くなってるからな、体重で枝が折れたら終わりだな」
カイチは小さい頃、グリーンパラディウム内の森林で遊んだ記憶を思い返していた。




